
【vol.41】9298日
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毎月「非効率の向こう側」というタイトルで書いている日常。
私、森本優が担当しているラジオ番組「IMAREAL」の学校訪問企画を軸に毎月第3木曜日に更新しています。
「1年で終わるよ。週に1度学校に行くなんて非効率だ」と言われて始まった番組は、この春、10年目を迎えます。日本全国のラジオ局を見ていても、10年続く番組は多くありません。これまで出会ってきた全ての方への感謝をこめて、10年目も走っていきます。と、同時に「非効率とは愛」だと最近思う。「愛には愛で」と番組スタッフにもよく話しているし、生放送の中でも伝えてきた。愛があれば時間をかける、気持ちが乗っかる、会いに行く。愛を使うのは効率のいいことではない。むしろ非効率。それを続けた結果の今だと心から感じています。
2000年9月14日
10年目を迎える前にやっておきたいことがありました。私は父との思い出があまりありません。学生時代は単身赴任だったこと、私がバスケットボール部に入ってからは忙しかったこと、そもそも父はアクティブな方ではなかったこと、さまざまな要因があって、時間を共にすることは多くありませんでした。現在、地元の高知県で過ごす両親とは年に1、2回程度会うか会わないかくらいになってきました。そんな時にふと思い出しのが「人生初ライブ」の日。
2000年9月14日、高知県のライブハウス「CARAVAN SARY」に父が連れて行ってくれた。当時9歳の私にとって人生初ライブは東京スカパラダイスオーケストラでした。細かいことは記憶していないが、初めて「楽しそうな大人」に出会った日だった。9歳ながら「こんな大人になりたい!」「音楽ってすごい!楽しい!」と感じたことだけは覚えている。この日、人生が変わったことに間違いはない。その後、私はライブキッズになり全国各地のライブに足を運ぶようになった。就職活動では音楽やライブの魅力を発信したいと経験を元にアピールし、FM北海道に入社することが決まった。
2025年の夏、私は「父ともう1度一緒にスカパラを見たい!」と思った。会うたびに小さく感じる父の背中、あと何回一緒にご飯を食べられるかな…そんなことを考えるようになった。ライブスケジュールを調べてみると、ちょうど47都道府県ツアーの真っ最中。地元の高知県を含む四国や札幌、集合しやすい東京や大阪なども調べたが、2人のスケジュールが合ったのは唯一1箇所だけ。ツアーファイナルの沖縄だった。
実は4〜5歳の頃は沖縄に住んでいたのでこれも運命的だった。すぐにチケット抽選に申し込み、無事当選。父親と久しぶりに2人でライブを見に行くことが決まった。
2026年2月28日
あっという間に半年が過ぎ、ついに沖縄へ!気温マイナス1℃の札幌から24℃の那覇に辿り着いた。2泊3日の行程でライブは初日。まずは父と乾杯を。瀬長島 ウミカジテラスで海を眺めながらオリオンビールと沖縄そばをいただく。「くぅうううううううう!!!!」と声が出た。あまりにも気持ちが良かった。
沖縄に住んでいたとはいえ、ほとんど記憶はない。でも懐かしさはちゃんと感じる。「今度は家族みんなで来よう。」と父は言った。私も同じことを思った。次は自分の子どもも連れて来る!お腹も満たしたのでいざライブハウスへ!
東京スカパラダイスオーケストラ47都道府県ツアーファイナルの会場「那覇文化芸術劇場なはーと」は、座り心地の良い座席が左右も囲むキャパ2000人の素敵なホールだった。1階後方だったけど、とても見やすい席でした!父にグッズを買ってあげたかった。思い出にお揃いのタオルを買って、ライブが終わったら会場の外で一緒に掲げた写真を撮って…などと想像しながら「グッズ買うから欲しいの言って!タオル買おうよ!」と言うと、「タオルはかまんき、パーカーが欲しい!」と返ってきた。(かまん=高知の方言で「⚪︎⚪︎じゃなくていい」という意味)父とタオルを掲げる夢は次回に持ち越すことになった。
ライブが始まった。ツアーファイナルということもあり、メンバーもお客さんもフルスロットル!「音楽は自由だ!」と音楽で伝えてくれた。ふと隣に目線を向けると、父も踊っていた。両手を左右に振ったり、前に出したり、歌いはしないが楽しそうにニコニコしていた。きっと、25年前は逆だったのだろう。父は9歳の私を見て、同じことを感じていたはずだ。そして、私は自分の息子にも同じ体験をさせてあげたいと思った。彼が願うのであれば、いつでもライブハウスに連れて行く。ライブも終盤に差し掛かった頃、MONGOL800がサプライズゲストで登場したところも「沖縄に来ている!」と感じさせてくれた。
47都道府県ツアーを誰一人欠けることなく走り切ったスカパラは本当にかっこよく、「こんな大人になりたい!」と25年前と同じことを思った。約3時間にもわたる最高のライブでした。
ライブが終わって、父の元同僚と食事をしたり、翌日は幼少期に住んでいた家を見に行ったりと、父との時間をゆっくり過ごすことができた。本当に行って良かった。10代や20代では感じなかったことを30代にして初めて感じている。親になったことも影響しているんだろう。そして10代、学生向けに番組をやっている私は、今からでもできることをやって欲しいと発信し続けます。
いつからでも遅くない、今が1番早い。私だって遅かったかもしれない。それでも叶えることができた。きっと何度も思い出すでしょう。人生で初めて父とライブを見たあの日から「9298日」経ったあの日のことを。

