【vol.19】コミュニケーションをぶっ壊せ
コミュニケーション:聞く
校長先生の名前を覚えていますか?私は覚えていません。小学校も中学校も高校も大学も。誰一人覚えていません。理由を考えたら「喋ったことがないから」という答えにたどり着いた。入学式や卒業式、長期休みの前後にある、いわゆる「校長先生の言葉」も全く覚えていない。我ながら残念だと思う一方で、もっと校長先生に限らず、学校の先生に興味を持っていたら良かったと思う。
毎週金曜夜6時から10時まで放送しているラジオ「IMAREAL」を担当しています。7年間、週に1度必ずどこかの学校に行って取材をしてきました。これまで出会った学生は25,000人以上。同じように先生たちにも会ってきました。
今になって学生たちに伝えるのは「先生がなんで先生しているか聞いてみて!」ということ。先生に限らず、その仕事をしている人がなぜやっているのか、それを知ると興味の幅が広がります。あなたもやってみてください。
5月8日(水)、市立高校進路探求セミナーが開催されました。今回の「非効率の向こう側」は、その時のお話を。
年に1度の恒例行事で、札幌市立高校7校の新1年生が集まり、進路選択、目標実現に向けて、何をすべきかを学ぶ場です。かれこれ6年ほど司会を担当しています。例年、講師1名を招き、歩んできた人生から得た教訓を聞いたり、代表者によるプレゼン大会などが行われてきた。
昨年、イベントが終わった後の反省会で生徒自身が「聞く」だけでなく、能動的に考えて動けるイベントに出来ないかと提案した。その結果、今年はスポーツの試合でもよく使われる北ガスアリーナに約2,000名の高校1年生が集まった。
主役は学生。ヒントは社会人。私は総合司会。それぞれの立場で高校生3年間を考える。まずは各学校でどんなことが出来るのか?そして、学校の枠を飛び越えて、共に学べるプロジェクトの紹介。その後、高校3年生による1年生に向けてのプレゼンと続いた。
私は札幌市立高校のどこかに自分の子どもが行きたいと言ったら迷わず応援する。それくらい学校だけでは得られない体験や感情がそこにはあると感じている。気になった方は市立高校ポータルサイトをご覧ください!まずは「聞く」コミュニケーションの時間だった。
コミュニケーション:伝える
ここからが本番。これまでだったらこれで終わり。しかし、今年は違う。「聞く」パートでも話したのだけど、コミュニケーションとは何だろうか?コミュ力が高いという言葉から連想される、いわゆる積極的に話しかけるとか、陽キャとか、そういうことではない。コミュニケーションは「聞く」と「伝える」の両輪で成り立っている。
そこで、今回は会場全体を使って「人に会いに行く」時間を作った。友だち、同じ学校の人、他校の人、社会人など、会場内にいる人と会話をして、「自分を伝え」「相手のことを聞く」という30分間。ポイント制を導入しゲーム感覚でコミュニケーションを体験する。
会話が苦手という人は、私のところに集まるように伝えた結果、開始すぐに学生に囲まれた。目視で20人程度。「ラジオを聞いてます!」と涙を浮かべながら伝えてくれたリスナーの子、「ラジオは聞いたことないけど、森本さんに興味があります!」と話してくれた子、ゆっくりと丁寧に自分の言葉で好きなものを教えてくれた子、いろんな"人"が集まった。そして、私との会話を待っている間に、隣にいる人にも話しかける。「はじめまして!」「え!テニス部一緒!いつか対戦するかもね!」など、今日が無かったら生まれなかった会話が会場中に溢れていた。
あっという間に30分は過ぎていき、時間が足らない状態になった。これは成功と言える。一方で座席から一歩も動いていない学生もいた。それを良い/悪いという基準で評価することはない。目的は「自分らしく高校生活を送るヒント」を得られたかどうか?だと思う。
必要な人と必要なコミュニケーションをとり、自分のために、誰かのために、社会のためになる3年間を過ごしてほしい。今、種を撒き、未来で華が咲けば、それでいい。1日を通して感じたことは「もっと話しておけばよかった」ということ。年々コミュニケーションをとる人を選ぶのが人生です。
この記事を読んでいるあなたは今が一番若い。あなたらしいコミュニケーションをしてください!