
提供:北海道マイホームセンター
平屋を選んだ石川家のこだわりと想い
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江別市に暮らす石川家は、夫の智啓さん(38)、妻の加菜さん(36)、そして5歳・3歳・1歳の三姉妹という、にぎやかな5人家族です。子育ての拠点をどう築くか──その問いに向き合い、夫婦がたどり着いた答えは「平屋の家」でした。
限られた土地や予算、そして日々変わっていくライフスタイル。家づくりには多くの選択肢があり、ときに夫婦の意見が食い違うこともあります。それでも試行錯誤を重ねながら、自分たちの暮らしに最も合った住まいを形にしていく過程には、共感や発見があふれていました。
今回のインタビューでは、家を建てるきっかけから平屋を選んだ理由、ハウスメーカーとのやり取り、そして実際に暮らしてみて感じた変化まで、石川家の「家づくりの物語」を伺いました。なお本文中では、ご夫婦をそれぞれ 智啓さん、加菜さん とお呼びしてご紹介していきます。
子育ての拠点を作るために
まず最初にお聞きしたいのが、家づくりを考え始めたきっかけです。どんなタイミングで、どんな理由があったのか教えていただけますか?
加菜さん
結婚当初は釧路にいて、夫が住んでいた小さなアパートで暮らし始めました。子どもが3人生まれ、だんだん手狭になってきて…。夫もちょうど釧路勤務10年目で、転勤の話が出るかもしれない時期だったので、「そろそろ家を建てようか」と具体的に考え始めました。
智啓さん
私の実家が江別にあって、祖母がこの土地を持っていたんです。長い間空き地になっていたこともあって、「ここに住んでほしい」と祖母から声をかけてもらったことも、家を建てる大きなきっかけになりました。
転勤が決まって、土地の目処も立ったタイミングで、本格的に家づくりを始められたんですね。
智啓さん
いやいや、その時はまだ戻れるかどうかは分からなかったんですけど、もうさすがに10年いたので「そろそろ転勤かな?」って思って。実際には転勤が決まる1年くらい前から物件を見始めて、“かけ”みたいなノリで、辞令が出る前に思い切って契約しちゃったんです。
転勤になったとしても、必ず札幌に戻れるわけじゃないですもんね?
智啓さん
最悪は単身赴任も覚悟して…っていう感じでした(笑)。
加菜さん
当時の家だと、家族5人では子どもたちも窮屈で…。ちょうど土地の目処も立っていたので、「釧路市内で引っ越すくらいなら、もう江別で建てちゃおう」ってなったんです。子育ての拠点をしっかり作りたい、という思いも大きかったですね。
私たちが平屋に決めた理由
最初から戸建て一択だったんですか?それとも、マンションという選択肢もあったんでしょうか?
加菜さん
私も夫も戸建てで育ったのですが、自分たちが戸建てで育ったからこそ、「子どもを育てるならやっぱり戸建てだよね」って自然に思えたんです。のびのびと育てたいから──その気持ちは夫婦で共通していました。
戸建てといっても二階建てや三階建てもある中で、どうして“平屋”を選ばれたのですか?
加菜さん
私の実家は階段が多い造りでした。子どもの頃は特に不便を感じなかったのですが、妊娠して里帰りしたときには、その上り下りが本当に大変で…。初産のときから苦労しましたし、2人目、3人目の出産時には、まだ1歳や2歳の子どもを連れての生活で、改めて“階段ってこんなに大変なんだ”と実感しました。
さらに、親を見ていると、最初は2階で寝ていたのに、だんだん階段を上がるのが億劫になってきて、布団を1階に持ってきて、生活のほとんどを1階で済ませるようになっていって…。その姿を見て、“2階って、もしかして無駄なんじゃない?”って感じるようになったんです。私たち夫婦もいずれ年をとりますし、30年、50年と住み続けることを考えると、やっぱり暮らしやすさが一番大事。そう思うと、建てるならやっぱり平屋がいいな、って自然に思うようになりました。
智啓さん
私の仕事柄、いろんな方のお宅に伺う機会が多いんですが、ご高齢で亡くなられた方のお家に行くと、2階がほとんど使われていないケースをよく目にしてきました。2階建てにしても、結局は生活の中心が1階になって、身の回りのことも全部1階で済ませるようになる。
そう思うと、最初から平屋でいいんじゃないかなって。子どもたちもいずれ家を出ていくでしょうし、将来自分たちが年を重ねてからの暮らしを考えても、やっぱり平屋の方がいいなと思ったんです。
ハウスメーカー選びの決め手は?
たくさんあるハウスメーカーの中から、最終的に“ここだ!”と決めたポイントは何だったんですか?
智啓さん
平屋って、2階建てに比べると基礎や屋根の面積が広くなる分、材料費や建築費が増えてしまうので、どうしてもコストが高くなりがちなんです。でも坪単価で見ると、結局は2階建てとあまり変わらない、なんてケースも少なくないんですよね。そんな中、北海道マイホームセンター(森林公園駅前会場)でモデルハウスを見学していたときに、一条工務店さんから「平屋でも坪単価は変わらないですよ」と提案をいただいたんです。それで“これはぜひ詳しく聞いてみたい”と思って、お話を伺うことにしました。
北海道マイホームセンターでは、たくさんのモデルハウスを見学されたんですか?
智啓さん
実は、その日に回ったのは2〜3棟ほどだけだったんです。その中で一番最後に見たのが、一条工務店さんのモデルハウスでした。他のハウスメーカーさんもどれも素敵だと思ったんですが、一条工務店さんの家は特にイメージがしやすくて。“ここに住んでいる自分たち”という姿を一番リアルに思い描けたんです。
加菜さん
すごくノーマルな感じだったんですけど、そのぶん自分たちの暮らしを一番イメージしやすかったんです。
家づくりを進める中で、ご夫婦が特に大切にされたことを教えてください。
智啓さん
設計で大事にしたのは、廊下をなくしてリビングからそのまま各部屋につながるようにすることでした。いわばリビングに子ども部屋が隣接しているような感じですね。思春期になったら「ちょっと嫌だ」と言われるかもしれませんけど(笑)、リビングを通って子ども部屋に行く動線にしたいと思っていました。
加菜さん
リビングとつながって子ども部屋があると、リビングが散らからなくて助かるんですよね。
たいてい子ども部屋って2階にありますけど、子どもが小さいうちは1階で遊ばせることが多いので、どうしても1階にキッズスペースが欲しくなるんです。リビングに子ども部屋があると、友達が来ても子どもたちはそこで遊んで、大人はリビングでおしゃべり。すぐ隣にいるから様子も見られて安心なんです。ママ友からも喜んでもらえています。
ハウスメーカーさんに希望を伝えるとき、イメージ通りにうまく伝えられましたか?
加菜さん
最初に間取りを提案してもらった時には、こちらの希望がなかなか反映されなくて…。いただいたプランに修正希望を書き込んで渡したのですが、戻ってきたプランは思っていたものと大きくかけ離れていました。
もちろん、家としては問題はないのですが、私たちの希望が反映されておらず。その後、口頭でも改めて伝えたのですが、状況はなかなか改善しませんでした。一条工務店さんの魅力でもあるのですが、耐震性や断熱性といった機能性の基準が非常に高い一方で、どうしても間取りの自由度が限られてしまう面があるようです。私の友人にも一条工務店さんで家を建てた人が5、6人いるのですが、みんな同じような状況だったらしく、結局“自分でアプリを使って間取りを作った”と話していました。そこで「私たちもやってみよう!」と思い立ち、希望を図面化して設計士の方に伝えることにしたんです。そうすることで、少しずつイメージを共有できるようになっていきました。
自分たちで考えた間取りって、そのまま実現できるものなんでしょうか?
加菜さん
設計士の方からはプロならではの視点でアドバイスをいただきましたし、ハウスメーカーとして“できること・できないこと”もあるので、自分で作ったプランを叩き台にして、それをベースに調整していく──そんなやり取りを何度も繰り返しました。 大変な作業ではありましたが、そのプロセスを経たことで設計士の方ともコミュニケーションが取りやすくなり、結果的にお互いのイメージをすり合わせやすくなったと思います。
間取りを決める以外に大変だったことはありますか?
加菜さん
やはり情報収集ですね。自分たちのイメージにぴったり合う情報って、なかなか見つからないんです。ネットには膨大な情報があって、調べれば素敵な写真やアイデアがいくらでも出てきますけど、全部を取り入れるわけにはいかない。結局、“本当に自分たちに必要なのは何か”を考えながら取捨選択していく作業がとても大変でした。
しかもその時期にちょうど出産も重なって、心が折れそうになる瞬間もあったんです。
それでもなんとか乗り越えて…振り返れば、この時期が家づくりの中で一番の山場だったかもしれません。
家づくりで実現した、わが家のこだわり
住んでみて“やっぱりこれは正解だった”と思える工夫やこだわりのポイントはどこですか?
加菜さん
玄関からキッチンや洗面所、浴室といった“水回り”へつながる動線は、実際に暮らしてみてもとても快適だと感じています。玄関を広くしたのも大正解でした。子どもたちが外で泥だらけになって帰ってきても、玄関で服を脱いでそのままお風呂へ直行できるので、本当に使い勝手がいいんです。それから、玄関を開けてすぐキッチンにつながる間取りも気に入っています。あまり一般的ではないかもしれませんが、買い物から帰ってきて玄関前に車を停め、玄関を開けたらすぐキッチン。重い荷物もすぐに収納できるので、とても便利なんですよ。
確かに、玄関あけてすぐキッチンがある間取りって見たことないですよね。
智啓さん
今回の家づくりでは、基本的にデザインよりも機能性を重視しました。ただ、その中でもキッチンだけは特別でした。リビングに大きく構えていて、この家の象徴的な存在でもあるので、違和感がないように、機能性はもちろんデザイン面にもできる限りこだわって仕上げたんです。
加菜さん
デザインについては、最初から細部まで作り込みすぎると、ライフスタイルや好みが変わったときに改修が大変になりますよね。そこで、家そのものはあえてシンプルなデザインにしました。将来「雰囲気を変えたいな」と思ったときに、手軽にリフォームしたり、インテリアやちょっとした工夫で気軽に対応できるようにしたんです。
加菜さん
パウダールームや洗面台まわりも、かなり細かく計算してつくりました。我が家は子どもが3人とも女の子なので、思春期になった頃に、朝の身支度で洗面台を奪い合わないよう、全員が並んで使える広さにしたんです。
さらに、洗濯物を干すスペースも効率よく使えるように、物干しの位置を数センチ単位で設計しました。毎日の家事や生活動線がスムーズになるよう工夫できたのは、本当に良かったと思っています。
夫婦の意見、ぶつかることはあった?
理想の家をつくる過程で、ご夫婦の意見が食い違う場面はありませんでしたか?
智啓さん
いやぁ、正直、最初はほとんど意見が違ってましたね(笑)。
加菜さん
そうそう。夫は“機能性第一”、私は“見た目も大事!”というタイプ。だから最初は何かとぶつかりました(笑)。実は、一条工務店さんにお願いするかどうかも、最初は夫婦で意見が割れていたんです。私は“外観や内装をもっと自由にできるメーカーの方がいいな”と思っていたんですけど、夫は“機能性なら絶対一条工務店!”って聞かなくて(笑)。でも、周りの人の意見も参考にするうちに、私も“一条工務店さんがやっぱりいいかも”と思うようになって、最終的に決めました。
智啓さん
夫婦で意見が食い違ったときには、周りの客観的な意見を参考にするのも大切だと思います。私たちの場合、どうしても意見がまとまらないときには、一条工務店さんのモデルハウスを見に行っていました。材質の使い方や内装デザイン、カラーバリエーションなど、カテゴリーごとに見て回ることで、“この感じがいいね”と共通のイメージを持てるようになる。そうやって体感しながら話し合うことで、自然と解決策が見つかることも多かったですね。
意見が食い違ったときには、モデルハウスを見に行かれていたんですね。確かに、モデルハウスは“どんな家に住みたいか”を考えるときに訪れるだけでなく、夫婦の意見をすり合わせる際のヒントにもなるんですね。
新しい暮らしで生まれたわが家の新習慣
新しい家に住んでみて、“前はやらなかったけど、今は自然とやるようになったこと”ってありますか?
加菜さん
床の段差をなくしたことでお掃除ロボットが使えるようになり、さらに他の家電もいろいろ全自動化したので、家事の手間がぐっと省けました。その分、以前はなかなか手が回らなかった細かいところまで掃除できるようになったんです。
智啓さん
私は休みの日や余暇の時間によく料理をするんですが、今回の家づくりでは特にキッチンにこだわりました。計画の段階から、“キッチンを隅に追いやるのではなく、リビングの中心に置きたい”と思っていたんです。料理をしながら家族と会話をしたり、子どもたちの様子を見守れる空間にしたいと考えていました。
実際に完成したキッチンはとても使いやすく、動線もスムーズ。調理や片付けの効率が上がっただけでなく、リビングに自然と会話が広がるようになりました。
そのおかげで、以前よりもキッチンに立つ時間が確実に増えたと思います(笑)。ただ料理をするだけの場所ではなく、家族とつながれる場所になったことが本当に嬉しいですね
加菜さん
キッチンはリビングの主役になり、玄関を入ってすぐの位置にあるので、“常にきれいにしておきたい”と思うようになり、毎日こまめに掃除をするように心がけています。先ほどもお話ししましたが、今の家になってからは家事全体にかかる時間に余裕が生まれ、そのおかげでキッチンの片付けや掃除にもきちんと時間を取れるようになったと感じています。
振り返って気づく家づくりのターニングポイント
もしタイムマシンで過去に戻れるとしたら、家づくりのどの段階に戻ってやり直したいですか?
加菜さん
最初に見学した平屋のモデルハウスにロフトが付いていて、それがとても素敵に見えたんです。それで“ロフトをつける前提”でプランをお願いしました。ただ、後から冷静に考えてみると、私自身そもそも階段も2階もあまり好きではなかったんですよね。だから「やっぱりロフトはいらないな」と思い、プランから外してもらいました。
でも、そのときは“ロフトありき”で設計されたプランからロフトだけを外す形で進めていったんです。今振り返ると、ロフトを外すだけではなく、“最初からロフトなし”という前提でゼロから考えてもらっていたら、もっといいプランができていたかもしれないなと思います。もしタイムマシンで戻れるなら、その計画段階まで戻ってやり直してみたいですね。
智啓さん
やはりプロにしか分からない視点ってたくさんあると思うんです。だからこそ、“ロフトをつけない前提”でゼロから設計したプランを一度見てみたかった。もし戻れるとしたら、設計の軸が決まるあの段階に戻りたいですね。
本日はお忙しい中、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
さいごに
取材を通して感じたのは、「家は建てて終わりじゃなくて、家族の暮らしと一緒に育っていくもの」という石川さんご夫婦の思いでした。
平屋という選択や、生活動線を大事にした間取り、将来の変化に合わせやすいシンプルなデザイン──その一つひとつに、家族5人が心地よく暮らすための工夫が詰まっていました。
新しい住まいで生まれた習慣や、夫婦のやりとりから自然にこぼれる笑顔は、この家づくりが「ただの建物づくり」ではなく、家族の絆を深める時間だったことを物語っています。これから子どもたちが成長して、やがて巣立っていっても、この平屋はきっと石川家の暮らしの中心であり続けるはずです。そこには「自分たちの暮らしに正直に向き合ったからこそできた住まいの形」があるのだと思います。
今回の石川家の物語が、これから家づくりを考える方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。