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【vol.3】ロケットで世界に挑む高校生
FM北海道アナウンサー/パーソナリティの森本優が週に1度の学校訪問を通して感じたことや出会った学生のことを紹介。開始当初は「非効率」と言われた学校訪問企画から生まれた出会いにあなたも触れてください。

【vol.3】ロケットで世界に挑む高校生


市立札幌旭丘高校の皆さん

ロケットに青春を注ぐ高校生がいる。出会いは2022年の6月。
私が担当しているラジオ番組「IMAREAL」、週に1度の学校訪問企画で春には桜並木が通学路になる市立札幌旭丘高校へ。

生物部からサイエンス部に名前が変わり、そこに所属する生物や物理を探求している学生と出会いました。その時にインタビューしたのが堤優羽君。彼は"ロケット"に夢中でした。インタビュー当時話したのは「失敗」したこと。ロケットの大会に出場するも発射に失敗し「失格」したことを悔しそうに話していました。彼らのロケットに記録すら残っていませんでした。

あれから数か月後、驚きのニュースが目に留まった。
堤JAPANが日本代表に!」。
なんと彼らは初出場となったロケット甲子園で日本一に輝き、2023年6月にフランスで開催される国際大会に出場することが決定していた!

"大躍進 of the year"を彼らに贈りたい!素晴らしいのは彼らの行動力。
自らを「堤JAPAN」と呼ぶように最初から日本代表、つまり世界志向でした。
学校の活動とは別にプライベートの時間を使って、日本各地にいるロケット技術者に話を聞きに行ったそうです。"調べる"ことが容易な時代に"動いた"彼らの大勝利!

日本一になったことを機に多くの大人が動き始めた。彼らをバックアップするメディアや学校も増え、2022年12月には北海道大学が主催した「サイエンス・フェスタ2022」で成果発表をすることに。私はインタビュアーとして参加させてもらいました。

当日はサイエンス部のロケット班だけでなく、ロボット研究をしている生徒や、数理データサイエンス科の生徒による研究発表なども行われた。特に数理データサイエンス科の発表は会場に集まった人の表情が動いたのを強く覚えている。テーマは「プロスポーツの勝率はホームとアウェーで変わるのか」。

発表の中では「試合会場の収容人数の"約50%"の時が1番勝率が高い」という結果も伝えられ、会場はどよめいた。そりゃそうだ。チームは「たくさん人を呼びたい」のだ。しかし、勝つためには「呼べば良いという問題ではない」ということを彼女たちは"データ"で証明した。非常に面白く、あっという間の1時間でした。

ロケット班の皆とは約半年ぶりの再会。心なしか逞しくなった"堤JAPAN"の4人と話した。そもそもロケット甲子園って?どうやって作ったの?これからの目標は?など、彼らの過去・現在・未来を聞いた。中でも面白いのはロケットをデザインする、制作する、打ち上げるといった技術的なことを担う生徒だけではなく、国際大会で求められるプレゼンテーションのための「英語が得意な生徒」も参加していること。まさにチームだった。ロケットの設計図に汗を流す一方、英語の勉強を頑張る。それぞれの得意分野を磨き世界へ行く。

北海道はロケット分野に力を入れている地域でもある。約5か月後、堤JAPANが世界に名を轟かせるのが楽しみなのと同時に、未来で彼らがどんな宇宙を見せてくれるのかも期待せざるを得ない。



この記事を書いたモウラー

ゲストモウラー

森本 優

FM北海道アナウンサー/パーソナリティ
1991年6月3日生まれ / 高知県出身
毎週(金)18:00~22:00「IMAREAL」担当。
2021(令和3)年度日本民間放送連盟賞ラジオ生ワイド部門で最優秀賞受賞。
音楽を聴きライブに参加しバスケを見るのが好き。