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【ライブレポート】湊ゆず、高校最後のワンマンライブで見せた"等身大の輝き"

【ライブレポート】湊ゆず、高校最後のワンマンライブで見せた"等身大の輝き"

札幌の春の空気に、ギター1本と透き通る歌声が響き渡った。2025年3月30日、地元・札幌のライブハウス「PLANT」で開催された湊ゆずのワンマンライブ。高校生活最後のステージで彼女が届けたのは、ただの「お別れ」ではなく、新しい一歩を踏み出す決意と、支えてくれたファンへの感謝が込められた全19曲だった。
小さなミスも笑顔に変え、高校生らしい等身大のトークで会場を包み込んだ湊ゆずの全曲解説付きライブレポートをお届けします。

湊ゆずとは?北海道が誇る高校生シンガーソングライター

湊ゆずは札幌出身の高校生シンガーソングライター。トレードマークのセーラー服姿で演奏するスタイルで、10代ならではの繊細な感性と等身大の言葉で、同世代の共感を呼んでいる。
アミューズ所属のアーティストとして活動し、これまでに複数の楽曲をリリース。地元・北海道を拠点にしながらも、その才能は徐々に全国へと広がりつつある。

「The Departure 2025 〜 I ♡ HOKKAIDO 〜」

今回のライブタイトルは「湊ゆず 3rd One Man Live The Departure 2025 〜 I ♡ HOKKAIDO 〜」。
「The Departure(出発)」という言葉通り、高校卒業を迎え、新たな一歩を踏み出す湊ゆずの決意が込められたタイトルだ。そして「I ♡ HOKKAIDO」という言葉には、地元・北海道への愛情と感謝が詰まっている。

オープニングから始まる旅立ちの序曲


春の始まりは「花がらを摘んで」で幕開け

暗転したステージにヴィヴァルディの「四季」が流れ、湊ゆずが登場。いきなり1曲目のイントロでミスをしてしまうが、「間違えちゃった。ちょっと春っぽくふわ~っと始まったつもりだったんですけど。もう一回照明さんお願いします」と笑顔でやり直す姿に、会場は温かな拍手で応えた。
「花がらを摘んで」は、春を前に感じる不安と期待を描いた楽曲。湊ゆずは「高校をあと1年で卒業する今、とても怖いです」と曲に込めた心情を語り、マイナスな気持ちを"花がら"に例えて、新生活への一歩を表現している。

自信消失から自分探しの旅へ「アタシって本当XXX」

「アタシって本当XXX」では、「ちゅっちゅっちゅる」のフレーズで観客が両手を狐の形にしてリズムに合わせて動かす一体感のある場面も。この曲は自信消失とその克服をコミカルに描いた楽曲で、日常生活の中で起こる自信喪失を乗り越える力強さが感じられる。

居場所と帰り道「居場所」「大根抜き」

「居場所」は、リズムに合わせた「ヘイッ」の掛け声で始まるグルーブ感のある楽曲。「どこに居ても、誰も分かってくれない」という感情から、「自分を理解してくれる人を無理に見つけようとしなくてもいい」という気づきを謳った曲だ。

「大根抜き」は、北海道の昔の遊びにちなんだタイトルの楽曲。選ばれない悔しさと寂しさを初めて感じた幼稚園の思い出から、「土俵に立つために戦っている誰かが報われる歌」として生まれた楽曲だ。

心の葛藤と沈黙を歌う中盤


沈黙の中にある感情の渦「沈黙」

BGMに雑踏の音がかすかに流れる中、湊ゆずは「沈黙…」と一言だけ曲を紹介。心の葛藤を赤裸々に語ったこの曲で、湊ゆずは「言わなくちゃ分からないよ」という言葉への違和感と、沈黙の中にある様々な感情の渦を表現している。

社会への問いかけ「拝啓、世間様」「恥」

「拝啓、世間様」は、湊ゆずにとって初のCMタイアップソング。理不尽なルールの存在意義に疑問を投げかけながらも、「自分が他人を理不尽にさせてしまったのではないか」という自問自答の過程を描いた曲だ。

「恥」では、人の心の醜さをテーマに、「誰だって生きてれば馬鹿にされることもある」「人を馬鹿にしてばっかじゃ自分の人生は何も変わらない」という気づきを表現している。

「自由」と「自分勝手」を考える重要なMC

ライブ中盤、湊ゆずは「4月からは親元を離れ、ついに自由な生活を手に入れます」と語りつつも、「自由と履き違えちゃいけないものを考えるようになりました。それは自分勝手です」と深い洞察を披露。
この問いかけから8曲目「自由になりたいですか」へと繋がる流れは、湊ゆずの成長と新たな大人への一歩を象徴していた。しっとりとしたムーディーな曲調で、椎名林檎を思わせる楽曲性にも注目だ。

街の灯りと心の錆び「錆」「Good Day」

「錆」では、街の灯りに心を惹かれる若者の心情を描写。「日々の生活に飽きてしまった時、家を飛び出したりしなくても、大切なことに気づきを与えられるような曲」と湊ゆず自身が語るように、当たり前の日常の尊さを再確認させる楽曲だ。

「Good Day」では、ルーパーのイントロから始まり、湊ゆずが「Clap! Clap!」と客席を煽り、会場の一体感を高めた。「生まれ変わって、全く別人になりたい」と思った経験への共感を呼びかけ、「自分を愛すること」の大切さを伝える曲だ。

16歳からの封印を解く「蜜蜂」と新アーティスト写真発表

「蜜蜂」は、16歳から封印していた曲とのこと。曲の途中で「シーッ」と言い、「4月1日からアー写変わります!」と突然の発表があり、観客を驚かせた。

「化かし愛(New Arrange)」では、恋愛における嘘と見栄の連鎖を「狐と狸の化かしあい」に例えた楽曲。新アレンジによる演奏で会場を魅了した。


こちらが4/1からのNewアー写! いつも見慣れている制服姿ではないのでとても新鮮です

「ちょっと聞いて〜」コーナーでの思い出話

この後のMCでは、湊ゆずがレギュラー出演していたラジオ番組「吉川のりおスーパーライブ」の思い出を語り、「ちょっと聞いて〜」コーナーとして2曲のカバー曲を届けると宣言。

「卒業写真」(荒井由美)は、ライブセットリスト唯一のエレキギター演奏で披露された。卒業アルバムを見返す大切な時間について語り、青春の記憶を音楽で表現した。

「笑顔の未来へ」(エレファントカシマシ)では、「なかなか近づくことができないような理想の自分がいつでも頭の片隅にいて、それを目掛けてずっとやってきました」という思いを込めて歌い上げた。

オリジナル楽曲の後半戦「Playlist」から「ライアー」まで

「Playlist」は、湊ゆずの2ndシングル。季節や好きな人によって聴く曲が変わるように、人生のさまざまな瞬間に寄り添うプレイリストの魅力を歌った楽曲だ。

「ライアー」では、夏の思い出と恋愛を綴った楽曲を披露。「夏を好きにさせてくれた彼のことを、今では夏が忘れさせてくれません」という湊ゆずの言葉どおり、季節の記憶に刻まれた恋の切なさが伝わる一曲となった。

フィナーレに向かう感動の連続

「面影ひとつ」は、冬の寂しさや切なさ、そして過去の恋愛を美化してしまう心理を描いた楽曲。「過去というものは戻れないから綺麗に見えるだけ」という気づきと共に、「面影ひとつ残して」という歌詞が心に残る一曲だ。

観客と一体となった「生音」と未来への扉を開く「ジーザス」

「生音」では、「ラーラーラーララーララー ラーラーラー」というフレーズを観客と一緒に歌い上げるという、参加型の楽曲展開。この曲は観客と一緒に作り上げる特別な時間となった。

最後の曲「ジーザス」は、2025年3月21日にリリースされたばかりの新曲。「自分たちにどんな春が来ようと、またこうして会いましょう」という言葉と共に、旅立ちの春への決意を歌い上げた。


「制服を脱いだ自分に何が残るのか」 - 新たなステージへの決意

ライブ終盤のMCでは、湊ゆずがシンガーソングライターとしての3年間を振り返りながら、未来への決意を語った。
「4月からは大好きな北海道を離れ、この制服ともおさらばし、次のステージへ進みます。だけどこの制服を脱いだ自分に何が残るのか、パッと興味を惹くようなものが自分にあるのかないのか…」
「何よりもずっとコスチュームに頼り続ける自分が凄く嫌で、だからちゃんと次のステージへ進むために、この制服も脱いでまた新しいところで勝負していこうかなと思っています」
トレードマークのセーラー服を脱ぎ、素の自分で勝負する覚悟を語る姿に、会場からは大きな拍手が送られた。

セーラー服の向こう側へ - 湊ゆずの新たな旅立ち

「部屋で一人したためた曲を、みんなとどうやったら楽しめるかなぁーとか、あとはライブで皆と歌ってやっとその曲が完成していくような、そんな時間が一番大好き」という湊ゆずの言葉は、彼女の音楽に対する純粋な愛情を表している。
全19曲を通して描かれた青春の物語。高校生活とセーラー服に別れを告げ、ひとりの大人として、そしてシンガーソングライターとして新たな一歩を踏み出す湊ゆず。このライブが、彼女の長い音楽人生の中で特別な一夜として記憶されることだろう。
北海道から羽ばたく彼女の今後の活躍に、ますます目が離せない。

このワンマンライブの翌日、札幌から東京へ活動拠点を移す前日に、これからの音楽活動にどんな思いを込めているのかをインタビューした模様は、明日4月19日(土)正午に公開します。



この記事を書いたモウラー

編集部

ニャかむら

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