【vol.13】七十二本ノ矢
忙しい人ほど返事が速い
雨の日も風の日も雪の日も、週に1度学校に行っています。学生ではなくなって10年。この言葉を毎週言っているのが不思議に思うことがあります。在校生でもOBでもOGでも先生でもない。
ラジオパーソナリティは面白い仕事だな~と今も感じています。興味さえあればどんなジャンルの話題も伝えられるし、番組だって出来る。何でも屋です。そんな数あるラジオの中で「学生のイマをリアルに届け」「ラジオを知ってもらうきっかけ作り」をしています。IMAREALという番組です。
今回んp「非効率の向こう側」は「職業講話」で市立札幌啓北商業高校に呼んでもらった時のことを。札幌市南区にあるこの学校の校舎には「熊マップ」なるものが掲示されています。連日、熊の出没がニュースになっていて、その情報を元に、近隣のどこに熊が出たのか可愛い熊のシールで示されていました。札幌といえど本当に広い。都市と自然が共存している街だと、学校の風景だけで感じとることができます。
案内されたのは視聴覚室。学生時代は何故か脳内で「シチョウカクシツ」と漢字変換することがありませんでした。今思えば、その部屋の意味は分かるのだけれど、当時の私は「シチョウカクシツ=パソコンのある教室」という位置づけだったようです。
教室には約50人の就職活動を終えた高校生、就職を見据えた進学を希望する学生が集まっていました。啓北商業高校の職業講話は、年に4名の社会人を迎え「仕事」の話を聞くもの。その一人に私を選んでくれた。
今年度だけでなく、この職業講話に登壇される社会人の皆さんはどんな仕事をしているのか、資料の作り方などを教えてくれるらしい。そんな話を聞いて、授業が始まる1分前まで何も準備していなかった(正確には喋ることは決めていた)私は「仕事の見つけ方」と「仕事とは何か」を話した。冒頭で「今から50分ラジオをします!」と言うと俯いていた顔が上がったのが嬉しかった。
何を話したかはここでは省略するが(オファー待ってます)、私が最後に言ったのは「忙しい人ほどメールや電話の返事が速い。」ということ…あれ?この原稿を書いているのは公開日の前日。当日私の話を聞いた学生のあなたへ。こんな大人もいるから安心してね。
想いがあるほど遠くに届く
職業講話の後は、気になっていたアーチェリー部の元へ取材に行きました。北海道内でアーチェリー部は8校しかなく、専用の射場を持っている学校は少ないらしい。映像で見たことはあっても、目の前で見たことがある人は少ないのではないだろうか。
私は"そこ"に立って驚いた。アーチェリーという競技は自分が立っている場所から70m先の的を狙って矢を放つ競技。いざその場に立つと、思っているよりもかなり遠く感じた。的は5色で描かれ、その色の間にも線が引かれ、どの枠に矢が刺さるかで点数が決まる。その「線」を視覚的に認識するには視力が1.5以上無いと厳しいらしい。1.3の私は見事に線が見えませんでした。
高校生の個人競技の場合、1試合で72本の矢を放つそうだ。1試合にかかる時間は2時間から3時間。この本数と時間だけでもどれだけ体力が必要かがうかがえる。実際に弓を引かせてもらった。正確には"引かせてもらえなかった"。というのもアーチェリーの矢を放つ前のピンと張った状態にできなかった。
腕を肩から後ろに引く動作で使う筋肉は日常生活で使っていない部分らしい。自分が思っているよりも引けないことが悔しかった。高校1年生で始めた生徒は70m先の的に当てられるようになるまで半年から1年かかるらしい。思っている以上に根気と筋力が必要なスポーツだった。
インタビューに答えてくれた2人は相棒となる「弓」があるから頑張れると話してくれました。弓も矢も安価ではないからこそ、デザインは自分好みのものを選ぶそうです。そして高校生から始める人が多い競技だからこそ誰にでもチャンスがある。個人戦だけでなく、団体戦も魅力があるそうです。
一射一射で歓声が沸くくらい想いを込めて放っています。その歓声の一人になろうと決めました。私自身は中高と同じ部活を続けたけれど、学校訪問をしていて、部活変えてみても良かったかもと思うことが増えました。今、私が一番やりたい部活はアーチェリー部です。学生のあなた、アーチェリー始めませんか?