北海道のムーブメント(movement)と裏側(uragawa)を網羅する

映画「カムイのうた」主演吉田美月喜さんインタビュー

北海道東川町では、アイヌ民族をテーマにした映画「カムイのうた」を制作しています。MouLa HOKKAIDOでは、2023年秋の公開に先駆け、映画関係者やアイヌ文化に関わっている方々にお話を伺うプロジェクト「つながる、つづく、カムイの想い」を進行中。今回は主演の女優・吉田美月喜(みづき)さんに映画にかける想いから撮影の裏話まで色々詳しく伺うことができました。

女優になったきっかけは?

編集部
今日はよろしくお願いします。

吉田
よろしくお願いいたします!

編集部
今日は色々お話を伺いたいのですが、まず最初に吉田さんが女優を志したきっかけを教えてください。

吉田
小学生の頃にモデルに憧れていたことがあって事務所に入ろうか悩んだのですが、母から「もしもあなたの人生がモデルの仕事に縁があるなら、必ずまたチャンスは来ると思うよ。」とアドバイスを受けてその時は諦めました。それ以降はずっとスポーツに夢中になっていました。笑

編集部
スポーツはテニスをやられていたと聞きましたが。

吉田
あ、そうです!テニスやバスケをやっていました。中学校3年生の頃に、芸能関係の事務所から声をかけていただける機会が増えるようになり、小学生の頃の母からのアドバイスの通り、これはチャンスがきたかも!と感じて、母に相談したところ賛成してくれたので、女優になることを決意しました。

主人公「テル」を演じる際にこだわったことは

吉田
「テル」という役は知里幸恵さんがモデルになっているのですが、最初に台本を読んだ時に「テル」はとても芯のある女性だと感じました。知里幸恵さんが19歳当時のお話が今回のメインになるのですが、奇しくも私も同じ19歳(インタビュー時)ですが、自分と比較しても同じ年齢とは思えないくらいすごく芯があって大人な女性だと感じたのでお芝居する時にはとても意識しました。一方で、恋をしたり、19歳の女の子らしい一面もあるので、その辺も感じられるように演じました。

編集部
同じ19歳として親近感を持てた分演じやすい側面もあったと思うのですが、
逆に演じるうえで難しく感じたことはありましたか?

吉田
今回の映画はアイヌ文化がテーマの作品ですので、アイヌの人々や文化についてたくさん学ばせていただきました。また、知里幸恵さんという実存した方がモデルの役を演じる上で、彼女の凄さや、人としての魅力を多くの方に正確に知っていただくために資料を読み込み少しでもリアリティを高められるように意識しました。アイヌの方々が見ても失礼のないように、納得して頂ける作品になるように努めました。


吉田さんが思うアイヌ文化の素晴らしさとは

編集部
今回の撮影を通して、アイヌ文化についていろんなことを知ったと思うのですが、素敵だなと感じた考え方はありましたか?

吉田
アイヌの文化にはひとつひとつの「モノ」に神様が宿るという考え方があって、今回の映画のセリフにもあるのですが、水を床にこぼしてしまった時に「大丈夫だよ、床の神様が喉乾いていたんだね」って言うシーンがあり、その考え方がとても素敵だなと思いました。私が普段暮らしている中で「モノには神が宿っている」と考えたことはなかったので、とても新鮮でしたし、とても素敵だと感じました。

編集部
私も今までそのような発想をしたことはなかったですが、確かに素敵な考え方ですよね。

吉田
モノがあふれてる時代だからこそ、このようなアイヌの人々の考え方は、私たちの日常の中にも取り入れるべき考え方だと思いました。

編集部
今回吉田さんが学んだアイヌ文化について、東京にいる友達にも何か教えてあげましたか?

吉田
今回は、夏と冬に分けて撮影があったのですが、夏の撮影の後地元の友達に会った時に「北海道どうだった?」と聞かれる機会も多く、その度に撮影で習得したアイヌの楽器“ムックリ”の演奏を披露していました。作品の中で演奏するにあたりかなり練習したので、せっかくだから友達にも披露してみたのですがみんな想像以上に喜んで聞いてくれます。伝統的な楽器は誰が見ても、聞いても興味深く新鮮な出会いだと思うので、今後も楽器を通じてアイヌ文化のことを少しでもいろんな人に伝えたいなと思いました。

編集部
楽器や音楽だと日常の中で常に意識できるし、タッチポイントも多くなるからアイヌ文化をいろんな人に知ってもらうにはとても良い方法ですね。

吉田
アイヌの人々は子熊を育てながらクマと一緒に暮らしていた話をすると「えっ?!熊と一緒に住んでいたの?!」と、とてもびっくりされました。アイヌ文化について全く知らない友達も、こうやって日常会話の中でアイヌ文化について触れることで、話せば話すほどすごく興味を持ってくれることがわかりました。

実は、東京にもアイヌ料理店があるのをご存知ですか?私のムックリの練習を指導してくださった方がオーナーのアイヌ料理店があって、実は意外と東京でもアイヌ文化に触れられる場所があることもぜひ多くの方に知ってもらいたいです。


編集部
え!?東京にアイヌ料理店があるんですね!?全然知らなかった。笑

吉田
あるんですよ!新大久保に!笑
今って、アニメでもアイヌ民族をテーマにした作品が人気ですよね。そんなアニメファンの方とかも実際のアイヌ料理が食べたくなったら、その新大久保のお店に行かれているようです。

今回の映画「カムイのうた」って、どんな方に見て欲しいですか?

吉田
この映画作るにあたり、アイヌの方々やアイヌ文化を知っている北海道民のみなさんに納得していただけることを大切に考えていましたので、ぜひ実際に映画を見ていただけたらと思いますし、知里幸恵さんという素晴らしい女性がモデルになっているので年齢性別問わずどのような方が見てもきっと色んな気付きがあると思います。

今回の作品の中で私が演じる「テル」は、差別を受けてたくさん辛いこともあったのですが、その中でも強く生き抜いた女性なので、もしも今何かに悩まれている方にとって、もう少し頑張ってみよう!と勇気を与えられる作品になってくれたならこんな嬉しいことはありません。

編集部
そうですね。そういう意味では小学生とか中学生にもたくさん観てもらいたいですよね。子供たちが観ても十分理解しやすい映画になってますよね。

吉田
はい、そうだと思います!

編集部
夏と冬と北海道に滞在してロケをしていたと思うのですが、北海道の印象はいかがですか?

吉田
夏は1か月間北海道に滞在して撮影していたのですが、私自身とても良い経験になりましたし、とにかくとっても楽しい撮影だったので終わってしまうのが名残惜しい気持ちでいっぱいです。
北海道のロケーションや、冬の厳しさ、美しさも一緒に多くの方に伝えられたら嬉しいです。

編集部
本日はお忙しい中ありがとうございました。


この記事を書いたモウラー

編集部

MouLa編集部

MouLa HOKKAIDO編集部アカウントです。