キーワードは「アップサイクル」 今金町・法林寺のサスティナブルな取り組み
あなたは、お寺についてどんなイメージをお持ちですか?
「お寺はお通夜・お葬式のための場所」と思っていませんか?
お寺ならではの悩みごと、知っていますか…!?
お寺ならではの悩みごとを、サスティナブルに解決!
そんなお寺が今金町にありました。
キーワードは「アップサイクル」。
あなたが知らないお寺のリアル、紹介します。
境内を明るく照らす手作りキャンドル
今回おじゃましたのは、今金町市街地にある真宗大谷派大悟山法林寺(以下:法林寺)。
市街地が見渡せる場所にあります。
昔はさらに見晴らしのよい、日進地区にあったそうです。
伺った日は、2023年の大晦日。
年越しの瞬間を法林寺で迎えようと、多くの方が集まりました。
凍てつく境内を明るく照らす、キャンドルを見つけました。
なんと、このキャンドルは若坊守さんのお手製!
浄土真宗では、副住職の奥様のことを「若坊守(わかぼうもり)」と呼びます。
新設した納骨堂にも、キャンドルが飾られています。
若坊守さんは、3人の元気な男の子のお母さん。
環境問題にも高い関心を持ち、日々ご家族とお寺を懸命に支えています。
お寺のロビーには、季節のお花が活けられています。
こちらも、若坊守さんの大切なお仕事。
「花が好き。生け花の時間は頭の中でどんどんイメージが膨らんで楽しい」
そう語る若坊守さんの笑顔が印象的でした。
キーワードはアップサイクル
ところで、お寺と言えばロウソクとお花ですよね。
お通夜・葬儀・法事など、ロウソクとお花を使う機会が想像以上に多いんです。
1度の葬儀で、3~4本のロウソクを使うそうです。
お花も阿弥陀さまへのお供えとして飾りますが、夏場だとすぐにしおれてしまうので2~3日で交換するとのこと。
では、使ったあとのロウソク・お花はどうするのか…?
ほかに使い道がないので、捨ててしまうそうです。
「ただ捨てるだけなんてもったいない。どうにかできないか?」
ロウソクとお花のことが日頃から気になっていた、若坊守さん。
そこでふと、お付き合いのあるキャンドル作家つきあかりキャンドルさんの作品を思い出したそうです。
たびたび工房を訪れ、キャンドルの美しさを知った若坊守さん。
「残ったロウソクとお花で、キャンドルを作れないか?できるならつきあかりキャンドルさんの師匠から教えを受けたい」
そう思い立ち、函館市の710Candleさんを訪ねたそうです。
キャンドル作りのさまざまな手法を学び、残ロウとお花でコツコツ作り上げる。
いつの間にか、数多くのキャンドルができあがりました。
今では、お寺を訪れる人々の目を楽しませています。
お寺はみんなが集える場所
「お寺はみんなが集える場所なんです」
若坊守さんは、そうおっしゃいます。
「昔は「寺子屋」があった。今話題の「自己啓発」や「マインドフルネス」も、仏教が発祥。仏教やお寺って、じつは身近にあるんですよ」
法林寺を訪れる人のために、そして法林寺の歴史を後世に伝えるため。
自ら写真撮影し、ZINE(オリジナルのアートブック)を発刊しています。
お寺でのできごと・行事などをInstagramで発信しています。
ぜひ、見てみてくださいね。
さいごに
お寺は長年、そこに集う人々の真心によって運営されてきました。
「気軽に足を運んでほしい」と、若坊守さんはおっしゃっています。
少子化・核家族化が進み、自分のルーツについて振り返る機会が減ってしまった今の時代。
「みんなが集える場所」を守るために、さまざまな問題に一生懸命取り組む方がいらっしゃる。
そのことを、知っていただけたら幸いです。