提供:北海道新聞社
【どさんこのソナエ】vol.1 備えておきたい基礎知識
2018年9月に発生した胆振東部地震をきっかけに、道民ならではの視点で災害に「備える」ために 北海道新聞社が立ち上げたプロジェクト「どさんこのソナエ」。
地震発生から5年を迎え、災害への備えを再度見直し、改めて防災・減災への意識を高めていくため、情報を広く発信していくことを目的に連載していきます。
vol.1のこの記事では、北海道ならではの自然環境も踏まえて、備えておきたい基礎知識や道具について紹介します。
今日から
避難場所を事前にチェック
災害発生時、時刻や曜日によっては、自宅以外の場所に居ることも。
避難場所と安全なルートは、自宅近くのものを調べることはもちろん、会社や学校、よく居る場所の近くのものまで確認しておきましょう。
とっさの行動シミュレーション
緊急地震速報が来てから実際に地震が来るまでの時間は数秒~数十秒。
とっさにできることを普段からイメージし、優先順位をつけておきましょう。
確かな情報を手に入れよう
災害後には、根拠のないデマが流れることも。
情報は 各自治体などの、信頼できる複数の情報源をもとに確認しましょう。
防災無線や防災気象情報、自治体が運営するSNSの公式アカウントなども事前に要チェック。
家具を固定しよう
壁に穴を開けたり、大掛かりな器具を使用しなくても、身近なアイテムの活用や、複数の固定法の組み合わせによって転倒防止効果を高めることができます。
①収納箱と天井の隙間を2cm以内にする
②収納箱の裏に粘着マットをつけて下の家具と一体化させる
③ストッパー式器具を下につけて強度を高める
④キャスター付きの家具は、移動防止ベルトとキャスター下皿を組み合わせて固定
もしもに備えた部屋作りを
地震の際には、家具が倒れて通路をふさいだり、思いもよらぬケガや火災を引き起こすことも。
改めて、家具配置を見直してみましょう。
習慣に
寝室には懐中電灯と履物を
就寝時の安全を確保するためにも、寝室の家具は背丈の低いものにしましょう。
なるべく物を置かない心掛けを。
暗闇やガラス片の中でも行動できるよう、懐中電灯と履物を手の届く場所に置いておきましょう。
ローリングストックのすすめ
いつも使っている食料品や日用品を少し多めに購入し、日常の中で備蓄しながら使う方法。それが 「ローリングストック」。
いざという時の食料を確保できます。
定期的に使いながら買い足していくことで賞味期限切れのリスクも回避。
常温保存ができる野菜や家庭菜園も、役立ちます。
いつも持ち歩くものにも備えを
外出中の災害に備えて、必要最小限の防災グッズを、普段の持ち物にも プラス。
携帯電話の予備バッテリーや、LEDライト、非常時の連絡先や健康保険証などの身分証明書、ティッシュ、ハンカチ、マスク、筆記用具などは普段から習慣にしておくと便利です。
女性は、生理用品なども入れておくとさらに安心です。
持ち物
年齢やライフスタイルに応じた備えを
世代や性別によっても必要な準備は違うもの。
ここでは基本の防災グッズに+αで準備しておきたいアイテムをまとめました。
女性のそなえ
・生理用品、 清浄綿
・鏡、ブラシ、化粧品など
・膀胱炎を防ぐためにも、携帯トイレを準備
・個人で使えるビデの口先
・毎日着替えができない時に同じ服を隠せる割烹着など
・被災地での洗濯時にも周りの目が気にならないようなカップインタンクトップ
・着替えの際に目隠しになるポンチョ型のカッパ
シルバー世代のそなえ
・常備薬やお薬手帳
・補聴器や杖などの器具(電池もお忘れなく!)
・下着の替えとしても使える尿漏れパッド
・コンパクトに持ち運べる折り畳み椅子
・古い眼鏡は捨てずに緊急用として持っておくと便利
妊娠中のママや幼児のためのそなえ
・母子健康手帳、健康保険証、お薬手帳、診察券
(大切なページはクラウドに保管するのも役立ちます)
・洗浄綿、おむつ(お尻拭きは体を拭くのにも有用)
・授乳用ケープやミルクセット(日頃の授乳方法に合わせて)
・スプーン、紙コップ、 キッチン用ラップ
・ガーゼ(歯の汚れ落とし、顔を洗う、乳児のお世話など)
・抱っこ紐(避難時にも両手がつかえるように)
・非常食、 離乳食
・災害時の口内炎や栄養不足を防ぐビタミン剤、粉末青汁などのサプリメント
・着替え、靴、防寒具
非常持ち出し袋を準備しよう
避難する際の物資を納めた非常用持ち出し袋は、自分にとって必要な物を考えて準備する。
持ち出せる量は、成年男性で約15kg、成年女性で約10kg、子ども・高齢者で約6kgを想定。
置き場所は玄関の近くや寝室、車の中など、避難時の動きや、家の倒壊も想定して考えてみましょう。
冬の対策
停電時の防寒方法
停電時で暖房設備が使えないときには、毛布や衣類、身の回りにある道具を使用して寒さをしのごう。
①床にマットや畳を敷く(段ボールでも効果あり)
②隙間風をガムテープで塞ぎ、建物の気密性を確保
③施設内の通気性を考慮し、間仕切りを撤去する
④備蓄している毛布やストーブ等を活用(換気に注意)
⑤冬山用の断熱マットや保温性の高いシートを活用
車内の防寒対策は空気の層を意識して
車は冷えやすいので、窓側に段ボールを置いたり断熱のもの(気泡シート)を貼る。
帽子などで頭を温め、足はカバンに入れて足首に空気の層を作って保温しましょう。