
【vol.24】学生芸術祭 in ル・トロワ
遂に開催!学生芸術祭!
毎週金曜18時~22時に生放送している番組「IMAREAL」のパーソナリティをしています。森本優です。始めた当初は「非効率」と言われた週に1度の学校訪問の向こう側に何があるのかを記しています。
今回は10月12日(土)~14日(月・祝)に開催された「IMAREAL 学生芸術祭 in ル・トロワ」を紹介します!そもそも「学生芸術祭」とは何か?新型コロナウイルスが蔓延していた2022年秋に大会や発表の場を失った学生の声を受け、ラジオで表現できる部活を集めて発表会を行いました。当時、学生や保護者、学校関係者、リスナーから大きな反響をいただきました。
遡ること5か月前、札幌の商業施設「ル・トロワ」から番組にオファーがあった。内容は「10代の学生に足を運んでもらうイベントが出来ないだろうか?」というもので、私の頭の中に浮かんできたのは「学生芸術祭をリアル開催できないか?」ということだった。
イベント自体を学生と作れば、足を運んでくれることは間違いない。学生が制作した作品の展示、パフォーマンスをすることになった。
常設展示として参加した高校は5校
常設展示として、平岸高校デザインアートコース、旭丘高校新聞局、北海高校新聞局、とわの森三愛高校書道部、藻岩高校写真部にオファーしたところ快諾いただいた。
開催までの3カ月、各学校と細かいやりとりをし、どんな作品をどうやって展示するかを決めていった。搬入搬出作業は学生にとっても新鮮な体験だったようです。開催期間中には自分の作品を家族と見に来ている人、友達の作品を見に来ている高校生、たまたまやってきたご夫婦など多くの方が足を止めてくれていました。
「学生」という時間制限のフィルターは強力で、作品を通しても刹那的な勢いを感じた。

藻岩高校写真部

旭丘高校新聞局

とわの森三愛高校書道部

平岸高校デザインアートコース
パフォーマンスで参加した高校は3校
パフォーマンスとしては札幌国際情報高校華道部、札幌西高校ダンス同好会、とわの森三愛高校書道部、篠路中学校演劇部が出演してくれることになった。残念ながら篠路中学校演劇部は開催1週間前にインフルエンザが流行ってしまい、出演辞退という形になった。いつかリベンジする約束をした。
4分間のセンス~花いけバトル~

生け花バトル中の学生
「花いけバトル」を知っていますか?高校生による華道の祭典「全国高校生花いけバトル」で行われているもので、札幌国際情報高校華道部には全国大会に出場したことがある生徒もいます。
時間制限がある中で、目の前にある花や枝・流木などを使って、自分なりの「表現」を披露する。この日も十数種類の花が会場を彩った。花があるだけで気持ちも明るくなるし、香りに包まれるだけで癒される。花って不思議だ。大きな流木は学生たちが海で拾ってきたそうだ。
華道部なのに海にも行かないといけないのは驚いた。持ち時間30分。今回は2人1組、創作時間は4分という独自のルールを作りトーナメント形式でバトルをした。
会場内には初めて花いけバトル(生け花)を見る人も多かっただろう。花器に次々と挿されていく花や枝、・流木はバランスをとるために必須のアイテムだと知った。そして、このバトルの面白いところは「実況がある」ことだ。
「おーっと!今Aチームが赤い花を手にしている!」
「Bチーム、苦戦しているようだ!」
など、スポーツと同じように実況が行われる。
しかも学生自身が実況しているのも魅力。何から何まで自分たちでやっていた。ジャッジは会場にいるお客さんの挙手制で、どの試合も接戦の熱い戦いだった。花いけバトル、侮るなかれ!

札幌国際情報高校華道部

ジャッジはお客さんも一緒に!
名前を呼ぶよ~ダンス~
札幌西高校ダンス同好会は学校の生徒玄関前で練習している。その姿を何度も見てきました。だから、今回、発表の場を作れると思った時にすぐに彼らの姿が浮かびました。
イベント前日には顧問の先生から「毎日遅くまで玄関前で練習しています。」と連絡がありました。その言葉を届けてくれた先生が素敵だと思いませんか?ダンス同好会のパフォーマンスは華道部の後。早めに来ていた彼女たちは華道部からのお花のプレゼントを受け取って、みんなで写真を撮っていました。そんな姿を見られただけでも意味があったのだと実感しました。
リハーサルの段階からル・トロワにいる人が集まってきました。本番だと知らない方は拍手までしてくれて、学生の表情を柔らかくしてくれました。
いざ、本番。
人前でパフォーマンスするのは約半年ぶり。先ほどのリハーサルまでとは表情も動きもまるで別人。途中から「〇〇先輩!」とか「△△かっこいい!」など、自分たちで気持ちを高め合い、それに呼応するように会場の拍手も大きくなっていきました。
約20分間のダンスはあっという間に終了。汗だくになった彼女たちから安堵の表情が見えました。友達や家族も沢山見に来てくれ、終わってからは写真撮影会くらい各々が思い出を残していました。「Be Real撮ろう!」と5回ぐらい聞いた気がします。ダンス同好会カッコよかったぞ!
後悔の涙~書道パフォーマンス~

とわの森三愛高校書道部
学生芸術祭2日目は、とわの森三愛高校書道部によるパフォーマンスが2回。しかも、この子たちは人前でパフォーマンスするのは初めて。会場を書道パフォーマンス仕様に整え、リハーサルをするも、緊張感からか表情が固い。家に笑顔を忘れてきた?ってくらい全員ガチガチでした。
開演時間に迫るにつれ、会場には人が集まってきました。「今日、祖父が来るんです」とか「友達も来てくれます!」と恥ずかしさもありつつ、嬉しさは抑えきれない様子でした。全部で4つの作品を12人で作っていきます。女子チーム、男子チーム、学校紹介チーム、全員参加という流れ。MCが学生自身、一人ずつ自己紹介もした。「好きな鶏肉の部位はセセリです」に会場は沸いていた。
いざ、本番。
え?そんな大きい声出たの?と思うくらい、全員が気合を入れてパフォーマンス。次々と作品が完成していく。同時に表情も変わっていった。緊張が解けたからこそ、生まれたミスもあったでしょう。
1回目のパフォーマンスが終わってすぐ、全員が集まり反省会をしていた。そして1時間半空けて、2回目のパフォーマンス。そこに立っていた12人は「初めての経験」を経て明らかに成長していた。1回目の反省を活かして、2回目より良い作品を作れるか?
30分経ち、全てのパフォーマンスを終えた頃、1人の女の子が涙を流していた。私に向かって何か言っている。よく聞いても聞き取れないくらい泣いていた。隣にいた子が通訳してくれた。「間違えちゃった。悔しい。本当に悔しい。」と彼女は言っていたそうだ。
今回のイベントは学生に発表の場を提供したい、人に見てもらう経験をしてほしいという目的があった。そして普段、自分の子供や孫のパフォーマンスをみることができない保護者の方に見てもらう機会を作りたい。そんな思いでやってきた。
彼女の涙を見た保護者の瞳も潤んでいた。泣けることがすべてではないけれど、泣けるくらい一生懸命準備してきた時間には価値がある。イベントを行った3日間、あの会場に足を運んでくれた人は何かを持ち帰ってくれたのではないでしょうか。
「非効率」といわれて行っている週に1度の学校訪問は1つのイベントを生んだ。これからも全力で学生を応援すると強く決意した。

