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【札幌】創業100年を越えて。開拓の歴史をいまに伝える、凛とした佇まいの老舗5選

【札幌】創業100年を越えて。開拓の歴史をいまに伝える、凛とした佇まいの老舗5選

最新のビルや商業施設が立ち並び、絶えず変化を続ける街・札幌。しかし、そんな街の日常に溶け込むように、開拓期から変わらず暖簾を守り続けている場所があります。

今回ご紹介するのは、創業から100年以上の時を刻み続けてきた札幌の老舗です。

単に古いだけではありません。そこには、代々守り抜かれてきた伝統の味、永年大切に使われてきた調度品、そしてそれぞれの時代に生きる人々が積み重ねてきた物語が今も変わらず息づいています。

「老舗然」とした佇まいに背筋を伸ばし、街の歩みと共にあった歴史に触れる。そんな、少し特別な札幌の歩き方をご提案します。

記事内の情報は2026年2月5日時点のものです。最新の情報は公式サイトでご確認ください。

【和菓子】四代 嘉心



円山エリアの象徴ともいえる裏参道。洗練されたショップが立ち並ぶ通りから一本路地へ入ると、周囲の喧騒を感じさせない、凛とした佇まいの店舗が現れます。明治34年(1901年)に根室で創業し、平成16年(2004年)に札幌・円山の地へ移転してきた「四代 嘉心(かしん)」です。

木と石の質感を活かした落ち着いた外観は、派手な装飾を排した潔いデザイン。ただ一枚の暖簾が静かに揺れるその様子は、場所を変えながらも120年以上にわたって暖簾を守り続けてきた、名店ならではの品格を漂わせています。

ここを訪れたなら、まず手に取りたいのが看板商品の「づくめ団子」(930円)です。蓋を開けると、容器いっぱいに敷き詰められた真っ黒なすりごまに驚かされます。その中に隠れた一口サイズのお団子に、たっぷりとごまを纏わせていただくのが嘉心流。香ばしさと上品な甘さの余韻は、まさに老舗の職人技です。

店内のショーケースには、季節の移ろいを表現した上生菓子や、素材の風味を活かしたお菓子が並びます。どのお菓子も余計な飾りを削ぎ落とした、美しく端正な表情をしています。

職人が一つひとつ丁寧に向き合い、守り続けてきた伝統の味。それを円山の四季を感じる静かな空間で買い求める時間は、日々の暮らしを少し贅沢に彩ってくれるはずです。


四代 嘉心

住所
北海道札幌市中央区南2条西20丁目2-20
電話番号
011-623-0185
営業時間
10:00〜18:00(1月4日~2月29日は〜17:00)
定休日
月曜日、第1・2・3火曜日

【和菓子】札幌千秋庵 本店



札幌の中心部、駅前通りに面した「札幌千秋庵(さっぽろせんしゅうあん) 本店」。大正10年(1921年)の創業から100年を超え、札幌市民にとって「山親爺」「ノースマン」は、郷愁を誘う定番のお菓子として親しまれています。

2020年に新築されたビル内の店舗は、現代的で明るい空間ですが、老舗ならではの工夫も随所に残されています。その一つが、店内に設けられた飲水場です。地下90メートルから汲み上げた地下水は、千秋庵のお菓子づくりに使われているもの。都会の真ん中でふと喉を潤せるこの場所は、買い物客や市民の憩いの場となっています。

本店を訪れたなら、看板商品の「ノースマン」の焼きたて(200円)を。パイ生地の香ばしさが楽しめる一品です。長年愛されてきた味を、普段とは少し違う食感で味わえますよ。

また、「山親爺」の缶や「小熊のプーチャンバター飴」の容器など、長く愛されてきたレトロなデザインも魅力の一つ。時代が変わっても色褪せない、千秋庵らしい親しみやすさが詰まった品々が並びます。

新しく機能的な店舗へと姿を変えながらも、変わらぬ味と水を提供し続けている場所。ショッピングの合間にふらりと立ち寄れる、札幌の日常に根ざした一軒です。


札幌千秋庵 本店

住所
北海道札幌市中央区南3条西3丁目16-2
電話番号
011-205-0207
営業時間
10:00〜19:00
定休日
無休

【蕎麦】酒とそば まるき



賑やかな狸小路商店街から少し脇に入った角に店を構える、明治22年(1889年)創業の「酒とそば まるき」。札幌でも有数の歴史を誇る老舗ですが、現在は平成23年に建てられたビルに入っており、気負わず立ち寄れる街の蕎麦屋として親しまれています。

落ち着いた木造りの内装が施された店内には、店名が刻まれた大きな木製看板が掲げられており、この名が刻んできた長い月日を感じさせます。

店名に「酒と」を冠する通り、お酒と肴を楽しんだ後に蕎麦で締める「蕎麦前」を自然に楽しめるのがこの店の特徴。昼夜問わず、自分なりの時間を過ごす人々で賑わっています。昼時であれば、「そばみそ」(280円)や「板わさ」(890円)などを肴に、ゆっくりと酒杯を傾けるのがこの店らしい過ごし方。過度な活気とは無縁の、落ち着いた空気が流れています。

最後に手繰る蕎麦は、奇をてらわない実直な味わい。出汁の効いたつゆと喉越しの良い蕎麦が、心と胃袋を穏やかに満たしてくれます。

再開発が進むエリアにありながら、創業時からの「蕎麦で呑む」というスタイルを貫き、変わらぬ暖簾を掲げ続ける一軒。都会の真ん中で、ふと一息つきたい時に重宝する場所です。


酒とそば まるき

住所
北海道札幌市中央区南2条西2丁目 カドレビル1階
電話番号
011-221-4328
営業時間
11:30〜L.O.21:00
定休日
月曜日

【ビヤホール】ビヤホールライオン 狸小路店



狸小路商店街に位置する「ビヤホールライオン 狸小路店」は、大正3年(1914年)の創業からこの場所で営業を続けている、札幌で最も歴史あるビヤホールです。

現在の建物は昭和35年(1960年)に建てられたもので、内装には当時のビヤホール建築らしい重厚なレンガ造りの風合いが残されています。木のぬくもりを感じられるノスタルジックな内装や少し落とした照明が、現代のビヤバーとは異なる落ち着いた空間を作り出しています。

ここを訪れたなら外せないのが、創業時から受け継がれる「一度注ぎ」の生ビールです。ビールを注ぎながらグラス内で回転させ、一気に泡を立ち上げる技法・「一度注ぎ」。余分な炭酸を抜き、雑味を閉じ込めることで、驚くほど滑らかな喉ごしを実現しています。サイズに関わらず、どの一杯にもこの伝統の技が注ぎ込まれています。

建物こそ変わっていますが、同じ場所で100年以上にわたりビールを提供し続けてきた事実は、全国的にも貴重なものです。昭和の面影を残す空間で、かつての賑わいに思いを馳せながら喉を潤すことができます。

最新のトレンドに流されることなく、独自の注ぎ方と空間を維持し続ける姿勢に、老舗としての矜持が感じられます。ビール好きなら一度は訪れたい、札幌を代表する一軒です。


ビヤホールライオン 狸小路店

住所
北海道札幌市中央区南2条西2丁目7 サッポロビル1・2F
電話番号
011-251-1573
営業時間
11:30~22:00(L.O.21:30)
日曜・祝日は〜21:00(L.O.20:30)
定休日
無休

【醸造】千歳鶴(日本清酒株式会社)



札幌の中心部を流れる創成川の東側、通称「創成川イースト」と呼ばれるエリアに、札幌唯一の酒蔵である「千歳鶴(日本清酒株式会社)」があります。創業は明治5年(1872年)。現在の場所へ移転したのは明治25年(1892年)のことで、以来130年以上にわたり、この地で酒造りを続けています。

併設された「千歳鶴 酒ミュージアム」には、かつて使用されていた巨大な仕込み桶や、職人たちの手仕事が垣間見える伝統的な酒造用具が展示されています。

また、千歳鶴の酒造りに欠かせないのが、豊平川の伏流水です。館内ではこの「仕込水」を実際に試飲することができます。札幌の豊かな水質が、長年この街の酒を支えてきた事実を実感できるスポットです。

売店では、ミュージアム限定のお酒や、酒粕の風味を活かした「酒粕ソフトクリーム」(440円)が人気。伝統的な日本酒を、現代の日常に馴染む形で提供しています。

明治の開拓期、酒造りを始めた創業者たちの志は、今も「札幌の地酒」としてこの街に受け継がれています。150年の歴史を展示や試飲を通して気軽に体感できる、地域に開かれた場所です。


千歳鶴 酒ミュージアム

住所
北海道札幌市中央区南3条東5丁目2番地
電話番号
011-221-7570
営業時間
10:00~18:00(月末は棚卸のため17:00閉店)
定休日
年末年始

おわりに:変わりゆく街の中で、暖簾を守り続けるということ

今回ご紹介した5軒は、いずれも100年を超える長い歳月を、北海道や札幌の街と共に歩んできました。

「老舗」といっても、そのあり方はさまざまです。昔ながらの製法を頑なに守る店もあれば、時代の変化に合わせて店舗をビルへ建て替え、新しいサービスを取り入れる店もあります。これらのお店に共通しているのは、単に古いものを保存しているのではなく、その時々の日常に寄り添いながら、今日まで営業を続けてきたという事実です。

私たちが今、これらのお店で味わうお菓子やビール、そして蕎麦。それらは、かつての人々も同じように楽しんできたものであり、今も変わらずこの街の食文化を支えています。

次の休日は、ふらりとこれらのお店を訪ねてみませんか。新しさと歴史が共存する空間で過ごす時間は、私たちが暮らす札幌という街の、また違った一面を見せてくれるはずです。


この記事を書いたモウラー

モウラー

maiko

札幌在住のライター。
毎日がもっと楽しく、週末がもっと楽しみになるようなお出かけ情報を中心にお届けします。
一児の母で絶賛子育て中。