道内の観光・グルメ・おでかけ情報満載 MouLa HOKKAIDO(モウラ北海道)

Vol.01「函館ぶら探訪」のはじまり

Vol.01「函館ぶら探訪」のはじまり

函館で人気の「街歩き」プレイヤーがいるとの噂を聞きつけ早速会いに行ってきました。コロナ前に実施した街歩き「函館ぶら探訪」では、一度に100人以上が参加するほどの盛況ぶり。なんともすごい!どんな人なのだろうと高鳴る胸の鼓動を抑えつつ待ち合わせ場所に向かいました。


函館市地域交流まちづくりセンター(旧丸井百貨店函館支店)

待ち合わせ場所は、函館末広町のランドマーク、函館市地域交流まちづくりセンター(旧丸井百貨店函館支店)。石造り風で緑色のドームが素敵な建物です。ここには「東北以北最古の手動式エレベーター」があります。1階インフォメーションで「手動式エレベーターに乗りたいです」、「手動式エレベーターを撮影したいです」とお願いすると案内してもらえます(安全面を考慮して通常は扉は閉じられています。)

取材当日は、とても天気が良かったのでインタビュー前に中尾さんと一緒に「街歩き」も体験!その後ゆっくりお話を伺いました。(街歩き体験については改めて記事で紹介します!)

はじめに

(編集部)
今日は長時間にわたり街歩き体験をさせていただきましてありがとうございました!

(中尾)
お疲れさまでした。実際に歩いてみてどうでしたか?

(編集部)
もう10年以上前ですが、4年間ほど函館に住んでいたことがあったので、一通り函館の観光スポットや名所は知っているつもりでいたのですが、中尾さんの話を伺いながら街を歩いてみると、知らないことばかりで。「へえ〜」の連発でした。笑

(中尾)
有名なスポットについて知ることも楽しいですが、普段暮らしている日常の風景にも、なんでこうなっているんだろう?とか些細な疑問ってあると思うのですが、実際に歩きながらその小さな疑問をひとつひとつ解決するのが街歩きの醍醐味だと思います。

(編集部)
今日はまさにそんな体験がたくさんできました。実は今回函館に来た目的は、街歩き体験もそうなのですが、こんな素敵な活動をしている中尾さんってどんな人なんだろう?と、とっても興味があり、中尾さんのことを深掘りして聞いてみたい!というのがあります。

(中尾)
そんな、大した話は聞けないと思いますよ。普通の人です。笑


新聞記事のスクラップから始まった「街歩き」

(編集部)
最初に中尾さんご自身について少し伺いたいのですが、ご出身はどちらですか?

(中尾)
函館生まれの函館育ちです。進学を機に上京し、そのまま東京で就職しました。外資系損害保険会社に勤務して事務職をやっていたのですが、27歳の時にUターンして函館の家電量販店に就職しました。その後、市内の病院で事務職として働き、63歳で退職しました。

(編集部)
郷土史に興味を持ったのはいつ頃なのですか?

(中尾)
57歳の時に第二の人生について考えるようになり、自分には何が向いているかを考えました。絵や音楽が得意なわけでもなく、特にスポーツを極めていたわけでもない。ふと子供の頃に郷土史に興味があったことを思い出しました。函館は歴史的建造物も多く、環境的にも歴史の勉強に適しています。何より自分のペースでコツコツ続けられそうだなと思ったのが郷土史を学び始めたきっかけです。

(編集部)
何か新しいことに挑戦しよう!と思うことはみんなあると思うのですが、始めるきっかけがうまく掴めなかったり、すぐ挫折してしまうことって意外と多いと思うのですが、中尾さんは志してから行動に移すまで順調に進みましたか?

(中尾)
当時はまだ現役で勤めていたので、何か新しいことを始めるにも時間に限りがありました。そこで取り組んだのが新聞記事のスクラップです。新聞って毎日のように郷土史に関する記事が載っているので、とにかく日付順に片っ端から新聞記事をスクラップしました。郷土史に関して全然知識がなかったので、この作業が将来的になんの役に立つのか?もわからず、とにかくできることを継続してやってみることから始めたのですが、それが良かったと思います。

スクラップ作業は性格的に合っていたので飽きることなく、楽しみながら続けられました。スクラップの作業って溜めてしまうと嫌になって続かないので、その日の記事はその日のうちに処理をする。毎日やるのがコツなんですよ。今でも毎日やってますよ。


資料を上手に管理する

(編集部)
新聞記事のスクラップを続けていくうちに何か行動に変化は出ましたか?

(中尾)
スクラップがある程度溜まってくると、同じような記事があることに気がついたので、溜まったスクラップ記事を分類してみました。スクラップブックは全部で60冊くらいありますが、同じテーマのスクラップブックが複数冊あります。例えば、箱館戦争関連の記事をまとめたスクラップは7、8冊ありますし、石川啄木関連でも5、6冊あります。資料って必要な時に役に立たないと意味がないですが、分冊することで欲しい情報がすぐに確認できます。

(編集部)
それだけの情報量だと、分冊しただけでは欲しい情報がすぐに確認できなくないですか?分冊しても欲しい情報を探すの大変そうですね。

(中尾)
確かに、分冊するだけでは事足りないです。そこで次にやったのが、パソコンでキーワードを管理するようにしました。

(編集部)
え?キーワード管理??具体的にどのようなことをしたのですか?

(中尾)
パソコンを使って、キーワード単位で関連記事の見出しなどをメモしています。自分がわかれば良いので、簡単にやっていますが、これがないと、スクラップを分冊するだけでは必要な情報がすぐに出てきません。

(編集部)
データベースを作ってる感覚ですかね?

(中尾)
そこまで難しいことはやってませんけどね。笑
キーワード単位で関連記事をメモしている感覚に近いかもしれません。

「街歩き」は予習・復習が重要です


(編集部)
すごいですね。なかなかできることはではないと思います。しかも15年以上続けられているわけですから。
昔から情報管理が得意だったのですか?

(中尾)
整理整頓は好きですね。繰り返しになりますが、資料やデータって必要な時に活用できないと意味がないですよね。現役で仕事をしている時からずっとそう思っていました。家電量販店時代は、競合他店の情報収集がとても重要だったので、とにかくあの手この手で情報を集めていました。笑
病院事務職時代は、集めた情報や資料のファイリングの大切さを痛感し、実践していました。そんな過去の経験が今の街歩きのスタイルの礎になっているような気もします。

(編集部)
整理整頓した情報は街歩きにどのように活かしているのですか?

(中尾)
街歩きで設定したコースに関連するキーワードで洗い出して、そのキーワードとスクラップの記事を照らし合わせて解説する内容をシミュレーションします。不足な情報があれば追加で調べます。
街歩きの所要時間は2時間程度ですが、事前準備を含めると一回の街歩きは数日間かけて準備をします。
当日の2時間が一番楽なんですよ。そこに至るまでの下調べや予習、復習を念入りにやるのが一番大変です。
でも、皆さんにわかりやすくお伝えし、有意義な時間を過ごしていただくためには、下準備はとても重要な作業なのです。

(編集部)
街歩きをやっていて困ったことはありますか?

(中尾)
限られた時間で、少しでも多くの場所を紹介したいと思っているので必然的に歩くスピードが速くなるのですが、もう少しゆっくり歩いて欲しいと言われることもあります。解説ポイントを減らせば調整可能なのですが、それはそれで物足りないと思うので悩ましいところではありますね。

コロナ前だと一回の街歩きで100人以上の参加も珍しくなかったのですが、大人数になると説明の声が後ろまで届かないこともあってそれも調整が大変でしたね。今はコロナ対策もあって人数を制限しているのでその辺の問題は無くなりましたが。


第二の人生の目標を見つける秘訣とは?

(編集部)
街歩きを15年間も続け、今年記念すべき200回を迎えたとのことですが、それだけ頑張れる中尾さんの原動力って何ですか?

(中尾)
街歩きに参加していただいた方からはいつも「ありがとうございます!」と言っていただけて、それはとても嬉しいし励みにもなっています。でも、本当はこちらこそ皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
私は第二の人生の目標や、やりがいを模索して、街歩きを始めましたが、皆さんに参加していただかないと始まりませんし、参加してもらえることで皆さんから生き甲斐をもらっていると思っています。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

(編集部)
現在中尾さんは「第二の人生を謳歌する」という当初の目的を達成し、充実した日々を過ごされていると思いますが、改めましてその秘訣を教えてください。

(中尾)
やりたいことがあったら、まずは行動に移してみることが大切だと思います。私の場合は退職の6年前に、郷土史を学んでみようと思い、すぐにできる新聞スクラップから始めました。それが「街歩き」につながると、当時は想像もしていませんでしたが、結果的にその最初の一歩が今につながっています。

なんの準備もなく定年を迎えても、すぐに第二の人生の目標を見つけるのは難しいかな?と思います。とはいえ、現役で働いていると準備のために充分な時間は取れないですよね。そんな時は、まずはできることから始めてみる!それが一番良い方法だと思います。

MouLa HOKKAIDOでは中尾さんの過去の街歩き「函館ぶら探訪」の内容も記事で紹介していきますのでお楽しみに♪


Vol.02 「函館ぶら探訪」を体験してみた!(前編)

Vol.03 「函館ぶら探訪」を体験してみた!(後編)

もうらの村 トップへ

この記事を書いたモウラー

編集部

MouLa編集部

MouLa HOKKAIDO編集部アカウントです。