【vol.5】校内放送で名前を呼ばれた
名前の呼ばれ方いろいろ
「名前を呼ばれたことはありますか?」と聞かれて、いつ/誰に呼ばれたことを思い出すでしょうか。
職場や学校で何気なく呼ばれる瞬間、病院の待合室、商業施設の迷子案内、好きな人から呼ばれる特別な名前。同じ人でもいろんな"名前"がありますよね。かく言う私も小学生の頃は「もりっち」、中学生の頃は「もっちゃん」、高校生の頃は「もっちぃ」と学生時代だけでも様々な「森本」の派生が存在しています。
「土田さん」とか「土屋さん」は決まって「つっちー」になるのはなぜでしょうか。反対にこの名字は呼び捨てだよなって名字もありませんか?私の場合は同級生にいた「小原(おはら)さん」のことをずっと「おはら」と呼んでいました。学校を卒業してから「名前で呼んでほしかった」と言われたことを今でも覚えています。
名前で呼んでいたら2人の関係性は変わっていたのかも?それくらい「名前」は大事。
"もっちょり"のはじまり
この記事を読んでいる多くのあなたは、きっと私の事を「もっちょり」と認識しているでしょう。2017年から担当している番組「IMAREAL」が始まって約1か月経ったとき、BIGMAMAというバンドがゲストに来てくれた。当時あだ名がなかった私にGt./Vo.の金井政人さんが「あだ名つけてあげるよ!」と、インタビュー中に素敵なプレゼントをくれた。それが「もっちょり」。森本という名字から森本稀哲(ひちょり)さんを連想し縮めて「もっちょり」になったそうです。
数年後、初めて会う人や仕事のメールでも「もっちょりさん」と呼ばれることが約90%(私調べ)です。
この状況を金井さんは「こんなに浸透するとは思ってなかった」と笑顔で話してくれています。このあだ名があったおかげで番組も飛躍し、学校訪問で出会った学生たちとの距離が近くなったことは間違いない。この場を借りて最大限の感謝を!ありがとうございます!
校内放送で名前を呼ばれた
そんなもっちょり君が校内放送で呼ばれてしまった。
「校内にいる森本さん。校内にいるもっちょりさん。至急体育館へお越しください。」
タイムリープしたような気がした。思い返すと、私は学生時代に校内放送で呼び出された記憶が1度だけある。中学生の頃、バスケットボール部に所属していた私を呼んだのは部活の顧問。鬼顧問。激鬼顧問。三段進化の最終進化系。
だが残念なことに(?)怒られるわけではなく、部活の内容を伝えるだけだったように記憶している。それでも当時は名前を呼ばれたことに恐怖で震えた。そんな恐怖が一気に蘇ってきた。
2023年3月1日(水)、私は札幌山の手高校にいた。卒業式当日の11時半。
式が終わり、担任からのありがたい言葉を授かり、学校内外で思い出を作る時間。人それぞれの想いが交わる時間。私が学校に行った理由は「サプライズ」でした。
IMAREALリスナーがいる演劇部の元へ卒業祝いをしに行きました。先生との打ち合わせは完璧。後輩たちも巻き込み、サプライズのシミュレーションは出来ていた。しかし事件は現場で起こるもの。予定時間になっても迎えが来ない。指定された場所で約45分待った。もはや逆サプライズを疑ったその時、あの音が流れたのだ。
てぃーんとーんたーんとーん
(と私には聞こえた)
校内放送だ。「校内にいる森本さん。校内にいるもっちょりさん。至急体育館へお越しください。」先述した記憶が一瞬で脳内を駆け巡るのと同時に私は体育館へ向かっていた。そこには涙を流す生徒、笑顔で写真を撮る生徒で溢れかえっていた。「え?どこ?だれを探せば・・・」と思ったその時、「もっちょりさーん!こっちこっちー!」と呼ばれた。そこにいたのは演劇部一同。その中の数名が「えぇ!!!もっちょりさん!!!なんで!!!」と声が体育館に響いた。
これがきっと"非効率の向こう側"
実はこの3年生の中には中学校時代、学校に行くのがしんどくて休んでいた子がいた。その子はスクールカウンセラーの方から「IMAREALって番組聞いてみたらいいよ。」と教えてもらったのがきっかけでリスナーになったそうです。
それから高校受験を頑張り、見事合格。部活や勉強に励み、時には恋をして高校3年の秋に学校訪問企画で私に出会いました。応募があったわけではなく番組側からたまたまオファーして。
外出系ラジオをしていなければ、学校訪問をしていなければ、この子に会うことは無かったのかもしれない。卒業式で一緒に写真を撮ることはなかったかもしれない。校内放送で名前を呼ばれることはきっとなかった。
これがきっと"非効率の向こう側"なんだと思う。
これからもあなたの名前をラジオから呼びます。
だから私の名前も呼んでください。
あなたへ。
卒業おめでとうございます。