Vol.1「今日のごはん、何にしよう?」から始めない。チムチム算って何?

Vol.1「今日のごはん、何にしよう?」から始めない。チムチム算って何?

「今日のごはん、何にしよう?」

料理をする人なら、一度は考えたことがあるはず。レシピを探して、材料を確認して、足りないものを買いに行く。もちろん、それも料理の方法のひとつ。でも、もっと気楽に考えてみてもいいんじゃないか?

冷蔵庫を開けて、そこにあるものを見てみる。

「お肉があるな」
「野菜も何種類かある」
「味噌が残ってたな」
「じゃあ、これをどうしようか?」

そんなふうに、手元にあるものをひとつずつ足していく。メニューを先に決めて、材料をそろえるのではなく、材料から料理を組み立てていく。

宅配弁当のお店『free dining food チムチム』を営む中村さんが提案する「チムチム算」とは、そんな料理の考え方です。

連載初回となる今回は、まず「チムチム算って何?」から始まり、実際に中村さんちの冷蔵庫にあるものを、“足し算しながら”一品つくってみます。



NORTHERN SHAPERS-北をかたちづくるひと-チムチム 中村さん編はこちら

CHAPTER 01|そもそも「チムチム算」って何?

料理をするとき、私たちはつい「完成した料理(メニュー名)」から考えます。

「今日はカレー」
「今日は生姜焼き」
「今日はパスタ」

そして、その料理をつくるために必要な材料をそろえる。でも、チムチム算は逆です。まず、冷蔵庫にあるものを見る。そして、「これに何を足したら料理になる?」と考える。

チムチム算では、料理をひとつの「公式」のようにとらえて、

メイン食材(肉・魚など)
+ 野菜
+ 調味料
+ 香味
+ 調理法

という要素を足しながら、料理を組み立てていきます。


もちろん、毎回この5つの要素すべてがそろっている必要はありません。冷蔵庫にあるもの、その日の気分で使いたいものを組み合わせて考えていきます。

調味料の分量は、以下の通り。基本的に、うま味となるメインの食材に対して塩分量0.8%を守れば大丈夫!

ここで「塩分量0.8%?!」となりますよね?調味料それぞれの塩分含有量は違うので、おおよその使う分量を示したのが、下の基本の調味料の分量表です。


塩・醤油・味噌のほかに、オイスターソースやナンプラー、豆板醤など塩味を補う調味料をそろえておくと、料理の幅が広がってチムチム算もより楽しくなるはず。香味にあたるハーブやスパイスも同様にバリエーションがあると、さらにつくれるメニューが多くなります。


つくりたいレシピを見るたびに「これは何分焼くの?」なんて確認していませんか?こちらは調理法の基本的なルールをまとめたもの。これだけおさえておけば、大抵は調理し過ぎることなく、おいしく仕上がるはずです。



チムチム算で、まず覚えておきたいこと

ここで、ひとつ大切なのが、「組み合わせを気にしすぎないこと」。

「これとこれ、合わないんじゃない?」
「こんな組み合わせで、本当においしくなる?」

そう考えてしまうと、料理の選択肢はどんどん狭くなります。「合う・合わない」を最初から決めつけず、まずは足してみる。やってみて、ちょっと違ったら、次に何かを足してみる。逆に足しすぎたと思ったら、少し引いてみる。そんなふうに試していくことも、料理の楽しさです。



上記の画像はダウンロードが可能です。スマートフォンに保存しておけば、調理中でも手軽にご覧になれます。

CHAPTER 02|今日の冷蔵庫には、何がある?

さて、ここからは実践編です。

実際に中村さんちにあったもので、一品つくってみます。今回、冷蔵庫にあったものは…

  • 鶏もも肉
  • 玉ねぎ
  • ブロッコリー
  • ミニトマト

そして、常備していた調味料がこちら

  • 塩
  • 醤油
  • 味噌
  • 生姜

ここで、「これなら何がつくれる?」と料理名を検索するのではありません。

まずは、主役となる食材を決める。今回は鶏もも肉。そこに野菜を足す。今回は鶏もも肉とも相性の良さそうな玉ねぎを合わせます。そして、調味料には味噌を選びました。さらに香味として生姜。


冷蔵庫にあった鶏もも肉・玉ねぎ・ブロッコリー・ミニトマト

冷蔵庫にあった鶏もも肉・玉ねぎ・ブロッコリー・ミニトマト

ここまでで、今回のチムチム算は

鶏もも肉+玉ねぎ+味噌+生姜

となりました。あとは、どう食べたいか?

調理法は「焼く」を選びました。

CHAPTER 03|鶏もも肉+玉ねぎ+味噌+生姜。さて、どうする?

今回のチムチム算は、

メイン食材:鶏もも肉
+ 野菜:玉ねぎ
+ 調味料:味噌
+ 香味:生姜
+ 調理法:焼く

です。

味噌は焦げやすいので、同量程度の水で溶いて使います。冒頭の調味料の表にある通りの分量で。今回の場合だと鶏もも肉300gに、味噌大さじ3(18g)といった感じ。生姜はお好みで。すりおろしたものがベストですが、生姜パウダーで代用しても構いません。

「味噌+水+生姜」を混ぜ合わせた味噌だれを鶏もも肉になじませ、5分以上置きます。


味噌は同量程度の水で溶いてから鶏肉になじませる

味噌は同量程度の水で溶いてから鶏肉になじませる

あとはフライパンへ。

弱火で鶏肉を皮目から焼き始め、4分ほどでひっくり返します。これを2回ほど繰り返して火を入れていきます。

冒頭の「基本の調理法」にあった「焼く」の方法と少し違うのにお気づきでしょうか?連載初回から基本から逸脱した方法になりましたが(笑)、先述の通り、味噌は焦げやすいので今回は弱火でじっくり焼いていきます。また、ある程度水分をとばし濃厚な味に仕上げたいので、途中で「蒸らす」こともしません。


皮目から焼き始める

皮目から焼き始める


皮目から4分焼いてひっくり返したところ

皮目から4分焼いてひっくり返したところ

そして、玉ねぎを加えるのは最後にひっくり返すとき。これには理由があります。

鶏肉を焼いたフライパンには、肉汁と味噌だれが残っています。最後に玉ねぎを加え、その旨味と味噌だれを絡めることで鶏肉の旨味が移った玉ねぎまで、おいしく食べられます。


玉ねぎを加えるのは最後にひっくり返すとき

玉ねぎを加えるのは最後にひっくり返すとき

CHAPTER 04|足していったら、料理になった!

そして完成。今回できたのは、「味噌焼きチキン」。

ここで、もう一度考えてみます。最初から「味噌焼きチキンをつくろう!」と決めていたわけではありません。

鶏もも肉がある。
+ 玉ねぎを足す。
+ 味噌を足す。
+ 生姜を足す。
+ 「焼く」を足す。

その結果、できあがったのが「味噌焼きチキン」。


これが、チムチム算です。ブロッコリーとミニトマトも添えれば、一皿のできあがり。今回はブロッコリーを別の鍋で茹でましたが、電子レンジで加熱してもOKです。

CHAPTER 05|「何をつくろう?」から考えなくてもいい

「料理が苦手。」

「毎日の献立を考えるのが面倒。」

「料理が苦手」という人も、もしかすると、料理そのものより、毎日「何をつくるか?」を決めることに疲れているのかもしれません。「今日は何をつくる?」ではなく、「今日は何がある?」から始めてみる。

鶏肉がある。じゃあ、何を足す?玉ねぎがある。どう味付けする?味噌があるし生姜もある。じゃあ、焼いてみよう!

それだけでも、ちゃんと料理になります。もちろん、いつでも思った通りの仕上がりになるとは限りません。

「ちょっと味が濃かったな」
「思っていたのと違ったな」

という日もあるでしょう。でも、それも料理。理科の実験みたいに、「次はこうしてみよう」と楽しんでみる。

レシピに書かれた“正解”を再現するだけが料理ではありません。レシピ通りにつくってみても、自分の好みとは少し違うことだってあるでしょう?

だからこそ、自宅の冷蔵庫にあるものから、その日の気分で組み立ててみる。

チムチム算は、料理をそんなふうに考えるための方法なのです。


EX CHAPTER|中村さんのワンポイントな“与太話”

辛味は「辛くするため」だけじゃない

最後は、中村さんから料理にまつわる、ちょっとした与太話を。

一味・七味・山椒などの辛味の香辛料は、少量を加えることで味覚に刺激が加わり、料理の味わいをより感じやすくなることがあります。だからといって、たくさん入れて辛くするのではなく、ほんの少し。

入れすぎると辛味が強くなりすぎてしまうので、そこはほどほどに……。

料理に何かを「足す」――それは、味を濃くすることだけじゃない。ほんの少し足すことで、味の感じ方が変わることもある。何かを足すことで、料理の可能性が広がっていく。

これも、チムチム算の面白さかもしれません。



PROFILE|プロフィール



中村正敬|『free dining food チムチム』代表

自身の病気がきっかけで、2008年に“五感と身体に優しい食事”をコンセプトとした宅配弁当『free dining food チムチム』を立ち上げる。お弁当以外にもケータリングや年末年始に予約宅配を行うクリスマスオードブルやおせちも人気。2026年10月1日(木)からポッドキャストでの配信もスタート!




ポッドキャスト番組

“ながら”からはじめる料理教室-考えないレシピ チムチム算について

2026年10月1日(木)よりApple Podcasts、Spotify、Amazon Musicにて毎週木曜配信

 

 


この記事を書いたモウラー

編集部

MouLa編集部

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