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終了しました【プレゼントあり】映画「PERFECT DAYS」共同脚本・プロデュースの⾼崎卓⾺氏が語る

終了しました【プレゼントあり】映画「PERFECT DAYS」共同脚本・プロデュースの⾼崎卓⾺氏が語る

12月22日(金)より全国公開となる映画『PERFECT DAYS』。
共同脚本・プロデュースである⾼崎 卓⾺ 氏が語るこの映画への思いを特別にお届けします。

映画「PERFECT DAYS」


映画「PERFECT DAYS」劇中写真1

映画「PERFECT DAYS」劇中写真2

<STORY>
東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、静かに淡々とした日々を生きていた。同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。
その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていた。
その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。木々がつくる木漏れ日に目を細めた。
そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。それが男の過去を小さく揺らした。

監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ヴィム・ヴェンダース、 高崎卓馬
製作:柳井康治
出演:役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和
製作:MASTER MIND 配給:ビターズ・エンド
2023/日本/カラー/DCP/5.1ch/スタンダード/124 分/G
原題:『PERFECT DAYS』
邦題:『PERFECT DAYS』
ⓒ 2023 MASTER MIND Ltd.


カメラの後ろも映ってしまう。それが映画だ。


映画「PERFECT DAYS」撮影風景

 役所広司さんがカンヌで最優秀男優賞を受賞した映画「PERFECT DAYS」が公開になる。監督はドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダース。映画をつくるプロセスで彼がこんなことをつぶやいた。「映画には、カメラの後ろも映る」。カメラの前にいてスクリーンに映るのはもちろん、俳優や美術など準備したものだ。でも映画はそれだけでなく、私たちスタッフを映すと彼は⾔う。

 もし、撮影しているときに録⾳するひとが退屈していたら、その退屈は映画の⼀部になってしまう。もし、準備のときに誰かが⾮礼を働いたら、どんなに優しいストーリーでもその優しさに素直になれない気持ちを⽣んでしまう。だから、映画は細⼼の注意と敬意を払ってつくらなくてはいけない。

 その⾔葉にとても共感をした。たしかにどんなに美しいものでもそう思えないものがある。どんなに切ないものでも冷めてしまうものがある。それをストーリーの破綻や、つっこみどころを探して、だからだと⾃分を納得させてきたがたぶん違う。カメラの後ろにある邪なものを、体が感じていたのだ。そう考えるととても腑に落ちる。


映画「PERFECT DAYS」撮影風景

映画「PERFECT DAYS」撮影風景

 この映画をつくるとき彼に約束をした。私が30年近く映像の仕事をしてきて出会った「好きなひと」か「尊敬できるひと」だけでチームをつくる、と。それは、ヴィム・ヴェンダースと映画をつくることができるという幸運を、そういう仲間と分かちあいたいと思ったからだ。それが結果的に素敵な“カメラの後ろ”を作った気がする。

 実際チームはスキルはもちろんだけれど、この幸運をかみしめながら、映画をつくるという歓びを毎⽇感じながら動いていた。途中から参加したキャストの⽅々はたいてい「こんなに温かい現場は珍しい」と⾔ってくれた。⽇々いろんなことが起きすぎて、それを乗り越えていくのに必死で、どこの何が温かいのかわからなかったけれど、たぶん全員が⼀⼈残らず、映画をつくる歓びのなかにいたからそう感じてもらえたんじゃないだろうか。

 そして、それがこの映画の読後感のひとつになっているような気もする。そう、この映画には“映画をつくる歓び”が映っている。映画という体裁をしているし、物語という外⾒をまとっているが、この映画は、もしかしたら⾒えないそれを2時間映しているのかもしれない。役所広司さんのあの演技の凄まじさを、撮り逃さなかったのは、きっとその歓びのおかげだ。役所さんもどこかのインタビューで、映画をつくるのってこんなに楽しいんだと再確認したとおっしゃっていたから、本当にスクリーンには物語のふりをした歓びが映写されているのかもしれない。


ⒸKazuko Wakayama

ⒸKazuko Wakayama

 短編映画の企画からはじまって、気がついたら映画になっていた。映画は私たちをカンヌのレッドカーペットまで連れていってくれた。⾏こうと思って⾏ける場所じゃないことは、⾏ってみるとよくわかった。ここに戻ってきたかったら、その歓びを忘れるな。その歓びを分かち合える仲間を忘れるな。そして、その歓びを伝えるだけのものをつくれ。何か⼤きなものにそう⾔われた気がする。

 賞をとろうと思う気持ちがあるとそれは映る。⾃分のためにという欲があるとそれは映る。そして、それはどんな脚本で物語を装っても隠すことはできない。そう考えると映画ってなんかとんでもないものだなあ。ずいぶんとんでもないものを、そうと知らずに相⼿にしてきたのだな。喧騒としかいいようのないビーチのパーティで、輪から離れてひとりビールを飲みながら⾃分の無知ゆえの無邪気さに笑った。夜中に轟⾳がして花⽕がバカみたいにあがった。⽬に映るもの全部が映画に⾒えた。


⾼崎卓⾺(映画PERFECT DAYS 共同脚本・プロデュース)

高崎 卓馬   プロフィール


高崎 卓馬 クリエーティブ・ディレクター

高崎 卓馬 クリエーティブ・ディレクター

1969年 福岡県生まれ
福岡県立修猷館高校、早稲田大学法学部卒業 
株)電通グループ グロースオフィサー /エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター 2度のクリエイター・オブ・ザ・イヤーなど国内外の広告賞、受賞多数。
映画「PERFECTDAYS」(WimWenders監督)では企画・脚本・プロデュースを担当。
著書に小泉今日子の親衛隊の少年たちの青春を描いた小説「オートリバース 」、広告スキルをまとめた「表現の技術」絵本「まっくろ」などがある。
J-WAVEで毎週金曜深夜「BITS &BOBS TOKYO」MCを担当。

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この記事を書いたモウラー

編集部

MouLa編集部

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