北海道新聞2023年12月1日(金)に 映画「カムイのうた」に関する記事が掲載されました。
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<ユカラを紡ぐ 映画「カムイのうた」から>3*大塚友記憲さん=動植物や風景を撮影*100年前の風景 映像で表現
菅原浩志監督とは、東川町のPR動画や同町製作の映像作品「ヌプリコロカムイノミ」などで一緒に仕事をしました。今回は、道内の自然風景や動植物の映像を担当しました。製作前に監督から「知里幸恵さんが序文で描いた、100年前の北海道の風景を表現できる映像を撮ってほしい」と依頼されました。映画のロケハン(撮影前の下調べ)にも同行して大雪山系などを一緒に巡りました。
強く希望されたのがシマフクロウです。ただ、森で実物を見つけるのは大変でした。テントで2日間待ち続け、ようやく現れたシマフクロウは別格の存在感で圧倒されました。あんなに大きな鳥が悠然と木に止まり、夜になって「ボーッ」と鳴く…。まさしく「森の神」のように感じました。
昨年5月、大雪山系の小川で水中に生えたバイカモを夢中で撮影していたところ、ふと顔を上げると、遠くにヒグマの姿が見えました。慌ててレンズを付け替え、気がつかれないように後を追いました。緊迫感のある撮影でした。
他にもドローンを用いた撮影もしました。木が大きく揺れるほどの吹雪となった旭岳など、ドローンでしか撮れない景色があった。魚を捕るシマフクロウの視点をイメージし、道東の小川を低空で撮影したシーンもあります。
映画は、今ある環境を映像で残すという意味もあると思います。100年後の人たちに今の北海道の風景を知ってもらえる。今回は後世に残す価値ある映像を撮れたと思います。
おおつか・ゆきのり 1979年千葉県生まれ。2000年に東川町へ移住。大雪山系を中心に撮影を続ける写真家兼登山ガイド。観光協会、旭岳ビジターセンターなどでの勤務を経て21年に独立。
◇「ユカラ」の「ラ」は小さい字