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【vol.14】世界を照らす"超北大生"
FM北海道アナウンサー/パーソナリティの森本優が週に1度の学校訪問を通して感じたことや出会った学生のことを紹介。開始当初は「非効率」と言われた学校訪問企画から生まれた出会いにあなたも触れてください。

【vol.14】世界を照らす"超北大生"


サイエンスフェスタ2023展示の一部

号泣しているおじさんと握手した


ここまでたどり着いてくれてありがとうございます。ラジオパーソナリティの森本優です。「非効率」と言われたIMAREALという番組の企画「学校訪問」での出来事を「非効率の向こう側」というタイトルで、毎月第3木曜、moula HOKKAIDOに公開しています。

今回は2023年12月17日(日)に開催された北海道大学主催のサイエンスフェスタというイベントを紹介します。このイベントは「北海道大学の院生による研究成果の発表の場」であり、「学生から大人までが科学を楽しめる交流の場」でもあります。

札幌駅前通り地下歩行空間、サッポロファクトリー、紀伊国屋書店札幌本店を会場に学生や北大職員が体験型イベントやトークセッション、物販を通して魅力を発信しました。そもそも私がこのイベントに関わったのは一年前。学校訪問がきっかけで出会った市立札幌旭丘高校のサイエンス部が学校の魅力をPRしたり、ロケット甲子園に出た話をする際にMCとして携わりました。校長先生からご指名いただき、当日1時間のトークセッション。学生たちが魅力を存分に発信してくれました。

ステージが終わると、そこには「号泣しているおじさん」がひとり。実はこの方がサイエンスフェスタを仕切っている北海道大学の中核。涙ながら「感動しました!」と握手を求めてくれました。その握手が始まりとなり、2023年4月からIMAREAL内でスタートしたのが「スクールストライク!~超北大生~」というコーナーです。

大学院生ってどんなイメージですか?学生と社会の間、博士や教授の一歩手前などが浮かびました?正直に言うとはっきりわからない。だからこそラジオを通して、「大学院ってどんなところ?」というのを発信しよう、院生にも自分たちのやっていることを発表してもらう場を作ろう、ということで立ち上がりました。

非効率と言われた学校訪問から番組コーナーが生まれました。そこから月に一度、大学院生が登場し研究成果を発表してくれています。この話はまたのちほど。ということで2023年も私はトークセッションのMCという立場で参加させていただくことになりました。

おしょろ丸ってなんだ?


北海道大学:荒木七笑さん/北村もあなさん

最初のトークセッションは「おしょろ丸で北極海へ行ってきました!~55日間の航海の様子をお話します!~」です。タイトル通りです!北海道大学は「おしょろ丸」という船を所有しています。その船に乗って、北極海に水質や生態系の調査しに行った学生がいます。

代表して話をしてくれたのは北海道大学水産学部の荒木七笑さんと水産科学研究院の北村もあなさん。函館から出発し、2週間かけて北極海へ向かいます。途中、八戸に寄ってから行くのは北極海に適した燃料を補給するためという話に驚きました。船内での衣食住について詳しく話してくれましたよ。

印象に残っている言葉は「私たちが観測したデータは過去に同じ航路を辿った人が集めたデータと照らし合わせることで今の世界が分かる」というもの。2人の経験が未来で船に乗る人に、未来の地球に繋がっていくのはまさに浪漫がありました。

制限時間6分の発表会


続いてのトークセッションは「イマリアル スクールストライク!~超北大生~」として60分喋りました。2023年4月から毎月コーナーに出演してくれた大学院生総勢10名が登壇。まさにアベンジャーズ!この企画をやった趣旨は「コーナーで話しきれなかったことをイベントで深掘りしよう!」だったのですが、蓋を開けてみると、「制限時間は一人6分」という放送よりも短い時間になりました。

これはもうMCの力を試されている・・・!普段とは違う何かが脳内に溢れました。同じ北海道大学院の学生といっても研究していることは様々で、ほとんどの人が初対面だったそうです。前半は大まかに言うと「スマート農業」「土壌と温室効果ガス」「カイコと感染症」「リチウム電池」「ゲーム展示/博物館学」というテーマで研究している5名。

フィールドワークをしている人もいれば、研究室にこもっている人もいる。それぞれが発表していき、最後にたどり着いたのは「他の人と話すことも大切ですね!」ということ。研究しているのは自分や近い人たちとですが、普段触れないジャンルだからこそ刺激があったようで、聞いてくれた方にとっても参加してくれた院生にとっても良い時間になったようです。そんなこんなで前半30分が終了!ここでメンバーチェンジ!


後半に登壇したのは「野生動物と新型コロナウイルス」、「出産後のお⺟さんが授乳によって、おっぱいの先にできる傷の対処法」、「超薄型半導体を LED や太陽光発電に応⽤する研究」、「シャボン⽟の膜などの界⾯の動きを微分⽅程式を⽤いて解析」、「北極の環境変化が⽣態系にどのように影響しているのか」を研究している5名。

それぞれの研究内容に関心が集まるのは勿論ですが、ここで光が当たったのが「背景」でした。それぞれが何故この研究をするようになったのか、なぜ北海道大学を目指したのか。「理由やきっかけ」はインタビューではよく聞かれること。なぜなら「今目の前にいる人がなぜそれをしているのかを知るとより興味が湧くから」です。その通りでした。

元看護士で母親でありながらも研究したい方、陸上競技選手としてアジア大会に出場しながら研究する方、様々な思いと側面を持って今日もどこかで研究を続けている。私はそれをラジオから伝えたい、もっと多くの方に知ってほしいと心から思いました。

一人6分×10名、合計60分のトークセッションはあっという間に終了。学生同士が「もっと話聞かせてください」と声を掛け合っていたのが印象的でした。これからも毎月第2週のイマリアル内で大学院生の声を届けます!聞いてください!

"伝えるプロ"が何を伝える


最後のトークセッションテーマは「伝える」です。ここはMCではなくゲストとして登壇しました。道民の朝と言えばこの方!フリーアナウンサーの石沢綾子さん、元アナウンサーで弟子屈町地域おこし協力隊の川上椋輔さん、そして私という3人。

それぞれが「伝えるプロ」として(恐縮です)登壇しました。大学院生の課題のひとつに研究成果を「説明」することはできるが「伝える」ことができない。つまり自分では理解していても、それを他人に理解してもらうことができない。これは大問題。少しでもヒントを与えられたらという想いで参加しました。

細かい部分は省略します。なぜならそこに参加した方に向けた話だったからです。来てくれたあなた、ありがとうございました。個人的に面白かったのは「三者三様」だったこと。軸は同じでも、アプローチが違うというのは「不正解はあるけど正解はない」という終わりなき旅への招待状でした。改めて伝え続けようと感じたトークセッションでした。

あなたに少しでもサイエンスフェスタの魅力が伝わっていたら嬉しいです。きっと来年もあるでしょう。この記事を読んだあなたと一年後に会えることを楽しみにしています。


この記事を書いたモウラー

ゲストモウラー

森本 優

FM北海道アナウンサー/パーソナリティ
1991年6月3日生まれ / 高知県出身
毎週(金)18:00~22:00「IMAREAL」担当。
2021(令和3)年度日本民間放送連盟賞ラジオ生ワイド部門で最優秀賞受賞。
音楽を聴きライブに参加しバスケを見るのが好き。