道内の観光・グルメ・おでかけ情報満載 MouLa HOKKAIDO(モウラ北海道)

【vol.9】学校⇔ラジオ⇔ライブハウス
FM北海道アナウンサー/パーソナリティの森本優が週に1度の学校訪問を通して感じたことや出会った学生のことを紹介。開始当初は「非効率」と言われた学校訪問企画から生まれた出会いにあなたも触れてください。

【vol.9】学校⇔ラジオ⇔ライブハウス

札幌龍谷学園高校吹奏楽部


学校の匂いはなぜ同じなのだろう。6年以上学校に行き続けても解けない謎です。体育館の匂いも同じ。「これを解決する前に辞めるわけにはいかないなー」なんてことを考えながらこの「非効率の向こう側」を書いています。

2023年7月7日(金)七夕の夜に放送した「IMAREAL」は音楽祭と題して、ゲストアーティストだけでなく、札幌市内の吹奏楽部の演奏をラジオから届けました。

新型コロナウイルスが5類に移行してから4か月を迎え、学校環境も変化している。マスクの義務化はなくなったが、多くの学校で"マスクをつける"という選択をしている学生は多くいる。彼ら彼女らにとってそれが普通で、"マスクを外すこと"の方が特別になっていた。ただ吹奏楽部や合唱部など「口」を使う部活をやっている生徒は「友達の表情を見て練習できる」と喜びの声を言葉にしていた。

札幌龍谷学園高校吹奏楽部は最近めきめきと力をつけ、コンクールでも優秀な成績を残し全道大会進出を決めています。取材のきっかけは「ダンス部の声」でした。札幌龍谷学園高校ダンス部は日本一常連校。世界大会でも活躍しているダンス強豪校です。学校訪問1年目から毎年取材をしてきました。そのダンス部の生徒や顧問から「うちの吹奏楽部も取材してほしい!」という言葉を受け取った。

取材の日は自宅から持って行った水筒の水が学校に着いた頃には無くなるほど暑い日だった。汗だくになって練習している吹奏楽部。音楽室に入ると、運動部に劣らない体育会系の挨拶が響いた。インタビューに出てくれた2人は先輩たちの演奏を聞いて入部を決めたそう。そんな先輩たちの想いを受け継いで部長になった子は演奏中に誰よりも笑顔で、誰よりも周りに目を向けながら演奏していた。実はインタビューの前に演奏を聞いたのですが、その時から「この子が部長だろうな」と思っていた。

ラジオから届けたのはTHE BOOMの「風になりたい」。先生や生徒も納得するまで収録を終えなかった。パーカッション担当の子が「もう1回お願いします!」と手を挙げた。その気持ちだけでも放送する価値がある。楽器の演奏だけでなく、生徒の声や手拍子もメロディとなる。まさにラジオから風が吹いたように爽やかな音が全国に届きました。

札幌日大高等学校吹奏楽部


緊急事態発生。顧問の先生から連絡が無い。予定通り取材できるのだろうか。不安な気持ちを抱えて到着したのは札幌日大高校。出会いは昨年放送した特別番組。若年層に献血を促す番組で、学校の授業で献血を広めるにはどうしたらいいかとディスカッションしたのがこの学校で、インタビュー出演してくれた生徒がたまたま吹奏楽部の子でした。番組収録終わりに「森本さん!私たちの演奏を聞きに来てください!」と言ってくれた。いよいよその日が来た。

校舎内入口で待っていたのはインタビューを受けてくれる3人。「良かった!取材できる!」と安堵したのも束の間。部長から「顧問の先生が新型コロナウイルス陽性になってしまい部活動の制限が出てしまいました。今日は僕たちだけ取材を受けます。」という報告を受けた。さらに学校がサイバー攻撃を受けネットが使えなくなっていた。まさかこれをいう日が来るなんて。「なんて日だ!」

札幌日大高校吹奏楽部の部員数は100!3桁の学校は多くは無い。公式ウェブサイトまである。さらに学校にはホールもあって演奏練習するには最高の環境が整っている。悔しい!100人の演奏を聞きたかった!でもこればかりは仕方がない。むしろもう1度来る理由が出来て嬉しい。今なお、新型コロナウイルスは学校生活に潜んでいる。

ラジオから届けることになったのは「ディズニーランドセレブレーション」。その名の通りディズニー作品の中から数曲メドレーで演奏してくれました。IMAREALの生放送中には実況ツイートというものがあり「#イマリアル」の反応を見ると多くの人の心に響いたことが伝わった。シンプルにリスナーさんが感動していた。ラジオでも感動しちゃうんだから、一般の方も見に行ける定期演奏会にぜひ足を運んでほしい。

市立札幌新川高校吹奏楽部


私がラジオをやっている理由の1つに「リスナーとアーティストを繋ぐ」という想いがある。ただラジオを放送するのではなく、学校や家など生きている世界が狭い学生たちに「いろんな人がいていろんな場所がある」ということを知って貰えたり、ラジオを知ったからこそできる体験を提供したい。今回の音楽祭で出演してくれたのはYOASOBIの2人。Ayaseさんとikuraさんも同じ想いを持って活動している。そりゃあ繋ぐしかない。

新川高校吹奏楽部の持ち曲にYOASOBIの「三原色」がある。さらに6月末まで行われていたYOASOBIのツアー札幌公演に参加した学生も所属している。インタビューを受けてくれた2人に話を聞いてさらに驚いた。1人はIMAREALを数年前から聞いてくれていて、夕飯を食べる時は決まって流してくれているらしい。そしてもう1人は小学生の頃、家族で生放送見学に来てくれたことがあり、今でも聞いてくれているそうです。

2人にYOASOBIのツアーの感想、本人への想いを喋ってもらい、ラジオから演奏も届けた。これがリスナーだけでなくアーティスト本人に届いたのだからラジオは面白い。Ayaseさんもikuraさんも「本当に素晴らしいです。自分たちの音楽が北海道の学生の生活の一部になれているのが嬉しい。また必ず北海道にも行きます!」と伝えてくれました。

ラジオだからこそ。学校に行っているからこそ繋がっていく。これからも学生たちの声と音をラジオから届けます。今年の秋に放送予定の学生芸術祭2024に向けてもそろそろ動き始めるよ!


この記事を書いたモウラー

ゲストモウラー

森本 優

FM北海道アナウンサー/パーソナリティ
1991年6月3日生まれ / 高知県出身
毎週(金)18:00~22:00「IMAREAL」担当。
2021(令和3)年度日本民間放送連盟賞ラジオ生ワイド部門で最優秀賞受賞。
音楽を聴きライブに参加しバスケを見るのが好き。