「こども本の森 札幌・北大」が北海道大学に開館|安藤忠雄設計・予約制の話題の図書館に行ってきました

「こども本の森 札幌・北大」が北海道大学に開館|安藤忠雄設計・予約制の話題の図書館に行ってきました

待望の「こども本の森 札幌・北大」​が開館しました。北海道大学に設置され、全国で6番目の「こども本の森 札幌・北大」。建築家安藤忠雄氏✖️ ブックディレクター幅允孝氏のプロデュースに加え北大の知と子供達への愛が選んだ15,000冊の圧倒的な迫力。さらに名誉館長にはヤマザキマリさんが就任!予約制・貸し出し不可のユニークな図書館であなたも刺激爆発の読書体験をしてはいかが?

8月1日「こども本の森 札幌・北大」がオープン

北海道大学構内ならではの独自の14のテーマ

ガラスでできた木の切り株を模った思いがけない建築

開館した「こども本の森 札幌・北大」は初日からずっと予約でいっぱい。かなり前から話題とあって、さすがの人気です。一瞬、キャンセルによる一人枠があいたので予約に成功!早速、出かけてきました。


構内の木を可能な限り切らずに設計されていて曲線の美しさが際立っています

北大の正門から入って少し歩くと、中央ローン左手に「こども本の森 札幌・北大」はあります。建築デザインは、エクステリアはひとつの木の切り株をイメージしてつくられています。「こども本の森 札幌 ・北大」では安藤建築の代名詞でもある打ちっぱなしコンクリートではなく、全面がガラスで覆われ、視界は館内からサクシュコトニ川へとシームレスに広がっているのが大きな特徴です。


「こどもたちに」にと選ばれた本であるにも関わらず大人の好奇心を掻き立てるエディションは健在

こどもの視線を大学・世界へと誘う魅力的なテーマ

札幌には、すでに絵本の図書館があります。また幅允孝氏プロデュースによる札幌市図書・情報館があるので、大人がワクワクする幅氏のセレクションによる書棚の凄さは、こどもも含め広く知られています。北海道大学にも、一般には公開されていないものの、見事な専門性を極めた図書施設が完備されています。こうした環境で、新しくもう一つ図書館を作るなら、との工夫が独自テーマの設定です。


「芸術と創作」コーナーはどの「こども本の森」でも前に立つと興奮が止まらなくなります

大阪、神戸といった他の「こども本の森」と違って目に入ったのは、マンガとともに図鑑の多さでした。


近くに『旅の絵本』があったりしてそれほど目立ちませんが、実は、図鑑がそこここにあります


「動物との共生」のテーマブロックには様々な切り口の多くの図鑑が

動物の物語は、多くのこどもが最初に手に取るものではないでしょうか。訪れた日にディスプレイされていた本で、ひときわ目を引いたのは『かばくん』でした。赤い表紙の絵本をひらくと、親子のかばの物語に、普段気になる時間が早く流れることを忘れさせられました。他にも手に取れる高さに絵本が多数並んでいる点は、こども本の森共通の魅力です。


図書館ではテーマの題字よりこちらに向けられた本の表紙が「自然との共生」の意義を雄弁に伝えます

また、大型の写真集と漫画、小説など、絵本中心のセレクションというよりは、幅広い読む・見る体験への誘いがそこここにありました。


キング牧師の笑顔とともに一気に普遍的なテーマへの跳躍が

もうひとつ、目が吸い寄せられたのは、「未来をつくる」本棚のナナメ向かいに、北大ならではの「学ぶことの可能性」というコーナーが設けられていたこと。本の表紙に誘われて次々と本を手に取ると、気がついたら人によっては敬遠しそうな「学ぶ」嬉しさに引き寄せられます。


「学ぶことの可能性」の題字のすぐ脇に『窓際のとっとちゃん』がありました

図鑑といえば、牧野富太郎博士が「発明」し、日本中を沸かせて人々に受け入れられたカテゴリーです。学ぶことからおびただしい島の固有植物の「発見」へとまさに跳躍した牧野博士にも静かにオマージュが払われていました。


牧野博士のエッセイを集めた『なぜ花は匂うか』のディスプレイに博士への敬意が感じられます

「青年よ、大志を抱け(Boys, be ambitious)」の地で

安藤忠雄氏のこどもへのメッセージ


書架をめぐるとすみの方にそっと安藤忠雄氏のメッセージがありました

人々がスマホ、そしてAIに翻弄され、個人の独自性がどこかへ消え入るかどうかが問われる今だからこそ、「北海道から地球を考える」との安藤氏の言葉は重いです。彼のメッセージを読みながら、確かに本をじっくり読むことが減ったと、思い返す瞬間になりました。

クラーク博士の呼びかけは「Boys(青年)」でしたが、じゃあ「Girls は?」への気になった答えもありました。「北海道の作家」の書棚には、女性作家が連綿と連ねられていて、男性は池澤夏樹だけで圧巻でした。


「北海道の作家」では女性の活躍が目覚ましいことが一目でわかります

北海道でクラーク博士が「青年よ大志を抱け」とのメッセージを発したのは1877年。それから150年を迎える今、北大の地で、「こども本の森 札幌・北大」を起点に、こどもたちに再びこの言葉を本の花束とともに伝えることは、新しい図書館ができたことだけを意味するのではありません。待ったなしの過疎化や少子高齢化に悩む日本に、最前線「北海道」という北の大地から、カーブに切られた書棚をめぐりながら一緒に考える機会を作りましょうと呼びかけることでもあります。


館内から北大キャンパスの中央ローンを見ながら本を開く体験はとても贅沢

当日枠は20名。一回の予約で堪能しきれない興奮を抱えて、続けて並ぶ人も。洗練された幅氏の書棚に、北大の先生たちが独自に選んだブックリストと、引きこもった過去もある名誉館長のヤマザキマリさんがセレクトした本が同居している「こども本の森 札幌・北大」は、とてもユニークで、驚きがありながら、優しい表情をしています。

館内は木の年輪かのような本の迷宮になっています。「こども本の森」の「こども」にまどわされてはいけません。「こども本の森 札幌・北大」では、世界のサラダ本があったりと、すべての世代に開かれた明日へと飛び立つ気持ちを年齢を問わず感じることができます。

「こども本の森 札幌・北大」では、入館時間内ならシートを借りて館外に本をもちだして読む、北大ならではの体験も!まさに、夏の爽やかな森の中に佇む「こども本の森札幌」に今すぐでかけましょう〜


こども本の森 札幌・北大

住所
札幌市北区北8条西6丁目(北海道大学構内・南門付近)
電話番号
011-788-8700
備考
🔳開館時間
10:00-18:00
※事前予約枠は10:00-11:30、12:00-13:30、14:00-15:30、16:00-18:00
🔳休館日|第2水曜(施設点検日)、第4水曜(図書整理日)、および年末年始(12月29日~1月3日) ※年1回の蔵書一斉点検期間、北海道大学の行事等に伴う臨時休館日あり
🔳入館料|無料

この記事を書いたモウラー

モウラー

ヨウコ

旅が好きです。島好きが高じてフランス領の小さい島や日本の南島を訪れインタビューに没頭していたら、50歳半ばで結婚、十勝に住む機会が飛び込んできました。
出会いって思いがけずやってきます。
油を売って見つけた友人との十勝をご紹介します。