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【インタビュー】藍井エイル✕安田史生 一年間の沈黙と「今も支えてくれる皆さんへ」伝えたいこと

【インタビュー】藍井エイル✕安田史生 一年間の沈黙と「今も支えてくれる皆さんへ」伝えたいこと

2011年10月TVアニメ「Fate/Zero」のEDテーマ「MEMORIA」でメジャーデビュー。一気に人気アーティストへの階段を駆け上がった藍井エイル。動画サイトへカバー曲を投稿した事がきっかけでプロデューサーの安田史生の目に留まりデビューへの扉は開いた。

「機動戦士ガンダムAGE」、「ソードアート・オンライン」、「キルラキル」など、数多くの人気作品アニメの主題歌を担当。日本武道館でのライブや様々な大きな成功を収めながらも体調不良による2度の活動休止。そして、約1年間の沈黙の中、急遽発表された所属事務所の「ぐあんばーる」およびSONY内のレーベル「SACRA MUSIC」からの卒業。

今回は藍井エイルさんと安田史生さんをデビュー前から知る、MouLa HOKKAIDOプロデューサーの加藤が、インタビュー形式の対談企画をお二人に提案。二人ともまさかの快諾で奇跡のインタビューとなりました。安田さんにしか出来ないインタビューになったと思います。ぜひご覧ください。

イントロダクション

ご挨拶


本日は藍井エイルさんをお迎えして、対談といいますか、インタビューさせていただきます。こんにちは。お越しいただきありがとうございます。安田史生と申します。

知ってます(笑)。私が看護師を目指している時に、私に音楽の道を勧めてくれたひとも安田史生さんという方でした。

それ僕ですね(笑)。
そうそう、北欧の癒やしの女神からエイルって取ったんだよね。医療を司る神ってことでね。

そうです。そこすごく大事!

僕が考えたんですよね。ちょっと忘れ気味ですけど。

そうです!

なので、「eir」と書いて、というところからアーティストネームがスタートして、そのまま「エイル」という発音を引き継いでもらって、「藍井エイル」さんが誕生ということで。
デビュー曲も実は僕の手掛けた楽曲をね、使っていただいたという経緯もあって、色々送り出すところのお手伝いをできたのがきっかけで、こうやって仲良くさせていただいてるわけですけども、もう10数年経ってしまいました。

あっという間でしたね。

今回のインタビューについて


さぁ、今回インタビューさせてほしいって、連絡したじゃないですか?率直にどうして応えてくれたの?

今までファンの方々にたくさんご迷惑だったりとか、ご心配を本当にかけてしまって、それはもうスタッフさんに対してや、バンドメンバーさんに対してもそうだったのですが、 自分のことをしっかりとお話ししなきゃいけないタイミングなんじゃないかと思っていて、今後についてもお話しできたらと思いました。

活動休止について


そんなふうに思って引き受けてくれたんだね。
どうもありがとう。

私を受け入れてほしいとかそういうつもりではなくて、今後の活動をする上で必要な情報だと思うし、今まで迷惑をかけたからこそちゃんとお話ししなきゃ、向き合わなきゃと思っていて、やっぱりどうしても自分で避けてきた事実というのがあるので、そういったところをちゃんと表に出すことで、自分でもしっかりと自分のことを見つめられるようにしたいなという思いで今回お受けしました。一番はファンの方にお届けしたいという部分ですね。



特に昨年ですよね。昨年、ほぼ1年間活動休止っていうことでね、僕も心配しましたし、ちょこちょこ君とお話する機会もあったんだけど、今もこうして支えてくださる皆さんっていうのは、やっぱり何の情報もなかったでしょうしね。 非常に心配もされていたでしょうし。こういうきっかけがね、エイルちゃんから聞けるってことはファンの皆さんにとってもいいことなんじゃないかなって、嬉しいことなんじゃないかなって思いますので。その辺りを色々と聞いてみてもいいですか?

みんな優しいので、無理して言わなくていいよとかって言ってくれる人も、本当にたくさんいるんですけど、これは私自身も自分と見つめ合うというか、自分と向き合うために必要なことだなっていうふうに思っています。

まさにちょうど、昨年末ですか。お世話になった、ソニーミュージックさんを卒業されて、ひとつの節目であるこういうタイミングで新しい事に挑戦するって事かな?SNSも新しく始めたしね。

皆さん、そこで元気そうにしてるんだなぁなんて感じてもらえたと思うんだけど。まぁ、約1年間休止してて、まずはその辺りをお聞きしようかと思うのですけど、どういう経緯だったの?大体が体調不良って書かれていましたね。

そうですね。体調不良って書かれても詳細は?と思いますよね。実はずっと持病がありまして、デビューして3、4年?もっと前かもしれないですが、気分の浮き沈みがあまりにも激しい状態が何度も何度も繰り返されていて、診断を受けたのですが、双極性障害1型という診断結果でした。

気分の波を抑えるために、ずっと投薬をしていたのですが、なかなか合う薬が見つからず、気分に自分が流されてしまい、自分の気分の波に乗れない状態が何年も何年も続いてしまって、本当にたくさんの方に迷惑をかけてしまいました。



大きな成功と共に本当に大変な時間を過ごしていたんだね。緊張とか、責任とか、いっぱいあったんだと思うよ。

LAST BLUE(2016年の武道館ワンマン)の少し前だったかな?その日はファンクラブのイベントがあって、気合が入っていたのですが、体調がとにかく悪くて、皆さんには本当に申し訳ないのですが、お休みする事になって、スタッフさんがとても心配してくれて、病院行った後から全く記憶がなくて、気がついたら実家にいて。

ご実家っていうと、北海道??

はい。結構何が起きたかわかんないんですけど、なんか考える力もなくて。誰が空港まで迎えに来たのか未だにわからない。そのまま東京にいたはずなんですよ。でも実家にいる。

そんなところも出てきてしまって、自分でもどうしたらいいか分からない状態で。ただ、迷惑はかけたくないという思いは強くあって。代わりのいないアーティストというお仕事だからこそ、うまく向き合わないとだめだと思って休業しました。

そんなところまで赤裸々にお話してくださって、ありがとう!きっとこれを読んで心配に思う人やいろんな人がいるかも知れないけれど、その当時エイルちゃんの体調を不安に思っていたファンの皆さんにとっては、きっとエイルちゃんの状態を知ることができて、より近い気持ちで受け止めてくれると思います。

基本完治は不可能だと言われていて、一生この状態なの?って絶望を覚えたりもするのですが、より自分でコントロールしたり、うまく付き合っていくように努力しています。みなさんには本当に申し訳ないとずっと思っていたので、このようなお話をすることに不安な気持ちもまだあるのですが、やっぱり、みんなの前で歌いたいという強い気持ちがあるから、今回のこの機会は貴重だと思いました。



一度活動休止して、2年はかかったけれども、当時のあなたは復帰をすることになったわけですよね。もう自分から復帰したいっていう気持ちがあったのかな?

はい。ありました。

そこから再始動して、昨年(2023年)の1月くらいに、新アルバムの「KALEIDOSCOPE」を引っ提げて色々なことを今年も頑張るよ!みたいなイメージで発表されたの見ていて、その直後に再び活動休止ってことになっていたので、心配でやり取りさせていただいたこともあったけど、 最初の休止の時と同じ感じだったのかしら。

そうですね。なんか自分でも次に復帰した時は、ちゃんと迷惑をかけないようにしようとか思っていたのですけど、 やっぱ自分の症状に対して、迷惑をかけないようにしようとか、結構ざっくりしたイメージのお話だと思うのです。でも、もっと具体的に噛み砕いて、 じゃあ、そのためにはどうした方がいいのかな?というのを、しっかりと反省して考える必要がありました。

乗り越えたい気持ちとはうらはらに・・・


お仕事って、アーティストだと1、2年先も仕事が決まるじゃない?そのなかで持病と向き合いながら、その日に気持ちと体を作っていくって本当にすごいよね。

みんなすごいなって思って尊敬しています。

それに昨年は、不注意で大怪我もしたんでしょ?

はい。実は背骨が折れてしまって、2回手術しました。今もボルトが4本入っていて、昨年1月にその怪我をしてから歩けるようになったのが、わりと最近で。今もまだ屈んだりするとかなり痛いですし、痛みで歩けなくなることもたまにあります。


「KALEIDOSCOPE」が出た当時っていうのは、実はね、そういう大きな怪我が重なってしまったところもあるんだよね。

この先ライブをやっていきたい気持ちももちろんありますし、 皆さんとやっと直接お会いできる機会も増やせるはずなので気持ちと体を整えながら、準備したいと思っています。

昨年発表された体調不良の部分では実は大きな怪我があったりとか、試練が続いてたんだよね。でもライブしたいっていつも言ってるじゃない?そんな言葉をファンのみんなは待ってるのかも知れないね。すごくポジティブな感じで話してくれてるから安心したよ。

私、基本はすごいプラス思考なので、今は歩けているから、それだけでも本当に良かったと思えていて、そんな事も含めて、しっかりリハビリして、皆さんの前にまた立てるように頑張って、音楽で恩返ししたいと本当に思ってて。

こんなところでからかっちゃダメなんだけどさ、あなたが医療を司る神にお世話になってしまったね。

あ、本当だ(笑)。


現在の藍井エイルの活動

SNSについて


そうそう、今年改めて「X(旧Twitter)」始めたじゃない。前のアカウントはどうしたの??

活動休止していたから、更新するわけにはいかないよなって思いながらいたのですが、実はシンプルにパスワード分からなくなってしまって。「藍井エイル=ドジ」なイメージ無いですか?それをやってしまった(笑)

X社にメールしてみたり、とにかく色々やってみたのですが、もう取り戻せないそうで、それで新しいアカウントに。

もともと40万人くらいフォロワーいたよね。なにをしてるの(笑)。前の事務所さんとか色んな人に手伝ってもらったんだよね?

はい。昔のマネージャーさんとか、みんな色々動いてくれて、私も証拠の画像とかメールしてみたのですがダメでした。完全に私の不手際ですね。

流石です(笑)。じゃあこれからは新規アカウントで活動をお知らせしていくのかな?インスタとかはどうするの?

インスタは事務所管理だったので、そのまま引き継げたら、自分でもやってみようかなと、今お願いしているところです。時間と手間をかけてインスタもやってもらえていたので、どこまでクオリティーを保てるか分からないですが。

それも楽しみだね。

音楽活動について


怪我とか、今抱えている病気とかね、そういった問題もあるかもしれないけど、もう一度やっぱり歌ってみたいという想いを感じてますが、自分と向き合いながら、穏やかに創作活動をしていきたいのだろうなと受け止めているんですよ。実際、どう?不安は無いですか?

正直に言うと不安だらけではありますし、迷惑かけないようにするためにはどうしたらいいか?という部分を噛み砕いても、落ち着くまでは完全には予測できない部分があって、とことん気をつけるしかないからこそ、今までの活動とはまた全然違う見せ方になってくるのかなと思っています。

私が溜めたパワーみたいなものを、歌を通して皆さんに伝えていきたいと思っていて、それはゆっくりしたペースじゃないと、多分自分にはできないんだっていう現実が分かったので、 やっぱりそういったところでは、前とは全然違うペースで前に進んでいくのかなっていうふうに思っています。

昔から頑張り過ぎるところもあるから、ゆっくり自分の歩幅で歩いてみるのも良いのかもしれないね。でも歌いたい気持ちが大きいことがわかってよかった。これからも応援しています。ところで、今、温めている楽曲でエイルちゃんに合う曲ができたけど歌ってみますか??

それはもうぜひ。「MEMORIA」を歌っていた時から随分声も変わってしまったけど、新しい藍井エイルで挑戦したいです。

やっぱりテクニックも多彩で聞いてて驚きます。あなた本当に歌がお上手で(笑)。



ありがとうございます(笑)。しっかり着地点をみて、足場をみて、自分のできる範囲で進んでいきたいと思っています。

藍井エイル第二章

今やりたいこと


いやぁ、僕的にはここまで話して良いのかな?なんて不安に思うくらいのインタビューになってしまったけど、エイルちゃんが先に進むために重要なことと考えているって事でいいのかな?

はい。本当に多くの皆さんにご迷惑をおかけしてしまったので、その分、しっかり自分と向き合って、歌とパフォーマンスで感動をしてもらえる、恩返し出来るように準備していきたいと思います。

ある意味、今回の卒業は藍井エイル第一章の終わりで、新たな気持ちで、自分の歩幅で第二章のスタートを切ろうとしているのがよくわかりました。本当にこんなに話してくれてありがとう。きっと、これがきっかけで頑張ろうと思ってくれる方もいるかもしれないし、エイルちゃんのライブ復帰なんて、僕も泣いてしまうかも。

セルフカバー


今は少しずつ歌とかも始めていて、セルフカバーとかもやっていきたくて、先日、安田さんにお願いして「青く、青く」をピアノアレンジで歌わせていただきました。

そうそう。お手伝いさせてもらったんだよね。横で聞いてて感動しましたよ。北海道出身の越前谷直樹くんにピアノを弾いてもらって。いい出来だったね。

本当に楽しくて、昔の曲とかも今の自分の気持ちで歌ったらどうなるのかな?なんて思っていて、そういうのだったら動画になっちゃうけど、今でも出来るんじゃないかな?と思っていて。そういう居場所?発表出来る場?を作りたいと思っています。

そっか。すごくポジティブなお話しだね。ファンクラブとか?そういうのが良いのかもしれないね。応援してくれる人たちに、まだまだこれからの藍井エイルを見てもらえるかも。

自分を大事にしなきゃ、周りの人も大切にできないよって、よく聞くじゃないですか。実は私はあんまりピンと来てなかったんですよ。 でも今回、やっぱりすごいそれを大事にしないとなって思いました。自分を本当にちゃんと大事にしないと、 守りたい人とか、大切にしたい人をそうできなくしてしまうっていうのにすごく気づかされたので、本当に自分を大事にしながら皆さんと向き合って、音楽とも向き合いたいなっていうふうに思ってます。


最後に


最後になるけど、今回はインタビューに応えてくれて本当にありがとうございました。世間の思っている藍井エイルのイメージを壊してしまったかもしれないけど、より本当の藍井エイルを知ってもらえてよかったと僕は思っています。

出会ってから随分経ってしまったけど、人間的な魅力はどんどん強くなっていて、そして内面にある本当の強さみたいな部分は僕も知ってるから一人で頑張らないで、みんなに頼ってやっていこう!応援しています。

ありがとうございました。これからも応援してくれる皆さんと、いっぱい思い出を作って行きたいと思っています。改めて皆さんよろしくお願いします。

じゃあ、前向きに第二章スタートと言う事で、皆様にはすこしだけ見守っていただく形になるのかな。でもきっとステージに戻ってくるって確信しました。本日は本当に貴重なお時間をありがとうございました。

ありがとうございました。


あとがき

終始、和やかに行われたインタビューでしたが、師弟関係というか、強い絆を感じるすてきなセッションでした。このような空気で出来上がった「MEMORIA」。それはあのような名曲が出来る訳だ!と思いながら二人のやり取りを聞いていました。

二人はトークの合間に、子どもたちがはしゃぐように「曲作ろうよ」、「アレもコレもしたい」と、いうような今後のイメージが泉のように湧いて話しているのが印象的でした。

今回は藍井エイルさんが赤裸々に話してくれて、昔から知っているわたしとしても驚いた部分もあったのですが、走り続けていた彼女の葛藤は計り知れないし、逆にとても強い女性だと感じました。強い眼差しで未来を語る藍井エイルさんのステージ。私も楽しみで仕方がありません。

藍井エイルさん安田史生さん。誠にありがとうございました。





藍井エイル (Xアカウント:@eir_ruru2)
11月30日生まれ。北海道札幌市出身。AB型。
動画サイトへの投稿をきっかけに、2011年10月TVアニメ「Fate/Zero」のEDテーマ「MEMORIA」でメジャーデビュー。その後、「機動戦士ガンダムAGE」、「ソードアート・オンライン」、「キルラキル」など多くの人気作品アニメの主題歌を担当。海外でも高い人気を誇り、世界各国でのイベント出演も多数。

これまでに世界15か国でライブパフォーマンスを披露。SNSの総フォロワー数は150万を超える。また、大のゲーム好きとしても知られ、プロゲームチーム「魚群」のメンバーへの加入を発表するなど、活動の幅を広げている。2022年には自身初のアリーナ公演となる横浜アリーナでのライブを開催した。



安田史生 (Xアカウント:@f_yasuda
北海道室蘭市出身。
2002 年、自ら発掘した音楽ユニット「Ruppina」で作家デビュー。主に fumio yasuda 名義で楽曲を発表している。札幌を拠点にこれまでにもアニソン系シンガー「藍井エイル」「綾野ましろ」「nonoc」等、発掘からデビューにいたる楽曲提供・プロデュースをしている。

「藍井エイル」に提供した「MEMORIA」では【平成アニソン大賞アーティストソング賞】を受賞した。 また、ラジオ番組制作や、北海道初の大型野外アニメ音楽フェス等、イベント制作にも携わっており、企画構成・アーティストブッキングに貢献。実弟は俳優でタレントの「安田顕」。

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この記事を書いたモウラー

プロデューサー

加藤学

ヒト・コト・モノ関わらず、まだ見ぬオモシロイことをプロデュースしている。