藍井エイル X 川田まみ X 中沢伴行「POLYHEDRA」スペシャルインタビュー
藍井エイルの活動再開後の3曲目となる新曲「POLYHEDRA」は、作詞に川田まみ、作曲に中沢伴行を迎えたコラボレーションとなった。川田まみといえば、2005年のメジャーデビューから2016年の歌手活動引退までの間、数々のアニメ主題歌を担当してきた伝説のボーカリストだ。そしてその多くの楽曲を手掛けてきたのが中沢伴行である。いわば二人はエイルにとって同郷の先輩であると同時に、かつて同じフィールドでしのぎを削った戦友でもある。
そんな夢のコラボ作となった「POLYHEDRA」はどのようにして生まれたのか。そしてそこで川田と中沢はどんなメッセージを込め、エイルはどう受け止めたのか。今回は「POLYHEDRA」レコーディング直後のエイルと、現場でのディレクションも担当した川田と中沢も同席したスペシャルインタビューをお届けしよう。
インタビュアー:澄川 龍一
ここに繋がるんだったら、あのときの経験も全部プラスだ(エイル)
今回は新曲「POLYHEDRA」をレコーディング直後のインタビューということで、まずはエイルさん、レコーディングを終えた今のお気持ちをお聞かせください。
藍井エイル 最高にかっこいい曲を、自分でもすごく納得のいくかたちで歌うことができました。コーラスとかもそうなんですけど、今までない表現の仕方ができてすごく楽しくて、自分のなかでも満足がいく作品になりましたね。
そして今回はエイルさんに加えて、「POLYHEDRA」作詞の川田まみさん、作曲の中沢伴行さんにも同席いただいています。レコーディングを終えてのおふたりの感想はいかがですか?
中沢伴行 今回のレコーディングの前にプリプロでエイルちゃんには一度歌ってもらっていたんですよ。でもレコーディング本番になって、この鍛え上げられた歌声はやっぱりすごいなと思って。すごいし、かっこいい。
同じ業界なので、もちろん音源は聴いていたんですけど、エイルちゃんの歌のパワーを、録っていて改めて感じたところはありますね。
川田まみ 楽しかった、うん。私も、自身で声を重ねていく工程は好きだったんですけど、改めてこうしてエイルちゃんのレコーディングに参加させてもらって、出来上がっていく工程にご一緒させていただけて、ただただ本当ありがたく思いましたね。私もこのチームの一員に入らせてもらってるのが本当ありがたかったです。
それと中沢が言った通り、エイルちゃんの瞬発力が本当にすごいんですよ。「こうして」っていう要望にもポンポンポンポンと合わせてきて、さらにアイディアもポンポンポンポンと入れてくるし(笑)。本当にね、さすがだなっていう。
中沢 この業界を生き抜いてきているなって思うよね(笑)。
エイル いやいや……(笑)。
川田 ほんと、とにかく楽しかったです。
お話を聴いていると楽曲のテイストとは裏腹に、いい雰囲気でレコーディングをできたみたいですね。
エイル 多分、私だけ緊張していました(笑)。
川田 ほんと?
エイル 緊張しましたよ。最初は緊張しすぎて、めちゃくちゃ棒読みのような歌になっちゃって。今日のために毎日練習して、発声もやってきたんですけど、それが逆に「その成果が出せるのか?」と思いすぎたら、うまく歌おうとしすぎて、「あれっ、ちょっと自分を見失っている?」って思って、途中で「違う違う」って。
表現するということも前回の作品から時間が空いていたので、そこで「表現ってなんだっけ?」ってちゃんと向き合えたのがよかったです。
川田 私たちは勝手に和気あいあいとやらせてもらって、「もうなんかもう楽しいね〜」ってやってたんですけど(笑)、でも歌う本人はどうしてもね。
そんな「POLYHEDRA」ですが、まず改めてこの曲が生まれる過程をお伺いしたいと思います。エイルさんの同郷の先輩である川田さんと中沢さんが楽曲を提供されるというのはプロデューサーの安田史生さんの発案だそうですが、それを聞いたときはどう思いましたか?
エイル みなさん仲いいっていうのは聞いてたんですけど……。
川田 飲み仲間で〜す(笑)。
エイル いやでも、私のなかでこのおふたりが作った楽曲を歌うというのは、もう自分の夢のひとつで、カラオケで勝手にまみさんの曲を歌うぐらい(笑)、憧れがすごく強かったので。
なので最初にデモから始まって、そこからどんなふうに変わってくんだろう?という過程もまた、まさに私が聴いて歌っていたI’veサウンドを感じるようなワクワク感で出来上がっていって。こうしてレコーディングが終わったあとにマスタリングでどれだけかっこよくなるんだろうって思いますね。それこそライブでやるのが楽しみです。っていう話をさっきまみさんともしていて。
やはり北海道から歌手を目指す上で、川田さんや中沢さんがかつて所属していたI’veサウンドは避けては通れないといいますか。それこそカラオケで歌うぐらいに。
エイル デビュー前から歌わせてもらっていました(笑)。それこそデビュー前からみんな『(灼眼の)シャナ』とか観ていましたし。当時みんなI’veで育っているんだと思います。
そんな憧れのサウンドを自分のオリジナルとして歌うというのは……。
エイル 歌えてよかったです。なんかもう、ここに辿り着くんだったらあのとき辛かったこととか全部オッケーだなって思えるぐらいで。
中沢 ありがたいっすね。
エイル さっき、まさにその話をしていて。「以前は深夜まで何曲もレコーディングとかあったんですよね」とか、「そこからここに繋がるんだったら、あのときの経験も全部プラスだ」っていう話をしていました。
なるほど。一方で川田さんと中沢さんとしては、藍井エイルというアーティストをどう捉えていたのかなと。
中沢 これは僕だけのイメージかもしれないですけど、エイルちゃんって”傷だらけ戦士”みたいな感じだった。傷だらけの孤高の戦士みたいな。歌声とかもそうなんですけど、どんなボロボロになろうが全力で立ち向かってくみたいな、そういうイメージを持っていて。それで今回お会いして一緒にやってみて、改めてやっぱりそうだなと思いました。自分のエネルギーの120パーセントをつねに出すような感じで活動されているのかな、そういう印象で見てましたね。
エイル つねに肩とか押さえてるみたいな(笑)。
中沢 そうそう(笑)。昔からライブとか現場が近いところはあって、そのときから歌声からもそういうふうに聴こえていました。
ボーカルだけではなく、存在として全身全霊感はありますよね。
中沢 うん、なんか温存しないというか……。
川田 うん、使い果たしている感があるよね。
中沢 そうそう、エネルギーをすべて出し切るみたいな。ライブであったりレコーディングであったり、すべてがそういうふうに受け取ってましたね。そういうシンガーさんなんだなって。
同じシンガー同士の川田さんとしてはいかがですか?
川田 私も中沢と一緒で、一つ一つのステージとかの現場で全て使い切る。例えばマラソン選手とかでも、ゴールしたらその瞬間にバタって倒れる人いるじゃないですか。まさにそういう姿がエイルちゃん。
歌声とかはまっすぐスコーンと行くんだけど、エイルちゃん自身はただスコーンと行くんじゃなくて、転びながらもそれでもゴールに向かっていくような印象です。実際には転んでいなくても、声から伝わってくる情報がそういう印象があるから目が離せなくなるし、そんなエイルちゃんを見ていてこっちも熱くなる。そういうエネルギーあるなって思って見てました。
聴いている人も、そういうところに勇気づけられるんだろうなって。
そこから「POLYHEDRA」の制作はどのように進めていかれましたか?
中沢 まず安田さんからオファーがあったときに、曲自体はベースとなるストックがあって。それを安田さんが「中沢さん、あの曲エイルさんにどうですか」と提案頂きました。僕も「これ、エイルちゃん歌ったらすげえかっこいいな」とピンときたので、そのベースとなるものから始まりました。
それで思い返すと、以前エイルちゃんと川田がライブである曲をコラボする予定があったんです。それは結果かなわなかったんですけど、僕的にはステージ上ではないんですけど、リベンジ的な意味も込めて楽曲で一緒にやれたらなみたいなところの思いもあり、そういうところから作っていったのが最初ですね。
そうした思いは川田さんとも共有されていたんですか?
川田 あえて共有はしていないんですよ。ただ、私も今は裏方のお仕事をさせてもらっていますけど、ファンの方はエイルちゃんと川田まみという、私が歌っていた頃のふたりのタッグを見るように感じてくださる方も結構いらっしゃるんじゃないかなと思っていて。
だからそこは作詞で自分の姿を消すより、ちゃんと私のイメージを残しつつ、エイルちゃんの声で重ねたときに、本当のタッグのようなかたちに持っていけるような内容にしたいなというのは思っていて。なので初めからある種イメージというのは固まっていたのかなと思っていますね。
たしかに「POLYHEDRA」を聴かせていただくと、中沢さん印のサウンド、そこに尾崎武士さんのギターも加わっているし、歌詞においても、もう「POLYHEDRA」というタイトルからして川田まみを思わせるような。
川田 そうでしょ? そこは結構意識的に。私も作詞をいろいろやらせていただいてるんですけど、今回はあえて私が歌っていた頃ぐらいのイメージで作らさせてもらっているというか。
だからタイトルも私が歌っていた時代を意識しました。そういった部分でも楽しんでもらえるんじゃないかなって思っています。
そうした楽曲制作のなかで、エイルさんからは楽曲へのオーダーはあったんですか?
エイル いえ、私からはあえてしませんでしたね。どちらかというと、おふたりの曲を歌うための自分の持って行き方を重視したというか。発声でもボイトレの先生に教えてもらったとっておきのものを毎日練習したり、それこそまみさんの曲をカラオケで「難しい……!」って言いながら歌ったり(笑)。
そのカラオケのときも安田さんが同席してくれて、「難しい」って言いながらも楽しんで、「よし、ここから『POLYHEDRA』に持っていくぞ!」っていうような気持ちで準備していました。
エイルちゃんが自分に向き合ってくれている熱を今回のRECで感じた(川田)
そこからプリプロでエイルさんも実際に歌ってみたわけですか?
中沢 そうですね。でもプリプロのときって、僕の作るメロディ ってちょっと変なんですけど……変というのはちょっと違うか。
川田 変だよ(笑)。ちょっと特徴があるよね。
中沢 多分癖があって歌いにくいところがあるのかなって思っていたんですよ。でも本番で形にしてきてくれたので、やっぱりさすがだなって。
エイル 今までの自分が歌ってきた曲って、最初は低くても絶対高いところにガツンっていく感じなんですよ。だからちょっと高くても低いところで持ち直せたり、自分のなかでリセットをかけたりしていたんですけど、「POLYHEDRA」は曲として休めるところがないんですよ。なのですごく集中力も使うし、その集中力を今回経験値として得ることができたなって思いますね。
で、これがライブだともっとすさまじい集中力でやっていくんだって思うので、今年は集中力を鍛える年でもあるのかなって思いました。
たしかにボーカルとしては高い低いだけではなく終始張り詰めた感じというか、一定のテンションを保ち続けている印象があるんですよね。そこはエイルさんのディスコグラフィーのなかで新鮮でもあるかなと。
エイル 私のなかでまみさんの歌ってセクシーというか、ニュアンスも含めてロックでかっこいいんだけど、色っぽさもあるみたいなイメージなんですよ。
川田 うれしい! 今日の私、自己肯定感上がりまくりなんですけど(笑)。
エイル そこは私には絶対できないニュアンスがあって、それが「POLYHEDRA」を目の前にしたときにも、まみさんが歌ってらっしゃるデモだったのでかなり影響も受けやすくて。どこまで自分を出して、どこまでまみさんを取り入れさせてもらったらいいだろうかっていう部分はありましたね。
だけど結果的には、まみさんみたいにはやっぱりなれないんだなって思いつつ、「こういう形にしたい」というものに辿り着けた気はする。私もちょっとセクシーにというか、ロックでも雑じゃない感じ。
なるほど。
エイル 自分は力が一瞬抜けちゃったりすると雑に聴こえちゃうので、そういったところも細かく気を引き締めて最後まで歌うっていうのを今回は意識しましたね。
川田 私はね、仮歌をやらせてもらうときは自分のイメージでわっと歌っちゃうんですけど、基本的には私自身のものを壊してもらっていいつもりでいつもやらせてもらってるんですね。
どうしても伝えたいイメージがあってお渡しする場合もあるけど、今回はエイルちゃんの思うままにという感じだったし、逆にそんなに細部に至るまで触れてくれていたんだなってのは、ただただうれしいなって思います。こう、向き合ってくれている熱を今回のRECで感じたから。いや、素晴らしい。ありがたいですね。
エイル でも最初にまみさんが歌ったデモを安田さんと聴いたときに、「やっぱりまみさんすごいよね」って話していたんですよ。これはデモだから多分さらっとRECしたやつだと思うんですけど、さらっとしているのに仕上がっている。私は何回やってもそれができなくてずっと歌っていました。
川田 いやいや全然できているよ。さっきも言った通り、エイルちゃんって一瞬で修正できるんですよね。それは努力の賜物なのかもしれないですけど、ちょっと「こういうふうにしたら」って言ったら、もう次のテイクからすぐ対応してくれる。こっちからしたらそれが「逆にすごいね」って。こっちのイメージをそのまま、どんどんはめていってくれる。
エイル それもあって本番前にプリプロをやらせてもらってすごくよかったなって思いました。そこからアレンジもどんどん変わっていくのを聴いて、「ああ、こういう感じかな、こういうふうに歌えばいいのかな」っていうのも自分のなかで作れたし。
繰り返し歌っていってどんどんレベルアップしていきました。
エイルちゃんの、みんなに向けてのエールのような曲(中沢)
そういった互いのチャームを汲み取りながら生まれていった「POLYHEDRA」は、なるほどコラボという側面が強い楽曲になりましたね。冒頭のギターサウンドからして川田さんと中沢さんの楽曲らしいというか。
中沢 今回はデモが決まった段階からこれは武士(尾崎武士)くんにゴリゴリに入ってもらう!と考えていました。そしてベースとなるものを武士くんに聴かせた時に「中沢くん、さらに頭にこんなイントロを追加したらどうかな?」と今のインパクト抜群イントロを作ってくれています。いつも流石ですね。
サウンド周りはそんな感じで、武士くんと何度かやりとりしつつ一緒に進めていきました。僕らは「Aメロのアルペジオがカッコ良くできたね〜!」なんて、二人で話しています(笑)。
川田 あえて新しいことをやるんじゃなくて、中沢・尾崎サウンドにエイルちゃんの声をがっつり当てはめていく感じですよね。エイルちゃんのまっすぐな声と、私たちならではのやつでもう行っちゃおうっていう。
中沢 そうですね。でも今回ピアノ演奏に同じ札幌でキーボードプレイヤーとして活躍してるのナカムラジュンキさんにも入ってもらったりして、Bメロや落ちサビなんか特に美しく演奏頂いています。僕らの鉄板なサウンドでありながら、ちょこちょこ違った色も加えて進化できるよう目指したところもあります。
まさにそうですね。随所に聴かれるコーラスワークも川田さん的といいますか。また改めて歌詞においては、川田まみ節を感じるものがありましたが、そこに今の藍井エイルもまた投影されている気がしたんですね。
川田 もちろんです。これからさらに活躍されていくエイルちゃんに対しての応援歌!というわかりやすい形ではないかもしれませんが、そういう気持ちはもちろん入りつつ。私も一線を退いてこういう活動させてもらって、エイルちゃんも今までとはまた違う道を走ってるじゃないですか。それぞれの道を歩いている者同士としての思いもふんだんに取り入れていて。私とエイルちゃんどっちもが重なっているところもあるし。
なるほど。
川田 だから歌詞には私自身が今感じていることもここにぶつけさせてもらっています。逆に言うと私の思いをエイルちゃんの声を借りて発信してほしいという思いもあって書いてる部分はあります。
なので「エイルちゃん頑張れ」という応援の思いプラス、私も負けねえぞっていう気持ちもあって、それをエイルちゃんに歌ってもらって、息を切らしながらも発信し続けてほしいという両方の思いがあって書いてます。
そこが冒頭にあった、孤高の戦士という、がむしゃらながらにも前進していくイメージにもつながっていくのかなと。
川田 そうですね。でも、ただがむしゃらに行くだけじゃないんですよね。このサビの前半では、私のなかでは以前のエイルちゃんのイメージで書いている。
そこから後半は改めて新しい藍井エイルだよという。迷ってるだけじゃなくて、ひとつ乗り越えたちょっと強いエイルちゃんがリーダーシップを取って、迷えるものや今ちょっと大変な思いしてるみんなに、「私もその気持ちすごくよくわかるよ。でも今また新しい道を行くんだよね。だからさ、頑張っていこうよ」っていう、ちょっと引っ張っていくエイルちゃんみたいなものを入れていきたかったんです。この曲の最後のフレーズはそういうふうに描いているんですね。
中沢 エイルちゃんの、みんなに向けてのエールのような曲というか、これをエイルちゃんが言うことによって、みんなを力づけるような感触もある。
川田 もしかすると今はまだ、みんなのイメージはサビの前半の部分の”背丈ほどの草わけて汗だくで進んだ道”というのが強いのかもしれないし、もしかすると”夢追う者”のほうは私っぽいのかもしれない。でも私からすると、エイルちゃんがさらにリーダーシップを取って、自分の道を太く長く続けていかれる姿を見ている。
エイル 私もサビの後半ブロックの”夢追う者 見え方は一つじゃない 互いの面(かお)てで立ち向かおう”と、最後のサビの”互いの面(かお)で笑い合おう ただ一人の君へ”というのが私はめちゃくちゃ好きで。私はこの歌詞をもらって勇気をもらったんですよ。だから同じように聴いてくれる人に勇気を与えられたらうれしいなって思いますね。
川田 うれしい。「POLYHEDRA」というのは”多面体”という意味なんですよ。一つの面では成り立たない。互いの面(かお)で笑い合おう、尊重し合いましょう、尊敬し合いましょうということを言いたくて。最近は多様性というと自分らしさじゃなくて、自分勝手な人もすごく多いなって思っています。自分らしさというそれぞれの個性を、それがたくさん集まる多面体で世の中が成り立っていたり、そうやって音楽も出来ている。それをエイルちゃんがこのエネルギーで歌ってくれることにすごく私は意味があると思っていて。
今回もたくさんの個性が集まって、面と面をしっかり作って、多面体としてこの曲を作っていきたいなって思っていたし、今日レコーディングをしてみて、それがかなったって思っているんですよね。
エイル そこは今回のアートワークにも現れているんですよ。一見普通の私の写真のように見えて、実は多面体のように模様が入っているんですね。
川田 そこも汲み取ってくれてありがたいです。
エイル 歌のなかでも多面体というか、ひとりが歌っている感じじゃないところで歌えたのもそうですね。あとまみさんの歌詞のなかでもBメロで
”You said it was a circle but it didn’t look like that to me.(あなたは円と言ったけど、私にはそう見えなかった)”
というのがあるんですけど、私たちだからこそすごくわかる歌詞だなって思っていて。そのずれっていうのは小さいときから感じていて、自分が言っていることって変なのかなって。
まさに歌詞の通りに円には見えないという世間とのギャップを感じていたと。
エイル それは社会に出ても感じていたことで。それをまみさんのこの歌詞を見たときに「仲間がいる!」ってひとりで勝手に思っちゃっていたんですけど、さっき休憩中にもまみさんに話して。
川田 私もそうだったんだけど、何か違うと思っていた違和感みたいなことが大人になるにつれて当たり前のようになっていく。でも心の中に失っちゃいけないものもあって、私も最近改めてそこに立ち返っているんですよ。だから自分のなかの小さな疑問をもみ消すんじゃなく、アイディアとして何か違うことを考えることもできるんじゃないかなとかって思っていて、それがそれぞれを尊重するということなんじゃないかなと感じています。
エイルちゃんも本当にいろんな経験をされてきたからこそ、今のエイルちゃんがあるんだなって思うし、これからはエイルちゃんのやり方で悩んでいる人たちにも「いろんな道があるからね」っ歌っていただけるとうれしいなって思います。
エイル 私は昔からいつも”円”に入れなくて、どうやったら円の中に入れるのか、どうしていつも自分もはみ出しものになってるんだろうっていうのがすごいコンプレックスだったんです。
「あれ、私また変なこと言ってないかな、大丈夫かな」とかすごく気にするタイプだったので、いつしか円恐怖症みたいなところがあったんですよ。だけどこうして歌を通してそこへの向き合い方が自分のなかでもわかってきて、そこをまみさんに言葉にしてくださって共有できたというのはすごくうれしいですね。
川田さんの歌詞に、エイルさんの現在に至る歴史も感じられるのはそういうところなのかなと。そのメッセージを今度はファンのみなさんが受け取る番なわけですね。
2025年3月1日。新FC会員限定ワンマンライブ開催
そして来年の3月には、ついに新FC会員限定ワンマンライブが開催となります。
エイル ライブも2年ぶりですね。ライブはずっとめちゃくちゃやりたかったですし、それを生きがいに日々頑張っていました。ファンのみなさんの顔を見ないと力尽きそうになるので、その力尽きる前にファンの人にお会いして元気をもらいたいと思ってますね。そして私自身も、みなさんを元気にさせてあげることができたらうれしいと思います。なので今は毎日のようにライブのイメージを想像してますね。「POLYHEDRA」をセットリストのここに入れようっていうのも決めています。
川田 もう?(笑)。
エイル なんならデモのときから決めていました(笑)。デモを聴いて、きっとすごいラスボス感が出るなと勝手に思っていたので、ここに入れたいっていうのがありました。
川田 ライブは都内だもんね。「観に行きたいよね」って中沢とも話していて。ていうか行きたいよ!(笑)。
エイル でもふたりが来るって聴いたらまた緊張しちゃうかもしれない(笑)。いや、でも来てください。のびのびと来てください。なんなら「ライブ見せろよ!」ってくらいの感じで(笑)。
プロフィール
藍井エイル
11月30日生まれ。北海道札幌市出身。AB型。
伸びのある声質と圧倒的な表現力で、国内外のアニメファンから熱烈な支持を受ける日本のシンガーソングライター。彼女の音楽は、強い感情を呼び起こす歌詞とメロディ、そして激しいライブパフォーマンスが特徴である。
音楽に対する深い情熱を胸に、若い頃からシンガーソングライターとしてのキャリアを追求し始める。彼女の才能に気がついた音楽プロデューサーの安田史生は、彼女に音楽への道を薦め、2011年10月TVアニメ「Fate/Zero」のEDテーマ「MEMORIA」でメジャーデビューを果たす。この曲は瞬く間にヒットし、藍井エイルの名をアニメ音楽の世界に不動のものとした。
その後も数多くのアニメ主題歌をリリースし、そのどれもがファンから高い評価を受けた。代表作には「IGNITE」「約束」「流星」「アイリス」「I will…」(アニメ『ソードアート・オンライン』シリーズのテーマ)や「AURORA」(アニメ『機動戦士ガンダムAGE』テーマ)、「ラピスラズリ」「翼」(アニメ『アルスラーン戦記』シリーズのテーマ)、「シリウス」(アニメ『キルラキル』テーマ)などがある。
4度の日本武道館や横浜アリーナ、パリ、ロンドン、上海、サンフランシスコなどの世界15ヶ国/地域でのライブを敢行し大成功をおさめる。海外でも多くのファンからの支持を得る。
川田 まみ
2月13日生まれ、札幌出身在住。
2001年、札幌の音楽クリエーター集団「I’ve」のボーカルオーディションに合格し所属する。その後2005年にシングル「radiance」でメジャーデビューを果たした。
代表作品にアニメ『灼眼のシャナ』の「緋色の空」「JOINT」、アニメ『とある魔術の禁書目録』の「No buts!」等、数々の楽曲を発表。
2016年末に歌手活動引退、独立後は、アニメやゲームの楽曲を中心にクリエーターとして活動中。
中沢 伴行
長野県出身。1977年1月9日生まれ。
学生時代からゲームサウンド、ロックバンドなど様々な音楽に目覚め、打ち込みやバンド活動を経て
1997年、高瀬一矢氏のサウンドに魅了されファクトリーレコーズに加入。
代表の高瀬一矢氏のもと、BGMやゲームの楽曲制作などを学び、I’veのクリエーターとして楽曲を発表していく。
I’ve/ファクトリーレコーズ時代にはKOTOKO、川田まみ等、I’ve所属アーティストはもちろん
黒崎真音、やなぎなぎ、Rayなど外部へのアーティストの楽曲提供も行う。
2005年の川田まみメジャーデビューからは楽曲の作編曲以外に、プロデュースも手がけるようになる。
2017年8月からはI’ve/ファクトリーレコーズから独立しフリーランスとなった後も
TVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」やTVアニメ「キノの旅」
そして以前より楽曲を手がけていたTVアニメ「とある魔術の禁書目録」など様々なアニメや、ゲーム楽曲を手がける。
澄川 龍一
音楽ライター。2002年にタワーレコード株式会社入社、主に洋楽CDシングルバイヤーに携わる。その後bounce編集部を経て、2007年からはフリーライターとしてアニメ音楽を中心にインタビュー、執筆を中心に活動を開始。2010年からはアニメ音楽誌「リスアニ!」の編集・執筆に関わり、2016年には「リスアニ!」の編集長に就任。現在はフリーの音楽ライターとして主にアニメ音楽の評論を行うほか、イベント司会、音楽プロデュース、ラジオパーソナリティ、DJなど幅広く活動。
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— モウラ北海道 (@moulahokkaido) November 30, 2024
藍井エイル 新曲「POLYHEDRA」
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