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人呼んで「きのこ3兄弟」。父から受け継いだ、こだわりが詰まった三位一体のきのこづくり

提供:北海道比布町

人呼んで「きのこ3兄弟」。父から受け継いだ、こだわりが詰まった三位一体のきのこづくり

大雪山系の豊かな自然に囲まれた、北海道中央部に位置する比布町。スキーといちごが特産のこの町で、きのこ栽培を手掛けるユニークな呼び名の兄弟がいる。

比布町で舞茸・なめこ・きくらげ・米などを栽培する遠藤農産は、「きのこ3兄弟」こと遠藤崇さん、亮さん、洸明さんの3人の兄弟で切り盛りをしている農家だ。彼らが作るきのこは、2016年の「北海道きのこ品評会」にて最高賞である金賞を受賞するなど、高い品質が評判を呼び、現在全国各地へ出荷されている。

予想外?バラバラだった3兄弟を引き合わせたのは、父から受け継いだ「きのこづくり」


取材に応じてくれた洸明さん。きくらげの栽培を担当している

遠藤農産は比布町で4代続く歴史ある稲作農家だ。きのこ栽培を始めたのは今から54年前、兄弟の父親である正明さんが国の減反政策を受けて手掛けたのが最初だ。

小さい頃から自然と農作業を手伝う環境で育ち、仲の良い3兄弟ではあったが、今のように農家で一緒に仕事をするとは思っても見なかったそう。長男の崇さんは学校を卒業した後に実家を継いだものの、他の二人は最初全く違う道を選んでいたのだ。

次男の亮さんは建築会社に就職し、三男の洸明さんは音楽の道にのめりこんだ。しかし、心のどこかで父親と兄のことが気がかりだったのかも知れない。バラバラの道を歩んでいた兄弟だったが、紆余曲折を経て、同じ場所に戻り一緒に働くことになったのだ。

試練の3年間。舞茸栽培へのチャレンジ


2005年に新しい工場を増設したことを機に、遠藤農産では従来のなめこ栽培に加え、新規事業として舞茸の栽培を手掛けることになった。その重要な使命を託されたのは亮さんで、最初は「きのこなんてどれも一緒」くらいの気持ちで考えていたそうだが、これがとんでもない苦労の連続だったという。


舞茸の菌床がずらりと並ぶ。倉庫いっぱいに積み上げられたコンテナは圧巻の光景


「培養」の過程で舞茸を大きく育てる。遠藤農産で使用する舞茸は菌にもこだわり、北海道でしか作られていない菌から栽培を行っている

実は、舞茸は非常に栽培に技術がいるきのこで、温度・湿度・換気・光の条件がバランスよく揃わなければ、美味しいきのこを作ることはおろか、発生すらしないのだ。

亮さんもいざ育ててみると、一向にきのこが出来てこない。色んな人に聞いても原因がわからず、周りの農家に聞いて何度試しても失敗の連続だった。先生(生産者)に何度も教えを請うも、皆一様に「部屋(発生室)に入った時の雰囲気が大事」といい、その意味を理解するまで部屋にこもりきりの日々が続いた。

結局、安定的に生産・販売できるまでに5年の歳月を要したという。


洸明さんのつくるきくらげは、一般的な栽培方法に自分なりの工夫を加え、あえて大ぶりにすることで差別化にこだわっている

一方、洸明さんも苦労の伴うチャレンジに向き合っていた。中国の食品残量農薬問題を機に、国産きくらげの栽培に着手したのだ。

実際に取り組んでみると、温度・湿度・換気のバランスが難しく、さらに栽培を行っているそれぞれの部屋ごとでも特有の「クセ」があり、条件を細かくチューニングすることが求められ、最適な条件を見出すまでには繰り返しの試行錯誤と、長い時間を要した。


きくらげの栽培は、大きな部屋で光、湿度、換気をコントロールして行われている。普段目にすることのない光景はとても新鮮

私達がスーパーなどで何気なく手に取っているきのこは、非常に繊細な条件のもと作られ、生産者の絶え間ない苦労のもと日々食卓に届けられているのだ。

大きな工場で作るなめこに圧倒!3兄弟が作る大きなきのこの魅力


なめこの加工ライン。菌床からなめこの収穫・パック詰めの工程までを自動で行う。工場で生産した商品は道内各地へ出荷されている

遠藤農産の生産で約6割を占めるなめこは、機械化された近代的で大きな設備で栽培を行っている。菌床となるおがくずの充填からきのこを発生させるまでの多くの工程で機械が活躍している。


なめこの培養スペース。菌床が入ったコンテナが体育館ほどもありそうな大きなスペースに21万本!も並べられている。この量があと2部屋もある


生産されるなめこは年間で300トンになり、1日に換算すると1.3トンもの出荷量を誇る

さらに、加工からパック詰めまでも自社で行っており、自動化された製造ラインが稼働している光景は圧巻だ。多くのパートさんが働き、全国各地への出荷に対応している。


舞茸は手作業で加工し、一つ一つ軽量を行ってパック詰めされている

「北海道きのこ品評会」にて最高賞受賞のまいたけを始め品質の高さが評価されている

きのこは作り手の技術やこだわりが味に特徴がでる作物であり、遠藤農産では特に「大きさ」「旨味」「香り」にこだわっている。


崇さんが担当する「なめこ」は同社の主力商品で、肉厚で旨味が濃く、特に食感にこだわっており、食べごたえが抜群。


亮さんが担当する「舞茸」。一般的に販売している舞茸は100g程度に対し、遠藤農産の舞茸は500gという大きさを誇る。単純に量やサイズが大きいだけでなく、一つ一つのカサに厚みがあり褐色も美しく、しっかりとした旨味が感じられるのだ。


洸明さんが担当の「きくらげ」は、ひとつあたりの大きさにこだわり、普段目にするきくらげと比べるとその大きさは驚くほど。さらに歯ごたえもシャキシャキと楽しい。

最寄りのスーパーにない場合は、ふるさと納税から入手できる

3兄弟それぞれのこだわりと物語が詰まった大きなきのこたちは、各地のスーパー等小売店での取扱はもちろん、比布町のふるさと納税でも手に取ることができる。

品評会でお墨付きの絶品きのこを、生産者に思いを馳せながら味わっていただきたい。


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※記事の内容は取材当時のものです。