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【vol.16】音に恋して響けよ乙女
FM北海道アナウンサー/パーソナリティの森本優が週に1度の学校訪問を通して感じたことや出会った学生のことを紹介。開始当初は「非効率」と言われた学校訪問企画から生まれた出会いにあなたも触れてください。

【vol.16】音に恋して響けよ乙女

99%の愛と1%の行動力


市立札幌旭丘高校からの景色

この景色が好きだ。週に1度の学校訪問を通してラジオを知るきっかけ作りをしています。そして、学生のリアルな声をラジオ番組「IMAREAL」から発信しています。"非効率"と言われながらも、“非効率の向こう側”があることを信じて続けている学校訪問は、まもなく7年目を終えようとしています。

毎年必ず訪問している学校の1つに市立札幌旭丘高校がある。札幌市中心部と言っても長い坂を登った先にある。春には桜並木が、夏には新緑が、秋には紅葉が、そして冬には地獄の登坂が学生の青春を彩っている。

2024年2月7日(水)の札幌は快晴。風も無く、校舎から見る街並みを見ていると、自然に時間が溶けていく。この日はヤングケアラーについて知ってもらうためのイベントが行われた。1・2年生を対象に約40分。真面目な話だけでなく、ドラゴンボール芸人でお馴染みのアイデンティティが学校中に笑顔を届けてくれた。

放課後には沢山の学生が声をかけてくれました。全員に「ラジオネームある?」=「メッセージ参加したことある?」と聞くと「いえ!聞き専(聞いているだけのラジオリスナー)です!」と答えてくれた。そうなんです。私調べによると、ラジオを聞いている人の中でメッセージを送ったり、SNSに投稿している人は全体の1%。99%は聞いているだけの人なんです。

目に見えている、言葉が届いているリスナーに感情を向けてしまいがちですが、その周りには多くの人が聞いてくれている。週に一度、私はそれを肌で感じている。そしてこの日、私は1%に会いに来た。

市立札幌旭丘高校 創楽部


市立札幌旭丘高校創楽部 Astrology

「私たちの曲をラジオで流してくれませんか。」とメッセージが届いたのは2023年秋。コロナ禍に立ち上げた「学生芸術祭」への応募メッセージでした。吹奏楽部や合唱部、軽音楽部や演劇部など、声や音楽で表現している部活の発表の場を作ることを目的にした特別編成のイマリアルをやっている。その告知をした際に届いたのが、市立札幌旭丘高校創楽部「Astorology」(読み:アストロジー)からの直談判でした。

ラジオやSNSで何度も「学校に来てほしい人は連絡しておいで!」「自分たちの楽曲を流してほしい人は送っておいで!」と言っても、本当に送ってくる人は少ない。だから、来る前にこちらからコンタクトをとってみれば、「来てほしいと思っていました!」とか「流してほしいと思っていました!」と返事が来る。そう。彼らは「思っている」。「思う」と「する」は違う。Astrologyは「行動した」。その結果、昨年の秋、彼女たちの楽曲はラジオから全国に響き、多くのリスナーからのリアクションが届いた。

あれから数か月、ようやくメンバーに会える日が来た。軽音楽部ではなく創楽部というのも珍しい。まさに楽しいを自分たちで創りだしている。部活の活動場所に行った私は驚いた。そこはいわゆる「コンピューター室」だった。軽音楽部といえば、防音室や音楽室が活動の場になっているのが相場だ。しかし授業の課題をまとめたり、放送局(放送部)が編集している生徒がいる中で、ヘッドフォンをつけて演奏していた。じゃまにならないように音を鳴らしていた。

いよいよインタビュー。Astorologyメンバーは5人。入部した初日に集まった初対面の5人が、今では札幌のライブハウスで楽器を鳴らしたり、グッズ販売までするようになった。グループLINEのアイコンは、結成した日に撮ったぎこちない笑顔の写真だそうです。約15分のインタビュー、彼女たちは踊るように喋っていた。そして、自分たちの楽曲がラジオから多くの人に届くことに価値を見出してくれた。この日も彼女たちの楽曲を宇宙初オンエアし誰かの耳に届いた。次に私が行くのは、彼女たちがいるライブハウスだ。

1%の行動力が変えたものがきっとある。この記事を読んでいるあなたも「1%」になってほしい。


この記事を書いたモウラー

ゲストモウラー

森本 優

FM北海道アナウンサー/パーソナリティ
1991年6月3日生まれ / 高知県出身
毎週(金)18:00~22:00「IMAREAL」担当。
2021(令和3)年度日本民間放送連盟賞ラジオ生ワイド部門で最優秀賞受賞。
音楽を聴きライブに参加しバスケを見るのが好き。