【vol.15】笑う筆
北広島高校 書道部
このコラムにたどり着いてくれてありがとうございます。FM北海道でラジオパーソナリティをしています。森本優です。ラジオに出会ってもらうために、週に1度学校訪問をしています。この「非効率の向こう側」では、月に一度、その時の出来事を中心に書いています。
今回は北広島高校書道部に出会った話です。当たり前のように「北広島」という地名があるが、ここは北海道。道内に広島市もないのに北広島市があるのが不思議ですね。かつて広島県人の入植があり、広島村と呼ばれ、広島町を経て現在の北広島市になったそうです。広島県に北札幌市はあるかなと思って調べてみましたが、案の定ありませんでした。
北広島高校は年に1度は訪問している学校の1つ。元々リスナーが多く、取材希望もたくさん来ていました。そんな中で見覚えのある名前がありました。小学生?中学生?の頃から聞いてくれていて、しばらくラジオネームを見ていなかった子が北広島高校の書道部にいることが判明!今年は新たに書道部にも行ってみようと思い取材交渉。すぐに許可がおりた。
2023年3月に開業した日本ハムファイターズの本拠地・エスコンフィールド北海道があるのも北広島市。しかも北広島高校の隣。もちろん学校から見ることができます。JR北広島駅から徒歩で歩くと20分程、坂道が続く冬には試練の道。ここを毎日歩いて通っている学生のみんなは本当に凄い!
書道部の活動部屋は墨汁の匂いが包んでいる。「森本さん!初めまして!ラジオネーム〇〇です!」と挨拶をしてくれた部長。てっきり会ったことがあるかと思ったらはじめましてだった。ラジオの距離感は近いな~とここでも感じた。
無事にインタビューも終わり、最後に約束をした。それは「書道パフォーマンス」を見に行くこと。書道部は作品を書くだけではない。自分たちの文字を書く姿、筆と共に舞う姿を見てもらう場所がある。それが書道パフォーマンス。
2010年に公開された映画「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」で当時書道部に光が当たった。しかも、この作品の舞台は私の地元の1つでもある愛媛県。この作品を見て書道部に入った人もきっといるでしょう。約束から数か月、その時がきた。
書道パフォーマンス
2024年1月7日(日)キャポ大谷地を会場に北広島高校書道部による書道パフォーマンスが行われた。商業施設の入り口正面、約10m四方のスペースの周りをたくさんの人が囲んでいた。2階からも多くの人がのぞいている。そしてスペース中央には北広島高校書道部が緊張の面持ちの中、開始時間を待っていた。ひとりひとりの顔を見て取材した日を思い出していた。持ち時間は40分、いざ開幕。
北広島高校書道部は「書道×音楽」を伝統にしている。歌詞を書道で表現することで、これまで聞いていた楽曲のイメージを変えた。今回が初めてのパフォーマンスだという1年生のみで描かれたのはMrs. GREEN APPLEの「ケセラセラ」。学生からのリクエストも多く人気の曲だった。2024年1月1日に能登半島地震が起きて1週間も経たない日に、書道を通してこの曲を聞いた。いつぶりだろうか。心の底から感動した。
一心不乱に、でも笑顔は絶やさず書き続ける姿、それを支える部員。役割は人それぞれあるが、間違いなく全員で「書いた歌」だった。他にも米津玄師の「春雷」やWANIMAの「アゲイン」も披露された。歌詞ではなく、文字だけで勝負する作品もあった。気づけば会場が拍手に溢れ、40分が過ぎていた。本当に来て良かったと思った。
パフォーマンスが終わってすぐにインタビューした学生が来てくれた。「森本さんが来てくれると知って、昨日の夜からお腹痛くなりました(笑)でも、とっても嬉しかったです!本当に来てくれてありがとうございました!」と。こちらこそ素敵な時間をありがとう。きっともう大丈夫。2024年なんとかなる。そう思える時間でした。
実は書道部パフォーマンスを見られる機会はある。あなたも「想いを書く書道」を見に行ってみてください。いつか彼らと一緒に何かできたら良いな。