【vol.10】君たちはどう応援するか
見えない応援
"応援する"ってなんだろう。そう考えることが増えた。リアルの世界とネットの世界、2つの世界で生きることが当たりまえになっている。ラジオの仕事をしていると応援することがあるし、応援されることもある。応援というのは「他人の手助けをすること」だそうだ。あなたの"応援"は誰かの手助けになっていますか?
今月の「非効率の向こう側」は、そんな"応援"の話です。
2023年7月22日(土)、北海道総体2023開会式が行われた。全国各地から集まった代表選手の入場、北海道内の吹奏楽部やチアリーディング部によるパフォーマンスが選手を鼓舞し、高らかな選手宣誓が会場ひ響いた。全国大会が北海道で行われるのは36年ぶり。学生応援番組をやっている私は"応援アンバター"に任命していただいた。ちょうど1年前のことだった。
正直、1年前から何をするんだろうと思っていた。するとそこには我々の知らない学生の想いが存在していた。あなたは「高校生活動推進委員会」というものを知っているだろうか。言葉通り高校生たちが自分たちの生活や活動をより多くの方に知ってもらうために推進していくもの。北海道内の様々な学校から代表生徒が集まり、組織として成り立っていた。今回の高校総体でも彼らは1年前から活動している。
2022年夏、秋、冬、2023年春とイベントを実施したり、コンサドーレ札幌やレバンガ北海道など地元プロスポーツチームの試合会場で「2023年夏に高校総体が北海道で開催される」ということをPRした。何が凄いって「自分たちは選手として出ることはない」ということだ。同世代のスポーツを頑張っている学生に素敵な舞台を用意する。それを多くの人に見てもらう。そのためだけに高校生としての1年を費やしてきた。私も一緒にイベントに参加したり、ラジオから発信してきた。
彼ら、彼女たちの集大成となったのが「開会式」。この1年、どこでどんなことをしてきたのか、これからどこでどの競技が行われるのかなどを発表しました。1人1人の持ち時間は少ない。たった一言の学生もいれば、旗を持っているだけの学生もいる。何をモチベーションに活動してきたのかを聞いたら、「応援したいという気持ち」と答える子が多かった。
私は自分が学生の時に、大会に関わっている人に感謝したことが無かった。文化祭を盛り上げてくれている生徒会、マイクを用意してくれた放送部の存在を意識したことが無かった。だからこそ、今は支えている人、応援している人に光を当てたい。
見える応援
私がパーソナリティを務めている「IMAREAL」という番組では、週に1度、北海道内のどこかの学校に行って取材をしています。高校総体が始まるまでに大会出場を目指す学生に出会ってきた。そして大会出場が決まっている学生にも話を聞いた。
北海学園札幌高校男子陸上ホッケー部は、毎年全国の舞台に立っているものの、1回戦を突破できない時間が続いていた。取材では部長とマネージャーが話を聞かせてくれ、コロナ禍でも遠征ができたこと、他県の強豪チームと練習できたことへの感謝を強く語っていた。中でも「応援してくれている人がいるから」という言葉は彼らにプライドとプレッシャーを学ばせているように感じた。
2023年7月29日、大阪府立夕陽丘高校と対戦し見事3-0で勝利!実に16年ぶりの1回戦突破を成し遂げました。勝利の瞬間、コート上で抱き合う学生の周りには、監督やコーチ、保護者や同じ学校の友達、誰よりも一緒に過ごしてきた部員たちがいた。彼らは「応援されてきた」ことを誇りに全国の舞台で笑顔を見せた。
学校や人それぞれ目標は違う。全道大会に出る、全国大会に出る、全国ベスト8に入る、優勝する、記録を伸ばす。彼らはラジオで宣言してくれた目標「全国大会1回戦突破」を達成した。本当におめでとう!ラジオ取材が終わった時、キャプテンから「ラジオに出てよかったです。大会頑張ります!」という言葉を貰った。応援しているのはこちら側なのに、なぜか私自身も力が溢れてきた。
"応援している"ということと"応援されている"ということを自覚しているだけで心が変わる。世の中には見える応援と見えない応援がある。私は見えた方が良いと思っている。言葉にしよう。行動しよう。そして正しい応援をしよう。この記事を書いている時はまだ北海道総体期間中。どんな応援が聞こえてくるのか、どんな応援をされていくのかが楽しみです。あなたも"応援"しませんか?