
【vol.29】休学ノススメ
市立高校プレゼンテーション大会
春と言えば桜、進級や進学、引っ越しなど人それぞれ浮かぶものがあるでしょう。私にとっての春は「プレゼン大会」です。
毎週金曜18時から放送している番組「IMAREAL」のパーソナリティをしている森本優です。週の1度の学校訪問を通して学生のリアルな声を発信しています。
かつて「非効率」と言われたこの活動を通して得たものを記しています。「非効率の向こう側」、今回は春の恒例行事の話です。
毎年3月になると開催されるのが「市立高校プレゼンテーション大会」です。その名の通り、高校生がプレゼンテーションをする大会。
では、何をプレゼンするのか?それは「学校の魅力」!生徒自身の経験を元に在籍している学校の魅力を、他校の生徒、中学生や保護者に向けて発信します。
私はこれまで講評を担当していましたが今回は総合司会として参加させていただきました。プレゼン大会は、大きく分けて2つのパートがあります。
まずは高校生活の中で部活動などではなく、各学校の生徒や社会人との交流も含めた「探求学習」のプレゼン、そして、学校や自分自身のプレゼンです。
市立高校の探求学習
探求学習を3つ紹介します!
1つ目は「アニマドーレ」。
北海道の「農」と「食」に触れることで、「農の新たな伝え手を育成すること」、「高校生のキャリア探求を行うこと」を目的としてプロジェクトです。実際の畑に行ったり、野菜を販売したり、調理研究をしたりしています。
2つ目は「まなびまくり社」。
高校生、大学生、教師、市民、民間企業、行政が年代もごちゃまぜになって地域探究することを目的にしています。生徒一人一人が「野望」を描き、その野望を実現するために、社会人にアドバイスを貰ったり、地域の人たちにサポートしてもらいながら、社会問題の解決に向けて実践していきます。
最後に「ミラスキ」です。
こちらは起業育成プログラムで、自分のアイディアを実現してみたい、会社を立ち上げたい、社会問題を解決したいなど、高校生が持っているビジョンを可視化するために、起業家からアドバイスを貰うもの。どの探求学習も生徒自身が活き活きとした表情でプレゼンしていました。
この春、市立高校に入学するあなたは、ぜひリンク先をチェックして、先輩たちに話を聞いてみてください!
休学をプレゼンする高校生
第二部は「学校のプレゼン」です。
自分が通っている学校の魅力を、自分自身の成長を含めてプレゼンします。
「自分が嫌いだった」という生徒、学校のカリキュラムの紹介をする生徒、学外活動との両立をアピールする生徒…様々な生徒がいる中、ひときわ会場の視線を集めたのは市立札幌大通高校の永井さんが用意したプレゼン資料。彼女は最初にこう言いました。「私がプレゼンするのは休学です」!
彼女は現在、大通高校の3年生で、この学校は3年から4年で卒業することを目指した単位制の学校です。そういった環境の中で、彼女は「休学」という選択をしました。
その理由は「夢を選択するため」。元々フラダンスをやっていた彼女は、将来フラダンスのプロ / 先生になるか、舞台音響になるかに悩んでいたそう。それは進路にも大きく影響します。
そんな時に先生が言ってくれたのは「休学してみたら?」という言葉でした。「一度、フラダンスのプロの現場を経験したい!」という彼女の想いを受け、学校側から休学を提案してくれたそうです。
単位制だったこともあり、半年休む分の単位を先に取得し、何の弊害もなく彼女は休学することができました。その結果、仕事としては舞台音響を目指し、フラダンスは個人的に楽しむという選択をしました。
そんな経験から彼女は「この学校は休学できます!」という前例のない学校のプレゼンをしました。マイナスに捉えがちな「休学」ということをポジティブに変換し、伝える技術は簡単ではありません。8分間のプレゼンの後、会場は大きな拍手に包まれていました。
全ての行程を終え、生徒たちは気になる生徒に話しかけにいったり、緊張が解けたのか、ほっとした表情で先生とハイタッチしていたりしました。プレゼン大会をそのままラジオで流したかったくらいです。
中学生全員に聞いてほしい。大人ではなく、少し年上の先輩から話を聞く、このイベント自体が「探求学習」です。参加した学生にラジオへの出演オファーを出したのでお楽しみに!
そして、2024年度もこの記事を読んでいただきありがとうございました。来年度も非効率に生きていきましょう!