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Vol.02 「函館ぶら探訪」を体験してみた!(前編)

Vol.02 「函館ぶら探訪」を体験してみた!(前編)


Vol.01 「『函館ぶら探訪』のはじまり」はこちら

今シーズンの街歩きもそろそろ終わりを迎える10月某日。
中尾さんの取材前に、我々編集部も「函館ぶら探訪」を体験させてもらいました。

当日は見事な秋晴れで街歩きには絶好の日和。期待が高まります。
今回の街歩きルートは、先日行われた「函館ぶら探訪200回記念ルート」に少しアレンジ加えてご用意いただきました。

過去に何回か行ったことがある場所でも、中尾さんの話を聞きながら歩いていると、まるで初めてきた時のような発見と驚きの連続でした。その時の様子をご紹介しますので一緒に歩いている気分でお楽しみください♪

旧丸井今井百貨店からスタート!

現在、「函館市地域交流まちづくりセンター」として市民に親しまれているこの建物は、元々は丸井今井百貨店函館支店だった建築物。1923(大正12)年築の、鉄筋コンクリート造3階建てですが、後ろ側にその後増築された7階建ての一部分が残っております。階段や天井の高い室内など、随所に往時の趣きを偲ばせるこの建物内は、だれでも自由に見学することができます。街歩き前に少しだけ内覧させていただきました。


函館市地域交流まちづくりセンター


東北以北最古の手動式エレベーター


重厚感漂う大理石の階段


さて、いざ出発!ということで最初に向かったのは「二十間坂」。函館は坂の町としても有名ですが、函館の坂は町の発展と深く関わっています。

その昔、函館では何度も大規模な火災があり、函館大火(はこだてたいか)と呼ばれています。明治から昭和前期にかけて100戸以上焼失の大火に驚くなかれ26回も見舞われました。特に1934(昭和9)年3月21日の火災を指していうことも多いようです。


坂を登りながら中尾さんの解説に耳を傾けます

西部地区に道幅が広い坂が多いのは火災延焼を防ぐためで、「二十間坂」はその名の通り、道幅が二十間(約36メートル)あり、大火に備えて防火帯として整備されたものです。ちなみに現在では、冬期にはライトアップされ明治館前まで続くイルミネーションを楽しめる観光スポットになっています。

異なる宗教が共存するエリア

二十間坂沿いに国指定重要文化財の「東本願寺函館別院」が見えてきます。なんと、このお寺もまた明治40年の大火で類焼しました。1915(大正4)年の建替えに際して日本最初の鉄筋コンクリート造りとなり、現存する鉄筋コンクリート造りの寺院としても日本最古のものです。


当時の様子を詳しく解説していただきました

函館別院の存在は知っていましたが、現存する日本最古の鉄筋コンクリート造りの寺院だとは知りませんでした。「へえ〜」を連発しながら中尾さんの説明に耳を傾けていました。笑

このエリアは、お寺以外にも、有名な教会もたくさんあります。「カトリック元町教会」「函館ハリストス正教会」「聖ヨハネ教会」は有名ですよね。


カトリック元町教会


函館ハリストス正教会


世界では宗教の対立による争いが絶えないですが、函館のように異なる宗派が同じエリアで共生しているのは珍しいのでは?ロシア正教会とカトリック教会が並んで建っているも不思議な感じがしました。今までなんとなくこの辺を歩いていましたが、中尾さんの説明を聞きながら歩いていると、いろんなことを想像しながら歩けるので、風景を見て楽しむだけではなく、心からこの場所に対して興味が湧いてきます。


教会が建ち並ぶエリアから少し西に向かって歩くと、ドラマやCMのロケ地としても有名な「八幡坂」が見えてきます。函館といえばココ!ってくらい有名なビュースポットですよね。かつてこの坂の途中に「函館八幡宮」があったことが名前の由来です。


両歩道脇には、坂上まで手すりつきの階段が整備され、冬には歩道にロードヒーティングが施されています。ちなみに、現在の函館八幡宮は1880(明治13)年に谷地頭町に移っていますが、これもまた大火の被害を受けたためです。函館の町の変遷と「大火」には深い関わりがあることがわかります。

函館の歴史が凝縮された元町公園

八幡坂の次に向かったのが「元町公園」。街歩きの休憩場所としてもちょうど良い位置にあります。元町公園に着いて、中尾さんから最初に説明があったのが「レンガの積み方」についてです。レンガ?積み方??どんな話になるのだろう?興味津々でお話を聞きました。

元町公園内には赤レンガ造りの建物があります。(旧開拓史書籍庫)1880(明治13)年に建てられたもので、明治40年に函館で大火が起きた際も類焼を免れたそうです。この建物、よ〜〜く見ると、場所によってレンガの積み方が異なるのです!




レンガの積み方には「フランス積み」と「イギリス積み」の2種類があります。フランス積みはレンガの小口と長手を1個ずつ交互に積み重ねます。イギリス積みはレンガを小口だけの段、長手だけの段と一段おきに並べる積み方です。これで何がわかるかというと、それぞれの技術が使われていた時代が異なるので、建てられた時代がおよそわかるそうです。日本では、フランス積みは1887(明治20)年以降ほとんど見られなくなったので、この建物のイギリス積みの部分は明治40年の大火後に増築されたということになります。


レンガの積み方で建てられた時代がわかるそうです


中尾さんの話を聞いていると「へえ〜」が止まりません笑 説明を受けるまでレンガの積み方自体に違いがあることすら知りませんでした。これはもうアハ体験です!笑


函館の発展に尽力した「四天王」をご存知ですか?

元町公園内には、旧北海道庁函館市庁庁舎があり、その横には、明治期の函館の経済や教育、医療の発展に私財を投じて尽力した、今井市右衛門、平田文右衛門、渡辺熊四郎、平塚時蔵の像があります。


この4名が函館の町づくりに貢献した「函館四天王」と呼ばれています。いずれも本業の傍ら、互いに連携して明治期の函館の街を作り上げていく原動力となります。ちなみに彼らを四天王と呼んだのは、俳優の時任三郎さんの祖先である、時任為基(明治初期の函館の発展に寄与した開拓使の役人)と言われています。


元町公園から函館港が一望できます

元町公園はそれほど大きい公園ではないですが、たくさんの「函館」が詰っています。晴れた日には函館港を一望することができるので街歩きの休憩場所として、また歴史探訪の拠点として必ず立ち寄りたい場所です。

ここまで回ってきた場所は、どこもお馴染みの観光スポットばかりですが、実際に歴史的な背景や詳細な解説を聞きながら歩いてみると、初めてきたような新鮮な感動と新たな発見がたくさんありました。この後はもっとディープな函館の魅力を解説してもらいましたので、(後編)で詳しくご紹介します!ぜひお楽しみに!

2022年の「函館ぶら探訪」は終了しております。2023年の雪解けの季節に再開予定とのことですので、スケジュールなどの詳細についてFacebookページ、中尾仁彦の「函館ぶら探訪にてご確認ください。

Vol.03 「函館ぶら探訪」を体験してみた!(後編)

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