【vol.43】バカなフリが武器になる
FM北海道アナウンサー/パーソナリティの森本優が週に1度の学校訪問を通して感じたことや出会った学生のことを紹介。開始当初は「非効率」と言われた学校訪問企画から生まれた出会いにあなたも触れてください。

【vol.43】バカなフリが武器になる

「やる」か「やる」

今月もこのコラムを覗きに来てくれてありがとうございます。
月一連載「#非効率の向こう側」というこの記事は、ラジオパーソナリティである私、森本優が週に1度の学校訪問をしている番組「IMAREAL」を通して感じたことや経験したことを記しています。

ラジオパーソナリティになって12年目、「IMAREAL」はこの春10年目に突入しました。後輩が入らないままFM北海道を退社したので、自分が新人だと思い込んでいたのですが、この1年で続々と後輩が入ってきて(もっと早く入ってきてよ〜!)「そうか、もうベテランなんだ…」と感じている日々です。

そんな中、後輩からよくアドバイスを求められるようになりました。
私なんて・・・と思いつつも、心のどこかで「後輩」を欲していた私は内心嬉しかった。色々な事を聞かれますが、新入社員や20代の後輩に最近よく伝えている言葉があります。それはバカなフリして聞いてみな!です。

30代を迎えるとバカなフリができません。というか、バカだと思われたら仕事としてやっていけません。ですが、実はこの「バカなフリして聞いてみる」を10代や20代のうちにやっておけば、30代になった時に「一緒に遊んでくれる仲間」が増えます。ただし、重要な問題があります。間違ってはいけないことがあるんです。それは「バカなフリ」は「信頼」がないと役に立たないということ。

「いや!難しいって!10代や20代で『信頼』を得るの大変ですよ…」と思ったあなたや昔の私、こんにちは。そうなんです。難しいんです。ですがはっきり言います「信頼」はつくれます、得られます。あなたが信頼を得たい相手に出会うタイミングが大切。あなたが何者か?相手が知らなければ「信頼」は得られません。なので、例えあなたが10代でも20代でも、今を現在地として過去に何をしてきたのか?、どんな思いを持っているか?、そして目の前の相手に愛を伝えられるか?、それが大事。むしろ、それさえできれば大丈夫。

「いや!大丈夫じゃないって!」と思っているあなたは、まだまだ余白があります。私はこれまで多くの10代に出会ってその熱量に圧倒されてきました。反対に30代以上の人でも熱量や愛が無いなと感じて1回で仕事が終わった人もたくさんいます。年齢は関係ありません。一点突破でもいい。突き抜ける何かを身につけてください。「やる」か「やらないか」ではありません。「やる」か「やる」です!

YOASOBIに聞いてみた

今では世界的アーティストになったYOASOBI。コンポーザーAyaseとボーカルikuraによる音楽ユニットです。そんな2人が2026年5月からFM北海道「IMAREAL」内で「YOASOBIのヨアリアル」というコーナーをスタートさせました。コーナーといっても番組内番組なので、もはや2人のレギュラー番組。首都圏のラジオ局ではなく、北海道のラジオ局でのレギュラーがなぜ実現したのか、という話をします。

2019年12月14日。この日、YOASOBIを一躍有名にした楽曲「夜に駆ける」のMVが公開されました。2026年5月時点で2.9億回再生の大ヒット曲。当時の私はYoutubeに公開されているMVで最新アーティストを探すようにしていました。なぜなら10代がそうしていたから。再生回数が1000回〜10000回を目安に色々な曲を聴いていました。

「夜に駆ける」もそう。まだラジオで流れていない、SNSでバズる前に番組内で取り上げ紹介しました。古参アピールしたいのではありません。最近は「ラジオからヒットが生まれる」ことが減っています。むしろ「ヒットしている曲をラジオで流す」傾向が強くなってきている印象です。もうラジオからヒットは生めないのか?そんなことない!と私は信じて今でも新人を発掘し番組でプッシュしています。

2022年夏。気付けばYOASOBIは国内トップアーティストに名を連ねていました。当時の私は「FM ROCK KIDS」というFM北海道でも長寿番組のプロデューサーをしていました。アーティスト本人が1時間自由に喋り、好きな曲をかける番組です。過去にはスピッツ、Mr.Children、サカナクション、Vaundyなど知名度のあるアーティストから、これから活躍するであろう地元札幌のアーティストまで様々な方が出演してきました。

歴史ある番組は音楽業界内でも知られていました。そんな番組を担当し、なおかつ2022年はFM北海道が開局40周年を迎え、プロデューサーとしてプレッシャーがかかる中、私はバカなフリをしてYOASOBIにオファーをしてみることにしました。その時に用意していた「信頼」は大きく3つ。

1. FM北海道の歴史
2. FM ROCK KIDS過去の出演者
3. 番組チームからのラブレター


北海道No.1のFMステーションであるFM北海道、番組に名を連ねてきたアーティスト、そしてライブ参戦を複数回してきた番組スタッフ陣。さらに2023年春にYOASOBIが行う全国ツアーで目標に掲げていた「北海きたえーる2days完売」をゴールに設定しました。

アーティストから「北海道は会場を埋めるのが難しい…」という言葉をよく聞きます。実際、全国ツアーで札幌だけ埋まっていないというのは今でもよくある話。そんな中、FM北海道が全力でプッシュします!と提示できたことで、2022年11月から2023年3月までの5ヶ月間、YOASOBIのレギュラー番組を放送することになったのです。

結果的に北海道2daysは完売。ライブ中に2人は「AIR-G'で『FM ROCK KIDS』っていうラジオをやってきました!聞いてくれてた!?」と2日連続話してくれました。以降、ツアーで北海道に来るたびに「『FM ROCK KIDS』っていうラジオを・・・!」と毎回言葉にしてくれます。愛です。そこから私が担当していたこともあり「IMAREAL」にも度々出演してくれるようになり、現在にいたります。

YOASOBIに聞かれた

2025年10月、YOASOBIは全国ホールライブツアー「YOASOBI HALL TOUR 2025」の一環で、帯広と函館でライブを行いました。札幌での開催がないということで、私は函館に向かうことに。JRで約4時間半…もはや東京の方が近い。それでも「北海道で見る」ことに意味があると思いました。

実際にライブは大盛り上がり、恒例の「『FM ROCK KIDS』という番組をやっていて・・・!」というラジオトークもしてくれました。変わらぬ愛です。終演後、久しぶりに再会した2人から思いもよらぬことを言われました。


函館市民会館で再会したYOASOBIと!

「またラジオできない!?」

「またラジオやりたい」という願いの言葉ではなく「またラジオできない!?」という依頼だったのです。それはスタッフにも相談していないことで、2人がその場で思っていたことを言葉にしたそうです。ずるい。策士である。

こちらが断る理由はなく「やりましょう!すぐに企画書を書いて出します!」と伝え、周りにいたスタッフとも「実現できたら良いですね!」と話をしました。翌日、企画書を書いて提出した結果、レギュラー放送が決まりました。(2026年5月〜2026年12月までの期間限定放送)

「バカなフリ」を武器に

誰に何を言われるのかって大切です。同じ言葉を親から言われるのと、恋人から言われたり、職場の上司から言われるのとでは意味合いが変わります。私の言葉があなたに届くかはわからない。だけど「バカなフリして」聞いてみたことや、函館まで行くという「非効率な1日」が楽しい未来をつくりました。

最初から結果を出すのは難しい。だけど「非効率の向こう側」に咲く花を私は見たことがある。だからあなたも「バカなフリ」を武器にして生きてください!


この記事を書いたモウラー

ゲストモウラー

森本 優

ラジオパーソナリティ/プロデューサー
1991年6月3日生まれ / 高知県出身
毎週(金)18:00~22:00 FM北海道「IMAREAL」担当。
2021(令和3)年度日本民間放送連盟賞ラジオ生ワイド部門で最優秀賞受賞。
音楽を聴きライブに参加しバスケを見るのが好き。