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【vol.22】美唄に咲く睡蓮花
FM北海道アナウンサー/パーソナリティの森本優が週に1度の学校訪問を通して感じたことや出会った学生のことを紹介。開始当初は「非効率」と言われた学校訪問企画から生まれた出会いにあなたも触れてください。

【vol.22】美唄に咲く睡蓮花

焼き鳥食べたいな

月曜日の朝、暑さで目が覚めた。北海道にも夏はちゃんとやってくる。素麺のストックが増えたり、扇風機と顔を合わせたり、何もしていないのに疲れる。あまり好きではない夏でも良いことはある。私にとっては「遠出がしたくなる」ということ。

毎週金曜18時から放送しているラジオ番組「IMAREAL」では、週に1度の学校訪問をしている。母校ではない学校に足を運ぶ日々も気づけば7年が過ぎた。夏になると遠くに行ける。この日もシャワーで汗を流し、学校に行く準備をする。

私が行っている学校訪問は学生リスナーからのオファー、番組側が紹介したい部活や人を見つけるなど、いくつかパターンがある。今回は「校長先生からのオファー」だった。これは話が早い。なぜなら決定権を持っているからだ。

オファーをくれたのは北海道美唄聖華高等学校。今月の「非効率の向こう側」は、そこでのお話です。
この学校は高等学校3年間、専攻科看護科2年間の計5年間で看護師国家試験の受験資格を得ることができる道立高等学校。つまり、早い段階で医療関係に進みたいと思っている学生がいたら、高校生の段階で専門的な知識を得られる学校というわけです。

校長曰く、地元である美唄市よりも全道各地から同じ志を持った中学生が受験に来るらしい。問題は「知名度」だ。医療関係=専門学校や大学から学ぶというイメージが強いこともあり、高校から学べる環境があるか調べる人さえ少ない。

先述したように医療関係に携わりたいと思い始める時期は人それぞれ。人生が進むほど鍵を見つける人は増えていく。IMAREALにオファーしてくれたのは「まずは存在を知ってほしいから」ということだった。

元々、別の場所で校長と接点があった私は、断る理由もなくオファーを受けることにしました。何よりも美唄聖華高等学校が気になっている。どんな想いを持った学生がいるのか、どんな学校なのかワクワクしながらJRに乗り込んだ。

道中に改めて「美唄市」についても調べてみた。かつて炭鉱で栄えた美唄市には、地元の人たちが愛してやまないソウルフードがあります。その一つが「美唄やきとり」です。「焼き鳥」という名前ですが、一串に数種類のモツ、鶏皮、モモ肉が入っている「モツ串」であることが特徴。これが旨い。

札幌市内でも美唄焼き鳥のお店があるくらいだが、やっぱり現地で焼き鳥食べたいな。


学校まで呼んでくださった内海久校長先生

カラオケ行きたいな

札幌からJRで約40分ほどで美唄に到着。空を見上げながらタンブラーに口をつける。水は残り1/3程になっていた。笑顔で待ってくれていたのは校長先生。「森本さーん!来てくれてありがとうございます!」と、空港で小さな旗を持つツアーガイドさんのような雰囲気だった。

学校に行く道中、街のこと、学校のことを聞いた。美唄市内には高校が2つしかないらしく、バイト先も限られているため、街を歩けば生徒に出会うそう。地元の方も高校生を見るとあそこの学校の〇〇さんと親近感を持って接してくれているらしい。そういう街って素敵ですよね。

学校に到着。5年制の学校ということで、どんな佇まいかと思っていたが、一般的な高校と同じ外観だった。「高校に5年通う気持ち」になる特別な校舎だ。取材日の直前に学校祭があったらしく、装飾がいたるところに残っていた。看護師を目指す学生が多いことから女子が多い学校で、行事ごとは男子が重宝されるらしい。

学生インタビューの前に学校内を見て回った。一般的な学校と違って実習室と呼ばれる教室が多い。病棟をイメージした部屋、介護実習のためにリビングやバスルームなどもあった。高校生過程の段階で学校外での実習を経験できるのはとても良い!


病棟をイメージした実習室


介護実習のための実習室

今回インタビューするのは生徒会の3名。これまでの経験と勝手なイメージで「生徒会=しっかりしている」という印象があった。出会った生徒会長はどこかチャラい。ギャルっぽい。それがとても良かった。学年でいうと4年生、専門学校1年生の代にあたるこの子は、自分で引っ張るというよりも、周りに頼って作り上げるのが得意な子だった。インタビューの打ち合わせは過去一時間がかかった。伝えたいことが多く、まとまらない。同席した先生とも相談し「渾身のインタビュー」が完成した。

森本優は意地悪である。完成した原稿をぶっ壊すようにアドリブを入れまくる。この子たちはいける!と確信していたからです。案の定、作られた原稿を元にはしつつ、自分の言葉や、出てきた感情で、学校の魅力や自分のことを話してくれた。それがラジオの面白さだ。

文章で読むのもいいけれど、言葉の温度を感じられるラジオが私は好きだ。1番盛り上がったのはリクエスト曲のパート。取材した内容を放送する日のテーマは「カラオケの1曲目と最後の曲の正解を決めよう!」というもので、美唄聖華高校の皆にも聞いてみた。

インタビューした1人は休学して、ドイツに留学していたらしい。ギャル生徒会長と年齢は一緒だが学年は1つ違うらしい。想いをもって海を渡ったその子がカラオケで歌うのは、テスト期間が終わって解放された日に歌うのは、湘南乃風「睡蓮花」だそう。やっぱりギャルマインドだった(偏見)

笑顔溢れるラジオ収録が終わり、お土産の焼き鳥も購入しJRに乗り込んだ。夕日が差し込む車内で私はこう思った「カラオケ行きたいな」


インタビュー出演してくれた生徒の皆さん


この記事を書いたモウラー

ゲストモウラー

森本 優

FM北海道アナウンサー/パーソナリティ
1991年6月3日生まれ / 高知県出身
毎週(金)18:00~22:00「IMAREAL」担当。
2021(令和3)年度日本民間放送連盟賞ラジオ生ワイド部門で最優秀賞受賞。
音楽を聴きライブに参加しバスケを見るのが好き。