道内の観光・グルメ・おでかけ情報満載 MouLa HOKKAIDO(モウラ北海道)

【越冬キャベツ】放置したら美味しくなっちゃった?北海道の雪が育んだ奇跡の食材

【越冬キャベツ】放置したら美味しくなっちゃった?北海道の雪が育んだ奇跡の食材

冬から春先にかけて販売される「越冬キャベツ」。
一度収穫したキャベツを、雪の下で寝かせることでよりおいしさが増す、北海道ならではの食材です。
もともと北海道には、雪を冷蔵庫代わりに利用する「雪室(ゆきむろ)」という貯蔵方法がありました。
でも実は、越冬キャベツは雪室を利用したわけではなく、出荷せずに畑に放置していたら、雪のなかで美味しくなっていた、という偶然の産物なのです。

こちらの記事では、越冬キャベツの特徴や産地、品種を解説。おいしい食べ方も紹介するので、ぜひ最後までお読みください!

越冬キャベツとは?特徴や誕生の経緯を解説!


越冬キャベツは、ある偶然によって生まれた存在です。
こちらではまず、越冬キャベツの特徴や産地、品種について解説します。

【特徴】雪の下で冬を越すことで甘みが増加


越冬キャベツとは、秋頃に根を切ったキャベツを、雪の下で寝かせて越冬させたもののことをいいます。
雪の下で寝かせておくことでキャベツに含まれるデンプンが糖に変化するため、通常のキャベツに比べて甘みが強いことが特徴です。

越冬キャベツは、11月頃に根を切って収穫したキャベツをそのまま畑に並べておき、雪の下で越冬、熟成させます。
根を切ったキャベツは、穴が開いたマルチ(ビニールシート)の上に並べます。
そこへ雪が積もることで、地面の熱と雪が含む空気層による断熱効果で、キャベツは凍らずみずみずしさを保ったまま冬を越せるのです。
スコップで掘り出すのは難しいため、大半の農家は工事現場でよく見かけるショベルカーを使って、雪の下にあるキャベツを収穫するとのこと。
市場に出回るのは、およそ12月中旬から3月上旬頃までが目安となっています。

通常のキャベツは根切りしてそのまま出荷しますが「越冬キャベツ」は雪の中から掘り起こす作業も加わります。手間暇かけて育てられた、特別なキャベツなのです。

【産地】和寒町が発祥


越冬キャベツは北海道の和寒町(わっさむちょう)で誕生したブランドキャベツです。

誕生のきっかけは、キャベツが獲れすぎてしまったことでした。
昭和43年、秋キャベツが豊作過ぎて価格が下がってしまう、という出来事が起こりました。
出荷しても採算があわないことから、収穫せずにキャベツを畑に放置したまま冬を越した農家がいたそう。
春になって雪が溶けた畑を見てみると、そこには青々としたキャベツがありました。食べてみると、甘みが増しており、試しに出荷してみたところ高値で取引されたそうです。

この出来事をきっかけに、JAのキャベツ部会は約10年の試行錯誤を経て、キャベツを越冬させる技術を確立していきました。

2010年には「和寒越冬キャベツ」の名前で商標登録され、「越冬キャベツ=和寒町」というブランド化に成功したのです。
10年経過した2020年には更新手続きを行い、商標権の存続期間が10年延長されています。

そのため、雪の下で越冬させたキャベツはほかの地域でも栽培されていますが「越冬キャベツ」の名前を名乗ることができるのは和寒のキャベツだけとなっています。

【品種】越冬キャベツの品種


キャベツにはサワー系やボール系などの種類がありますが、越冬キャベツとして栽培される場合は「寒玉系(かんだまけい)」の品種が多くなっています。

越冬キャベツの里である和寒町では、以下のような品種が選ばれています。

  • 湖月SP:栽培が簡単で、品質も安定している。低温下で甘みとうま味が強くなる。
  • 冬駒:寒さに強く、雪の下で越冬しても腐敗しにくい。葉に厚みがあって実が引き締まっている。
  • サトウくん:糖度が高く、芯まで甘い。加熱することでより甘みが増す。
  • 寒さに強く、甘味がある品種を選ぶことで、雪の下で冬を越しても傷まずにおいしく食べられるキャベツが収穫できるのです。

    【意外な組み合わせも】越冬キャベツのおいしさを引き出す食べ方5選


    越冬キャベツとして栽培されている寒玉系のキャベツは、カットしても水分が逃げにくく、加熱しても形が崩れにくい特徴があります。
    サラダのように生で食べても良し、煮たり炒めても良しなオールマイティーな食材です。
    以下ではおすすめの食べ方を5つ紹介します。

    食べ方①|塩とごま油をかけてシンプルな塩キャベツ


    みずみずしさと甘さを蓄えた越冬キャベツは、まず生で食べてみてください。
    一口大に切ったら、塩とごま油をかけるだけで箸休めや酒のツマミとして楽しめます。
    お好みで塩昆布やおろしニンニクを追加するなど、アレンジしてもいいですね。
    すぐ作れて手軽なのに、しっかりおいしい食べ方です。

    食べ方②|煮込んでも湯がいてもおいしい!鍋料理


    越冬キャベツが出回る12~3月は鍋がおいしい季節でもありますね。
    鍋スープでほかの食材とじっくり煮込んでも、しゃぶしゃぶのようにサッと湯がいてつけダレで食べても最高。
    キャベツの甘みとスープやタレの塩気があわさって、ご飯が進んでしまいます。

    食べ方③|サッと炒めて食感を楽しむ回鍋肉


    肉厚で水分がたっぷりな越冬キャベツは、炒めても抜群のおいしさを発揮します。
    雪の下でじっくりとうま味や甘みを蓄えた越冬キャベツなら、オイスターソースや甜麺醤のガツンとした味にも負けません。
    ガッツリ食べたいときには、回鍋肉で味わってみるのもおすすめですよ。

    食べ方④|新食感!キャベツの天ぷら


    意外に感じるかもしれませんが、キャベツは天ぷらにしてもおいしいんです。
    サクッとした衣に越冬キャベツのしっとりとした甘さが絶品の組み合わせ。
    天つゆはもちろん、塩であっさりいただくと、越冬キャベツのうま味を最大限に味わうことができます。

    食べ方⑤|意外とあう!キャベツカレー


    カレーにキャベツといえば、付け合わせのサラダをイメージする方が多いかもしれません。
    でも、カレーの具としてキャベツを入れるのもおすすめなんです。
    北海道グルメのひとつ、スープカレーでは、カレーを盛ったお皿の底に一口大にカットしたキャベツが敷いているお店もあるほど、カレーとキャベツはポピュラーな組み合わせとなっています。
    ルーカレーの具としても相性抜群です。カレーのスパイスと越冬キャベツの甘みが、お互いの存在を引き立てあうおいしさを、ぜひ味わってみてください。

    【まとめ】旬のおいしさを味わって


    栽培技術の進化によって、季節を問わずおいしい食材が手に入るようになりました。
    でも、越冬キャベツは、雪がある冬から春にかけてしか味わうことのできない野菜です。
    お店で見かけたら、ぜひ手に取ってみてくださいね。

    関連記事
    冬の味覚を堪能!「和寒町×COCONO SUSUKINO 越冬キャベツフェア2025」開催

    この記事を書いたモウラー

    メディア

    g通JOURNAL

    あなたの人生を少しだけでも面白く。