【vol.6】購買大作戦
「もしも」が1度だけ使えたら
今月の「非効率の向こう側」は、誰しも考えたことがある「もしも〇〇だったら」という話。
あなたは1度だけ、この「もしも」という呪文を唱えることができるならどんな内容にしますか?
「もしも運動神経が良かったら」とか、「もしも天才だったら」という現実的な能力向上を願う人もいれば、「もしも1日が100時間だったら」とか、「もしもうちで飼ってる犬が喋ったら」という妄想世界を構築する人もいるでしょう。
それでは一緒に考えてみましょう。
もしもあなたがもう1度あなたをやるならどうする?
この記事を書いている2023年春、自分の人生をやり直すという設定のドラマ「ブラッシュアップライフ」が流行っていた。誰もが自分と重ねて見ていたはず。私もそうだった。このドラマがやっている最中に司会をやったイベントで私は「もしも自分がもう1度自分になるなら。この学校に行きたい。」と思える学校にたくさん出会ってしまった。
市立高校プレゼンテーション大会
あなたは「市高プレ」を知っているだろうか。札幌には「市立高校」と呼ばれる学校が7校ある。
札幌旭丘高校、札幌大通高校、札幌新川高校、札幌平岸高校、札幌清田高校、札幌啓北商業高校、札幌藻岩高校の7校。
私は学校訪問企画でよく行っている学校です。リスナーがいるだけではなく、それぞれの学校が独自のカリキュラムを持っていて面白い。振り返ると私自身、高校受験の時や大学受験の時にそれほど「学校の勉強」をしてこなかった。オープンキャンパスには行ったが今となっては「もっとあそこを見ておくべきだった」と後悔することの方が多い。むしろこういったことを教えてくれていたら良かったのにと思うからこそIMAREALはそういう番組であれと思いながら放送している。
2023年3月、7校に加えて札幌開成中等教育学校が参加した市立高校プレゼンテーション大会が行われた。私は審査員として参加。プレゼン内容は大きく2つ。「学生生活で探求したこと」と「自分が通っている学校の紹介」。
日本ハムファイターズが好きな生徒が集まったグループは、「日本ハムファイターズの現状と未来」と題してデータを元にチームの戦力強化を提示した。他にも「外来種生物の問題」に焦点を当てたり、マーケティングの視点で北海道観光のプランを考えた生徒もいた。「牛乳からプラスチックが作れる」ことを初めて知るなど私自身多くの学びがあった。
中でも私が興味をもったのは、札幌啓北商業高校の生徒たちが提示した「どうやったら購買にお菓子を置いてもらうことできるか」というプレゼン。きっかけは校長室にお菓子があったこと。それを校長が生徒に配っていたこと。
「なぜ購買にはお菓子が無いんだ!」と思った女子6人が立ち上がり、学校の購買でお菓子を売ってもらうために意識調査をしたり、お菓子を売ることでの学校側のメリットを校長に提示した。結果、惨敗。校長という壁が厚かった。
そこで終わらないのがこの子たちの素晴らしいところ。なぜダメなのか?じゃあそれをどうやったら解決できるか?を考えた結果「プレ販売」をしてみるところまでこぎつけた。1週間のプレ販売は大盛況。品切れが続き好感触。その一方で、供給量が間に合わないこと、利益を出すために値段設定が高くなってしまったことなど課題も多くあった。
ここまでが彼女たちの発表だった。そして彼女たちはこの春学校を卒業した。正確にはプレゼン大会に出たタイミングで卒業していたのです。
そこで私は同じ会場にいる校長に問いかけました。「校長!彼女たちのアイディアは今後どうなるのでしょうか?」すると、校長は「素晴らしいプレゼンだったので、お菓子の販売は前向きに検討します!」と。
彼女たちはマスク越しでも分かるくらい笑顔になり飛び跳ねていた。自分たちは卒業して買うことができないのに喜んでいた。学校を変えるということの経験や時間をかけたものに対しての成果が出ることを体験できたのではないだろうか。
プレゼン大会後、ラジオインタビュー収録もして、後日IMAREALで放送しリスナー中でも話題になった。
高校生として過ごしている中で、他校の生徒の話を聞けたり、他校の魅力に触れることがどれほど刺激になるのかを肌で感じた1日でした。もしも、私が高校生に戻れるのなら「市立高校プレゼンテーション大会」に参加する。