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みんなのアート

みんなのアート

いよいよ札幌にも巡回してきましたね、「バンクシー展 天才か反逆者か」。
今回の展覧会はバンクシー本人が監修したものではなく、コレクターたちが所有している作品や、世界各国の壁に描かれたものを写真で展示するというもの。

本人が関わっていないとはいえ、これだけのボリュームで作品を見られる機会が、特に札幌で見られることは、そうそうないので、開幕早々に行ってきました。


バンクシーといえば、2018年に世界有数のオークション「サザビーズ」で落札直後に、額に仕掛けられたシュレッダーによって、作品が切り刻まれたことがニュースになり知った方も多いんじゃないでしょうか?翌年の東京で発見されたネズミのグラフティとかね。

彼自身は90年代後半から活動していて、僕はカルチャー雑誌の編集者やアート関連のキュレーターの友人たちから、「こいつかっこいいんだよね〜」と教えてもらったのが2000年ころ。90年代半ば以降にストリートカルチャーやファッションとリンクして盛り上がっていたグラフティのライターとして気にするようになった記憶があります。
今ではユニクロとのコラボでご存知の方も多いであろうKAWSやジェフ・マクフェトリッジ、ジェームス・ジャービスも同じころから活動していました。

僕はファッションや音楽からの派生でアンディ・ウォホールやキース・ヘリング、バスキアにはじまり、前述のグラフィックデザイナーやグラフティライターに惹かれてきました。ストリートカルチャーが出自の彼らは、いわゆるモネやピカソというアートよりかはわかりやすい分、少し敷居が低い感じがしていて「みんなのアート」だと思っています。


バンクシーはまさにそれで、もちろん、彼自身の体制や世相に対する“意見”をグラフティで表現しているんだけれど、それを一旦脇に置いてもシンプルにかっこいい。入口はわかりやすく、作品を見て引っ掛かったひとは、その背後にある事象を掘ればいい。それがアートに対する敷居を低くする「みんなのアート」。

どう思うか?感じたか?は十人十色だから、解説や作品脇に書かれたキャプションなんか、じっと読まずに、ただただ作品を見て、自分なりに思えばいい。素敵な映画を観たあとと同じで、見たあとのお互いの感想を語り合うのも楽しいものです。

僕は18歳と10歳になる娘たちと作品を一緒に見るのが一番楽しい。
予備知識も無ければ、作品キャプションもスルーする子どもたちが、立ち止まって見てる作品の感想がいちばん正直だし新鮮!圧倒的な作品を前にして見入る姿も何度も目にしてきました。


今回のバンクシー展に話を戻すと、話題性十分なこと、写真撮影がオールOKなので、いわゆるSNS向けな“映えスポット”が多くあること、これだけでも普段アートに興味がない方たちでも行くと楽しめると思います。
僕自身もすこしチャンネルを変えて、今回はそんな感じで楽しみました。

大人たちがどんな事象を描いた作品なのか?と見るのも良し、お子さんがいる方は作品と戯れるのも良し。
それが「みんなのアート」。そういった意味では意義のある展覧会なのかもしれません。




バンクシ―展 天才か反逆者か
期間    ~2022年5月31日(火)
10:00~20:00(入館は閉館の30分前まで)
会場    東1丁目劇場(旧北海道四季劇場)
札幌市中央区大通東1丁目10


この記事を書いたモウラー

副編集長

Kacko-A

[ A ](カッコエー)という屋号で、札幌を拠点に広告・ウェブサイトのクリエイティブディレクション、ウェブメディアの編集・ライティング、イベントやラジオ番組の企画など、いろいろやってます。