【vol.8】運動会でUNOをする
小樽市立朝里中学校の挑戦
2023年度になって2か月が過ぎ、夏らしい気候になってきた。入学時期にそわそわしていた学生たちの制服も変わり、学校祭の準備に忙しい日々を過ごしていることでしょう。
週に1度の学校訪問も7年目に突入し、約17,000人の学生に出会ってきた。そんな中、今年掲げた目標が「2023年度中に1万人の学生に接触する」ということです。6年の約半分を1年で達成しようという無茶な目標。学校訪問だけでなく、イベントや校内ラジオ企画などを仕掛けている最中です。この結果は未来の記事で報告します。
今回の「非効率の向こう側」で紹介したいのは「小樽市立朝里中学校」です。毎週(金)18時~22時に放送している「IMAREAL」のコーナー「学校訪問イマリエール!」で行くことになった。理由は"リスナーが呼んでくれた”から。
「どうやって行く学校を選んでいるんですか?」と聞かれることがある。2つの方法で選択している。1つは先述したリスナーからのオファー。札幌だけでなく旭川や函館、時には富良野、網走、北見からも来てほしいとメールが届きます。もう1つは番組側からのオファー。これは戦略的に選んでいる。放送局や軽音楽部、吹奏楽部など音楽やラジオに触れてほしい部活動、放送される日のテーマに合うようなスポーツを紹介するなど番組が意図的に選ぶこともある。
「私の学校に来てください」と連絡が来て数か月、やっと行けたのが「小樽市立朝里中学校 吹奏楽部」。朝里駅について、坂を登った先にあった。放課後の学校には吹奏楽部の演奏が響いている。全校生徒約260人に対して吹奏楽部員は12名。道内の吹奏楽部と比較しても少人数です。だからこそ1人1人と密な時間を過ごしているようです。
インタビューを受けてくれた学生2人は、先輩と後輩という関係。呼んでくれた先輩に話を聞くと、夢はラジオパーソナリティだそう。未来で会えるのが楽しみです。インタビューの中で「学校のおもしろポイントは?」と聞いた。すると衝撃の言葉が出てきた。
「運動会で人狼とかUNOをします!」
この言葉を聞いたあなたはどう思うだろうか。
「え?それって運動会?」
「運動が苦手な人も楽しめるかも!」
人それぞれいろんな感想を持つでしょう。
かけっこに出た後にUNOをする。
人狼をした後に綱引きをする。
そんな"運動会"が存在している。
コミュニティ・スクールが生む価値
小樽市立朝里中学校は令和2年度から「コミュニティ・スクール制度」を導入しています。簡単に説明すると「学校」「保護者」「地域の方」が知恵を出し合い、学校運営に反映させ、子供たちの成長を支える「地域とともにある学校」を作ろうというものです。
今年3月まで校長を務めていた森万喜子氏は、教育界では有名な学校改革を率先して進めてきた方です。森氏の任期中にも様々なことが行われた。その1つに「介護予防体操教室」がある。地域のお年寄りの方が集まって体操をする場所が無くて困っている状況を知り、学校の図書館を貸すことにした。
マスクの着用に関する同調圧力からの解放。「先生になりたいと思う学校」「先生自身が学校作りを楽しめる学校」を志し、生徒ファーストでありながら、教職員の多様性にも目を向けてきた。自分たちで考えたことを実行し、それに伴う結果がどうだったのか、それを繰り返すことで「小樽市立朝里中学校」を作ってきた。
私が学校訪問して最初に驚いたのは玄関。来校者を迎える大切な場所で、最初に挨拶をしてくれたのは先生や生徒が育てたメダカや植物。これらは販売もされている。
昨今、学校の敷地内での事件も多く、外部からの出入りは規制が厳しい。これは当たり前の変化ではある。コミュニティ・スクールとして誰でも受け入れる、ではなく「学校」として職員以外の「大人」に接する機会を作ることで、生徒自身の感性は広がる。そして見守る大人も増える。
全国に広がりつつあるコミュニティ・スクールは何を生むのか?朝里中学校には各地から教育関係者が視察に来ているそうです。北海道を、全国を代表するコミュニティ・スクールとして今後も目が離せません。この記事はあくまで入り口です。気になった方は自分で調べてみてください。それがコミュニティ・スクールが求めていることかもしれません。