北海道新聞2023年12月2日(土)に 映画「カムイのうた」に関する記事が掲載されました。
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<ユカラを紡ぐ 映画「カムイのうた」から>4*菅原浩志さん=監督・脚本*負の歴史 事実を伝える
完成した映画を見た加藤雅也さん(兼田教授役)が「アイヌ民族が受けた過去の仕打ちのひどさは、台本よりも強く感じた。海外に持っていきたい作品だ」と言ってくれました。アイヌ民族をテーマに、負の歴史と真っ正面から向き合う作品は少ない。タブー視されていたことを作品にするのは覚悟も必要でした。でも当たり障りのない映画ではなく「とがった」作品にしようと考えました。
当初は「和人のおまえにアイヌの何が分かる」とも言われました。でも人間として生を受け、愛を持って生き、死を迎えるのはどの民族も共通です。その中で戦う人たちを描く、民族を超えた普遍的なテーマを持つ作品に仕上がったと思います。作品には差別用語も出てきます。過去にあった事実を伝える。そうしないと、かつてのアイヌ民族に「違うだろ」と言われてしまうでしょう。
映画では着る物、話す言葉、そしてユカラもできるだけ本物にしようと考えました。島田歌穂さんと吉田美月喜さんはそれぞれ半年間、ユカラとムックリを特訓しました。一方、一部のユカラにオーケストラの伴奏を付けました。楽譜のないユカラにオーケストラの伴奏を付けるのは珍しい試みではないでしょうか。
北海道は、地名のほとんどがアイヌ語由来です。開拓前はアイヌ民族の土地だったことを、私を含めた和人は自覚しないといけない。彼らなくして北海道の開発はなかった。アイヌ民族の歴史や文化に興味を持ち、この映画を見てほしいと思っています。
=おわり=
すがわら・ひろし 1955年生まれ、札幌出身。米カリフォルニア州立大で映画製作を学び、88年に「ぼくらの七日間戦争」で監督・脚本デビュー。「ほたるの星」「写真甲子園 0.5秒の夏」などの作品がある。
◇「ユカラ」の「ラ」は小さい字