
北海道に移住して驚いた!思わず「え?」となる冬のローカル文化10選
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本州から北海道に移住して約7年が経つ筆者。冬を何度も越えた今では慣れたものの、最初の冬は衝撃の連続だった。
気温や雪の量だけではなく、生活の細部にまで北海道独自の文化がしっかり根付いているのを肌で感じる。今回は30代の道外出身者である筆者が、実際に生活してみて「これは知らなかった!」「本州とは全然違う…!」と驚いた 北海道の冬の風習・言い回し・食文化 を10項目にまとめて紹介する。
「雪、投げておいたよ」=雪を片付けておいた、の意味だった
北海道に来て一番最初に戸惑った言葉がこれ。
「雪、投げた?」「ゴミ投げといて」など、“投げる”=捨てる・片付ける の意味で使う。
雪かき後に「雪、投げておいたよ」と言われ、道外出身の私は「え、投げた!?」と本気で勘違いしたほど。冬に限らず「投げる」という言い回しをよく耳にする。
冬道でよく聞く「道路わやだわ」
北海道弁で“わや”は「めちゃくちゃ」「ひどい状態」という意味。さらには良くも悪くもカオスな状態の時に道民からは"わや"というワードが自然と出てくる。
吹雪で視界ゼロ、圧雪と轍でガタガタ、渋滞で進まない…。そんな日に道民が口をそろえて言うのが「わやだわ」。
気象条件が厳しい北海道だからこそ、状況の悪さを端的に伝える便利ワードとして定着しているのだろう。
手袋は「はく」ものだった
道外で育った私は、手袋は“つける”もの。しかし北海道では手袋は「はく」が普通。
「手袋はきなよ」と言われて一瞬フリーズ。「いや、足じゃないし…」と思ったのはきっと私だけではないはず。冬、毎日手袋を使う地域だからこそ、生活の言い回しとして自然に使われている。北海道で生まれた我が家の子どもたちは筆者より「手袋はく」を使いこなしている。
雪道は「ペンギン歩き」が基本動作
雪国初心者が必ず経験するのがツルツルの冬道での転倒。筆者も転職活動の最終面接で会社へ向かう道中で転び、「縁起わるい」と思いながらも今の会社に就職できた思い出が…。
そんな北海道民の歩き方の極意は 「ペンギン歩き」。足をまっすぐ下におろし、重心を前に置かず、小股でてくてく進む。氷点下の夜を越えたカッチカチの路面になった朝には、みんなこの歩き方をしていて不思議な光景になる。
まぁ結局「ペンギン歩き」をしても転ぶときは転ぶのだが。
「ブラックアイスバーン」という恐怖の単語
車を運転する人が、北海道の冬道で最も恐れるのが「ブラックアイスバーン」。ドイツ語で”氷の道”という意味のアイスバーンだが、もう「ブラック」な「アイス」で「バーン」!ワードが強い。
見た目は乾いた路面に見えるのに、実は薄い氷が張っていて、歩きでも車でも思いがけずツルッといく。ブラックアイスバーンのせいで追突事故が多発する。
本州ではまず聞かない言葉だが、北海道では天気情報でも普通に使われる。移住者として初めて聞いたときは、言葉の意味の怖さに震え、そして実際にブレーキをかけても全然止まらない車にさらに震えるのだ。
マンホールや歩道から出る白い「湯気」
冬の北海道を歩いていて驚くのが、歩道やマンホールから立ち上る白い煙。一瞬なんだ?と思うがよく見るとただの湯気。これは地下の温水管(融雪設備)やロードヒーティングの熱によるもの。
「街が湯気を出してる…?」と最初は怪奇現象かと思ったほど。本州ではなかなか見ない、北海道の冬を象徴する光景。(冬の東北や北陸でも同じ光景を見た)
力士のごとく路面に撒く「砂」(すべりどめ材)
北海道では道路が凍るため、凍結防止剤だけではなく、すべりどめの砂(小石)を大量に撒く。交差点には砂箱が設置され、後に歩く人のために砂を撒いて歩いていく。その光景はまるで土俵で塩をまく力士のごとく。
そのため冬の歩道はジャリジャリした音が響き、靴底には砂が挟まり、玄関が砂まみれになるのも冬の風物詩。
おせちは「大みそか」から食べ始める
北海道では、大晦日におせちを食べる「年取り膳」の文化が残っている。鍋などを囲んで年を越す本州のイメージでいたら、急におせちのお重が出てきてビックリ。本州では「元日に食べるもの」というイメージが強いので、最初は本当に驚いた。
大晦日に家族でゆっくりとごちそうを囲み、年越しを迎える—これが北海道流の過ごし方。おせちのタイミングひとつで、地域の文化差を強く感じる。
赤飯の豆は「甘納豆」がスタンダード
本州の赤飯といえば小豆(あずき)。しかし北海道の赤飯のスタンダードは 甘納豆。初めて見たとき、たまたま小豆が無くて代わりに入れたのかな?と勘違いしたほど。甘納豆のサイズだけでなく、食べてみるとちゃんと甘い!そして意外と合う!たまに無性に食べたくなってくるのも不思議なもの。
聞くと道民にとって甘納豆の赤飯は日常的なもので、お祝いごとのときだけでなくスーパーのおにぎりにもあるほど。
おせちに欠かせない映えお菓子「口取り菓子」
北海道のおせちには鯛・エビ・松竹梅などの形をした、かわいらしい生菓子「口取り菓子」が並ぶ。本州では見かけなかったため、移住者からすると「これは何?」と軽くカルチャーショックを受ける。
強い甘みの白あんで作られ、見た目がとても可愛くて映え。道内のスーパーでは年末になると大量に並び、まさに北海道の正月を象徴するお菓子と言える。筆者は食べたことはない。見て満足してしまっている。富山のかまぼこにも似たかわいらしさを感じる。
まとめ:冬の北海道は生活そのものが文化だった
北海道に住むまでは、冬というと「雪が多い」「寒い」というくらいの認識だった筆者。だが、実際に暮らしてみると、言葉遣い、歩き方、食べ物など、本州とは違う知恵と文化が根付いていることを痛感した。
そして今では、私自身も冬が来ると「雪、投げないとな」「手袋はいて~」と自然に口にできるようになって、そのたびに自分も一歩道民に近づけたと感じるのであった。

