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【ライブレポート】TETORA・上野羽有音、札幌時計台での特別な夜

【ライブレポート】TETORA・上野羽有音、札幌時計台での特別な夜

2025年4月18日、北海道札幌市の象徴である「札幌時計台」で行われた、女性3人組ロックバンドTETORAのフロントマンである上野羽有音(うえのはゆね)による弾き歌いツアーに参加してきました。
会場となった「札幌時計台」は、1878年(明治11年)に建設され、正式名称は「旧札幌農学校演武場」。
クラーク博士で知られる札幌農学校(現在の北海道大学)の教育施設として建てられたもので、2階には演武場、1階には教室が設けられていました。
現在では札幌のランドマークとして、国内外の観光客に親しまれている時計台ですが、その特徴的な木造の建物と鐘の音が刻む静謐な時間の流れは、今なお札幌の原風景のひとつとなっています。

演武場としての顔を残す、時計台ホール

今回ライブが行われたのは、時計台の2階にある「ホール」。
この場所はもともと学生たちが軍事訓練や講義、演武などを行っていた「演武場」として使われていた空間で、天井が高く開放感に満ちています。
床や壁、天井には美しい木材がふんだんに使用されており、年月を重ねた木のぬくもりと香りが、訪れる者を静かに迎え入れてくれます。
最大で約130席程度の観客を収容できるこのホールは、小規模ながらも音の響きがよく、アコースティックな演奏との相性は抜群。
特に弾き語りのような“音の輪郭”が際立つ演奏には、この上ない会場といえます。
また、ホールの壁や梁には当時の建築技法が色濃く残されており、文化財としての重みと、音楽空間としての親密さが見事に調和していました。


上野羽有音の世界

会場の床や壁、天井には美しい木材がふんだんに使用されており、年月を重ねた木のぬくもりと香りに歴史を感じます。
そんな独特な雰囲気に、「昔通っていた高校に似ていてすごく好き」だと語っていました。
MCでは、札幌の空気や、過去に訪れた北海道での出来事について触れながら、観客との距離を縮めていました。
普段のバンドスタイルでは見ることのできない、
素朴で飾らない上野の姿に、会場全体が自然と引き込まれていきます。


“呼吸”で繋がるライブ体験

観客の息遣いまでも感じられるほどの静けさの中で響く歌声やギターの音は、
まるで建物そのものが共鳴しているかのように感じられます。
さらに、このライブの魅力を際立たせたのが、音の「余白」。
余計な装飾がなく、ただ声とギターだけで成り立つ世界。
観客の誰もが息を潜めるように耳を傾ける時間は、アーティストと観客が、同じ“呼吸”で繋がる瞬間でもありました。


感動を記憶する時計台の夜

「日常」「いまさらわかるな」未発表の新曲を含む全12曲を歌い切りました。
ライブ終了後、“時を刻む建物”から、“感動を記憶する場所”となった時計台の夜。
やさしく強く歌う上野の姿に、会場を後にする観客たちも、
まだ肌寒い札幌の夜を感じさせない、温かさに包まれているようでした。
思い出に残る貴重な1日になりました。


この記事を書いたモウラー

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ぴか