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メルカリCEO登壇!ネット業界トップランナーが札幌集結  生成系AIとWEB3の未来を展望、熱狂のB Dash Campレポ(1/2)

メルカリCEO登壇!ネット業界トップランナーが札幌集結  生成系AIとWEB3の未来を展望、熱狂のB Dash Campレポ(1/2)

インターネット業界のトップランナーが集う国内最大規模の招待制ビジネスカンファレンス「B Dash Camp」。2011年から全国各地で行われているビッグイベントが、2年連続で北海道札幌市を会場に開かれました。「Bダッシュ」と聞いてスーパーマリオを思い出したあなた、きっと昭和世代です(笑)。

ヤフーやメルカリなど大手IT企業の幹部から、将来有望な若手起業家たち、さらには投資会社まで国内外の約1000人が一堂に会しました。いま話題の生成系AIやWEB3に関するパネルディスカッションのほか、起業家が資金調達を目指して投資家に事業をアピールするピッチコンテストなど、5/24-26の3日間でさまざまなイベントが行われました。

まだまだ北海道民には馴染みの薄い「B Dash Camp」の熱狂を、北海道新聞社ビジネス開発本部の石川泰士(昭和世代)が体験してきました!


お酒片手に情報交換 開放的な”ビジネスキャンプ”

「B Dash Camp」は、新興企業に投資するベンチャーキャピタル「B Dash Ventures」が主催し、2011年に始まりました。年2回開かれており、昨年は札幌と福岡の2都市で開催。今年も両都市で開かれ、札幌市では5月24日から26日にかけて中央区のホテル「ロイトン札幌」などで行われました。

一般的なビジネスカンファレンスと言えば、スーツ姿の経営者や会社員が集うフォーマルな場を思い浮かべるかもしれませんが、「B Dash Camp」はそのイメージとは全く違います。会場で目立つのはTシャツやパーカーを着たカジュアルな装いの参加者たち。顔ぶれも20代から40代が大半で、50代以上はほぼ見かけません。


「ノバセルサカバ」と呼ばれるカウンターでは、昼からアルコールを飲みながらの情報交換や商談が進んでいました。肩ひじ張らず自由に柔軟にビジネスを考えてみよう―。まさしく「キャンプ」の名にふさわしい開放的な雰囲気です。

大手IT企業幹部に聞く”RIDE or WAIT” AI時代のガチな問い

私たちはイベントが本格化する2日目から会場に足を運びました。オープニングは、まるで人気バンドのドームツアーのようなド派手な演出。3000万円もするという超大型ビジョンにCG映像が映し出され、カクテル光線が会場内を飛び交います。そんななか、主催者であるB Dash Venturesの渡辺洋行社長が壇上に現れました。


渡辺社長が発表したオープニングセッションのテーマは「RIDE or WAIT(乗るか待つか)」。ChatGPTをはじめとした生成系AIやWEB3など最先端ビジネスの波に「乗るか」「待つか」を、ネット業界のキーパーソンに問いかける企画です。ヤフーの専務執行役員、宮澤弦氏やWEB3事業等を手掛けるフィナンシェの國光宏尚CEOらが登壇しました。

「生成系AIの登場は、世の中にインターネットやiPhoneが出てきた時を超えるワクワク感があります。パラダイムが明らかに変わるところで大きく勝負してくのは、全員やったほうがいいモメンタムにあると思う」。宮澤氏は開口一番、生成系AIに関するビジネスへの強い期待感を語りました。一方で、マイクロソフトやGoogleなどの世界的企業が「桁違いの投資」で技術開発を進めている領域でもあるとも指摘。スタートアップの新規参入には難しさもあるとの考えを示しました。


ヤフーの専務執行役員、宮澤弦氏

生成系AIの活用方法を研究している企業もありました。漫画などのデジタルコンテンツ事業を手掛けるセプテーニHDの佐藤光紀CEOは、ChatGPTとの対話でエンジニアが漫画を作ったPoC(実証実験)について紹介。「結論からするとかなり面白かったんですが、実はそこにトリックがあるんです。これは面白い、これは面白くない、こうしたらもっと面白くなる、という風に編集者が(制作プロセスに)入ることでプロコンテンツとして仕上がるようになるんです」と語り、生成系AIの活用には人間によるクオリフィケーション(質の担保)が必要だと指摘しました。


大手IT企業の経営幹部による本音たっぷりのオープニングセッション。オフレコの発言時には「オフレコ」の札を上げる仕組みもあり、B Dash Campでしか聞けない貴重なビジネストークが盛りだくさんでした。もうこれだけでも「お腹いっぱい」なのに、計20本超におよぶステージは始まったばかり。次なる刺激を求めて、会場内を歩きました。

「ホームランか三振か」メルカリCEOが明かす創業のリアル

2日目の夕方には日本最大のフリマアプリ「メルカリ」の山田進太郎CEOがステージに登り、自身の半生を語りました。

メルカリ創設は10年前の2013年、山田氏が35歳の時のこと。すでにその時点で山田氏は数多くのネット企業を立ち上げ、売却を成功させ、さらには1年間におよぶ世界一周旅行も経験するという濃密な人生を送っていたそうです。それでもメルカリ創業という新たな挑戦に踏み出した理由は「スマートフォンを1人1台持つ時代になり、ものすごく大きな『C2C(消費者同士が取引するビジネス)』が可能になる」との確信だったと言います。


対談するメルカリの山田CEO(右)とB Dash Ventures渡辺社長

山田氏は「ホームランかもしれないけど三振かもしれない」との思いで、わずか3人でメルカリを創業。米国市場への挑戦は当初想定したスピード感には届かなかったものの、アメリカの消費者に合わせたアプリの改良を経て、業績は着実に上向きになっています。

「グローバルに挑戦したくて、いくつもの失敗も経験しました。でもそれは私自身が世界を理解する過程だと捉えています。世界についてより深く理解すれば、より良いサービスが提供できるだろうと。失敗も含めたプロセス自体を楽しんでいます。日本初のグローバルテックカンパニーを目指したい」。

大企業となっても歩みを止めない山田氏の熱気あふれる言葉に、来場者はじっと聴き入っていました。

ナイトセッションにサントリー新浪会長登場 熱気は最高潮!

深夜には札幌市内の別会場に移り、経済同友会代表幹事に今春就いたサントリーHDの新浪剛史社長を招いてのナイトセッションを実施しました。新浪氏は社長としてローソン再生を果たし、サントリーのトップに転じた「プロ経営者」。会場では、新進気鋭の起業家たちが新浪氏にあの手この手で事業をプレゼンテーションし、アドバイスや激励の言葉を貰っていました。

経営者と起業家が放つ無尽蔵のエネルギーに圧倒され続けた1日。レポートの後編では、B Dash Campの目玉イベントでもある「ピッチコンテスト」と「ネットワーキング」の魅力に迫ります。
後編に続く


この記事を書いたモウラー

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