「生きていること自体が表現」山岸靖司 インタビュー|札幌・茶廊法邑で個展開催中

「生きていること自体が表現」山岸靖司 インタビュー|札幌・茶廊法邑で個展開催中

札幌市東区のギャラリーカフェ「茶廊法邑」で開催中の「天と地と人と 〜 この瞬間 全ては完璧に調和する」の作家・山岸靖司氏(以下、山岸氏)。彼は札幌に拠点を置いて道内の様々なアーティストをサポートしつつ、自らも独創的な世界観でアートを発信し続けている。そんな山岸氏に今回の展示について語ってもらった。

タイトル「天と地と人と」に込められた意味とは

ー今回の展示「天と地と人と 〜 この瞬間 全ては完璧に調和する」ですが、ここ最近は大判プリントを天井から吊るすインスタレーション的なニュアンスも感じられる展示が多いですね。

山岸氏:はい。その時々で自分の表現に最適だと思われる手法を用いて展示しています。今回は会場がカフェということもあり、ご来場者が居心地良く過ごせる空間になるよう工夫しました。照明についても、着席してお茶を楽しんでいるお客様が眩しくないように配慮しています。

ー会場内に作家プロフィールや作品解説などの案内は見当たりませんが。

山岸氏:この展示についての説明的なものは一切ありません。ご来場者には先入観なく自由に鑑賞していただき自由な感想を得ていただきたく、私の意識(意図)を感じさせるものは全て排除しています。

ー全部で50点を超える大判プリントがギャラリーの天井から吊り下げられていますが、それぞれのプリントのサイズ、吊り下げ位置の高さや間隔が完璧に空間にマッチングしてますね。

山岸氏:ありがとうございます。天はすなわち宇宙を意味し、地は地球を表します。その間に人がいるという構造ですね。それをそのままタイトルにしました。

ー展示を拝見してみて「この瞬間 全ては完璧に調和する」という副題のフレーズが、まさにその通り再現されていて心に響きました。

山岸氏:そうですか。それはとてもうれしいです。


山岸靖司 個展「天と地と人と 〜 この瞬間 全ては完璧に調和する」


無数の大判プリントが天井から吊り下げられた展示会場

ノーファインダーが捉える目には見えないエネルギー

ー両面印刷された大判プリントを一本の糸で吊り下げることによって、会場内を人が歩けば微風がおきて作品が揺らぎますよね。その浮遊感が絶妙で感心しました。

山岸氏:ありがとうございます。宇宙も地球も人々も目には見えない周波数、波動、エネルギーなどでつながり、共鳴していると私は考えています。そのイメージを表現しました。

ーさらに展示された全ての作品がブレてたりボケてたりして、視覚効果を増幅させていると感じましたが。

山岸氏:べつに視覚効果を狙って撮影しているわけではないのですよ。そもそも写真を撮っているという感覚もありません。もう随分前からノーファインダーで撮影しています。ファインダーを覗いて撮るということは、そこに私の意識が生じてしまいますからね。私が表現したいのは次元を超越した目には見えないエネルギーのようなものであり、カメラはそれをとらえるための道具にすぎないのです。カメラのこちら側にいる私の存在すらも写り込まないようにしています。


ゆらめく展示作品の浮遊感が独特の雰囲気を醸し出す


「写真を撮っているという感覚はない」と話す作家の山岸靖司氏

「生きていること自体が表現」 アートの世界へ覚悟(覚醒)した瞬間

ーもともとは写真業界にいらしたので写真家として紹介されることが多いですよね。

山岸氏:今の私はアートの世界にほとんど移行してますが、写真撮影の仕事もしています。自分の中では写真家という意識はあまりないというか、写真は表現手段のひとつだと考えています。

ーいつ頃からアート活動に主軸をおくようになったのですか。

山岸氏:さぁ、いつからでしょう。自分は神だと気づいた時からですかねぇ(笑)。とにかく自分の魂に沿ってやりたいことを自由にやっています。自分は写真家であるという意識もありません、それだと逆に自分の能力に制限を設けてしまうような気がしまして...。宇宙も地球も人々も、あらゆるものが周波数を帯びていて、当たり前にそこにある水にも空気にも光にも感謝できる心を持った時、腑に落ちたといいますか覚醒したのだと思います。生きていること自体が全部表現だと思いますので、作品を発表している時だけが表現だとは思ってないですね。山岸靖司という作品を生まれてから死ぬまでかかかって作っているというイメージですかね。

ー最後に山岸さんの今後の展望についてお聞かせください。

山岸氏:今後の展望はありません。今この瞬間を自分の魂に沿って生きる、それだけです。その瞬間その瞬間の意識の積み重ねが過去になり、その瞬間その瞬間の選択が未来へ繋がっていくのだと思います。私には過去も未来も関係ありません。今この瞬間こそが最も大切だと思っています。私はこの世界を物質というよりエネルギー体として見ています。私が表現している世界が、誰かの気づきにつながるきっかけになってくれたら嬉しいです。


生きていることそのものが表現だと語る山岸氏

個展会場は札幌市東区のギャラリーカフェ「茶廊法邑」

会場の「茶廊法邑」では植物をスキャニングしてアート作品を制作している孫田敏氏の個展「植物細事記 vol.3.5」も同時開催中。また、山岸靖司氏、孫田敏氏、両氏の立体作品なども販売している。会期は7月2日(木)まで。


茶廊法邑では孫田敏氏の個展「植物細事記 vol.3.5」も同時開催中


山岸氏と孫田氏の表現手法は対照的だが同じ会場に展示されていても全く違和感がない


茶廊法邑の店内では山岸氏と孫田氏の立体作品が多数販売されている


ギャラリーカフェ 茶廊法邑

住所
札幌市東区本町1条1丁目8-27
電話番号
011-785-3607
営業時間
10:00〜18:00
定休日
火曜

【同時開催中】孫田敏 個展「植物細事記 vol.3.5」鑑賞レポートはこちら

この記事を書いたモウラー

モウラー

AkiraTanisugi

函館在住のフォトグラファーです。土方歳三の肖像写真を撮影した写真師・田本研造をルーツにもつ百年写真館を営みながら、北海道の歴史やアイヌ文化をテーマにカメラとともに旅をしています。かつて婦人生活雑誌の大手出版社で社カメをしていた経験を活かしたくモウラーになりました。音楽はハードロックが大好きです。取材のご依頼などございましたらお気軽にご連絡ください。よろしくお願いします。