
【春が旬】行者ニンニクがおいしくて体にいいのは6つの栄養があるから!
北海道でおなじみの山菜、行者ニンニク(アイヌネギ)。3~6月頃にしか食べられない、春を代表する食材です。
行者ニンニクは、「行者」と呼ばれる仏道の修行者が、山中での厳しい修行中に食べて精力をつけていたことからその名がついたと言われています。
種まきをしてから食べられるようになるまで、およそ5年もの期間がかかる行者ニンニクには、一体どのような栄養素が蓄えられているのでしょうか?
こちらの記事では、行者ニンニクに含まれる栄養素や食べすぎることで起こる症状について解説します。
栄養素を効率的に摂取できる食べ方も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
食べて元気!行者ニンニクに含まれる栄養素
修行中の僧侶が栄養をつけるために食べていたと言われている行者ニンニクですが、どんな成分が含まれているのでしょうか?
こちらでは、行者ニンニクが持つ栄養素とその作用について解説します。
【βカロテン】抗酸化作用と免疫賦活作用で体を活性化
βカロテンは、活性酸素から体を守る「抗酸化作用」や、免疫機能を活性化させる「免疫賦活作用」を持つ栄養素です。
また、体内でビタミンAが不足したときには、必要な分だけビタミンAに変換される、という役割も持っています。
ビタミンAは目の健康を守ってくれる成分ですが、摂りすぎるとめまいや吐き気、肝機能障害などの健康被害を引き起こす可能性があります。そのため、過剰摂取にならないよう注意が必要です。
しかし、βカロテンは体内で必要とされている分だけがビタミンAに姿を変えます。
必要なかった分はそのまま体の外へ排出されるので、摂りすぎを心配する必要がないのがメリットです。
【ビタミンK】血と骨に欠かせない栄養素
ビタミンKは血液を固める、骨を強くするなどの役割を持つ栄養素です。
ビタミンKが不足すると血が固まりにくくなるため、体をぶつけたときにアザができやすい、鼻血がでやすくなるといった症状が見られるようになります。
また、骨の健康を守るためにもビタミンKは欠かせません。
ビタミンKにはカルシウムを骨へ沈着させる効果があるため、骨粗しょう症の治療薬としても使われています。
血管が硬くなって血液が詰まりやすくなる「動脈硬化」の進行を抑える働きも持っており、ビタミンKは健康維持に必須の栄養素と言えるでしょう。
【カリウム】塩分を調節する役割
カリウムは体内の塩分を排出させる作用があります。
高血圧の人は、血圧が上がりすぎないように塩分を控えるようかかりつけ医から指導されることがありますが、同時にカリウムを摂ることで血圧を下げる効果をより高めることができます。
カリウムといえば高血圧予防に役立つ栄養、というイメージが強いかもしれませんが、筋肉の動きや神経伝達を調整するなどの役割も担っています。
【植物性たんぱく質】体を作る栄養素
たんぱく質は筋肉や臓器などを作る重要な栄養素で、アミノ酸によって構成されています。
たんぱく質は20種類のアミノ酸が含まれていますが、そのうちの9種類は「必須アミノ酸」と呼ばれ、体の中でつくることができないため、食事から摂取することが必要です。
植物性たんぱく質の一部は必須アミノ酸の量が不足している、といわれることもありますが、動物性と植物性、両方をバランスよく摂ることが大切です。
アメリカのハーバード大学が約30年にわたって行った調査では「動物性たんぱく質と植物性たんぱく質を2対1の割合で摂取すると、心血管の疾患予防効果が高まる」との研究結果がでています。
大豆や小豆などの豆類に多く含まれる植物性たんぱく質ですが、葉野菜の中では芽キャベツやしそに次いで行者ニンニクに多く含まれています。
【葉酸】血を作るビタミン
葉酸はビタミンB群に属する栄養素のひとつで、ビタミンB12と一緒に赤血球を作る作用があることから「造血のビタミン」とも呼ばれます。
また、DNAの合成や修復を促して細胞の生産や修復をサポートする働きもあるため、体の成長に重要な役割を果たします。
葉酸は「胎児の神経管閉鎖障害リスクを減らす」として、妊娠中の方に積極的な摂取が推奨されています。そのため、女性に必要な栄養素というイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、男女とわず重要な存在なのです。
【アリシン】冷え性や動脈硬化を予防
アリシンは血液をサラサラにする働きがあるため、血流を良くして冷え性や動脈硬化を予防する作用が期待できます。
また、コレステロール値を下げる作用があり、ビタミンB1と一緒に摂ることでインスリンの分泌を促進する効果も期待できます。
高脂血症や高血圧、高血糖といった生活習慣病にお悩みの方は意識的に摂取したい栄養素です。
要注意!摂りすぎると良くない栄養素は?
行者ニンニクに含まれる成分は、どれも健康にとって欠かせないものです。
しかし、極端に食べ過ぎる、あるいは持病がある場合には逆効果なこともあります。
たとえばカリウムは、通常の食事の範囲なら摂りすぎの心配はありませんが、腎臓の働きが落ちているとうまく排出できずに高カリウム血症になってしまうことがあります。
高カリウム血症になると手足のしびれが起こるようになり、最悪の場合は心停止につながることもあるので、腎臓病をお持ちの方は注意が必要です。
また、アリシンは生活習慣病の予防に役立つ栄養素ですが、摂りすぎると胃の粘膜を傷つけてしまい、胃痛や胃潰瘍を引き起こすことがあります。
健康に良いからといって食べすぎることはせず、食事のバランスを意識したいですね。
必見!行者ニンニクの栄養素を損なわない食べ方3選
行者ニンニクにはさまざまな栄養素が含まれていますが、調理方法によって効率的に摂取できることもあれば、反対に破壊してしまうこともあります。
こちらでは、行者ニンニクの栄養素をおいしく効果的に摂取できる食べ方を3つ紹介します。
【油いため】βカロテンやビタミンKの吸収率がアップ
βカロテンやビタミンKを効率的に摂取したいなら、油と一緒に食べるのがおすすめです。
脂溶性であるβカロテンは、油を使って調理したり、脂質を多く含む食品と一緒に摂ると、吸収率がアップします。
健康を考えて油やドレッシングは控えたい、という方は、卵や肉とあわせると良いですよ。
【スープ】葉酸を逃がさず食べきる
葉酸は水溶性ビタミンなので、茹でるとお湯の中に溶けだしてしまいます。
また、熱に弱い性質も持っており、高温で炒めると壊れてしまうという欠点もあります。
葉酸をしっかり摂取したいという場合は、行者ニンニクをスープにして食べるのがおすすめです。
食材の栄養素が溶けだした汁ごと食べられるので、葉酸も逃さず摂取できますよ。
【水餃子】ビタミンB1とアリシンで疲労回復
アリシンが豊富な行者ニンニクと、ビタミンB1がたっぷりの豚肉を一緒に食べることで、疲労回復効果がアップします。
アリシンの独特な香りは食欲増進効果もあるため、夏バテや仕事の疲れがたまっているときなど、元気になりたいときに食べるのがおすすめです。
【まとめ】行者ニンニクを食べて元気になろう!
以上、行者ニンニクの栄養について解説しました。
行者ニンニクは、葉野菜のなかでは珍しくたんぱく質を含み、ビタミンやカリウムなど健康パワーがアップする栄養素も豊富です。
雪が解けた春は、行動が活発的になる季節。行者ニンニクからおいしく効果的に栄養をとって、元気に過ごしてくださいね。