【道東・釧路】今行くべき釧路のいい場所、知ってるよね?4か所、答え合わせしようか
【まえがき】「今」の釧路をよく知らなかった
港町として一時代を築いた釧路市。今なお水産の拠点として名を馳せている。そして、私が生まれた場所でもある。北大通を歩くと秋刀魚とシシャモの方が人口を上回っているんじゃないかと思うが、最近は観光目的で訪れる方も多くなっているそうだ。
年に一度ほど仕事やプライベートで足を運んでいるものの、気付けばいつも同じところにしか行っていない。厳密に言うと「クラシックな釧路しか知らない」という方が正しい。アップデートされていない私自身に足りないもの、それは最新の情報だ。
ちょうど家族・親戚とともに釧路へ行く予定があったので、合間を縫って釧路をうろうろしたところ、ストーリー・趣のある原風景が広がっていた。釧路は、色彩パレットのような街なのだ。新旧が交わる、おだやかなコントラストがそこにある。
テラス席がチルい:スターバックス釧路鶴見橋店
北海道に1店舗しかない「リージョナルランドマークストア」(2024年9月現在)
スターバックスなんてどこにでもあるじゃん・・・と思うなかれ。スターバックス釧路鶴見橋店は、北海道に1店舗しかない「リージョナルランドマークストア」なのだ。ざっくり言うと「その地域らしさ」が建築デザインに反映され、いつものスターバックスとちょっと雰囲気が異なり、より洗練された瀟洒な空間が広がっている。釧路鶴見橋店は、釧路地方で育ったカラマツ材を使用されており、お店全体がウッディに仕上がっている。
2024年9月現在、北海道に唯一のリージョナルランドマークストア。札幌にもない体験は、ここ釧路にある。詳しいことは公式HPをチェック。
ちょうど「焼き芋 香ばしカラメル フラペチーノ」が気になっていたことと、釧路鶴見橋店が出来てから1度もお邪魔していないので行ってみることにした。
天気が良い日はテラス席でチルい時間。
この日は晴天、テラス席への期待が高まる。ただ、見慣れた新釧路川を見ながら飲むスターバックスってどうなんだろう・・・と拭いきれぬ一抹の疑問を持ちながら「焼き芋 香ばしカラメル フラペチーノ」をオーダーして席に向かった。
天候に恵まれたことや、夕暮れ手前だったのが功を奏したのか、めちゃくちゃ気持ち良い。ほっとするような柔らかい日差しと、疲れを運んでいくような涼やかな風がチルい。
ほかのスターバックスと異なる意匠が凝らされた空間づくりにおいて「音」が重要な気がしてならなかった。新釧路川から生じる自然音に加え、テラス席にもいい感じの音楽が流れている。天井スピーカーから流れるゆったりした音楽が絶妙に雰囲気を演出している。
何度も見慣れている景色も、薫る風も色あせてはいない。自分が日常に埋もれて、色あせてしまったことに気付かされた。それもきっと、違う日常に足を踏み入れたからなのではないだろうか。私の思考に変化を与える魅力が、ここにはあった。
【期間限定】焼き芋 香ばしカラメル フラペチーノ
焼き芋 香ばしカラメル フラペチーノは言うまでもなくおいしい。飲んだ印象の焼き芋感はもちろん、チャンクがアクセントになる意外な組み合わせだった。ほろ苦いカラメルは、焼き芋の焦げた皮を演出しているようで、スイートポテトと名乗るのが正しいような気もしたが、あえて「焼き芋」と名乗るところにスターバックスの矜持を感じる。名前込みでお気に入りとなった。翌日も飲んだ。
- 住所
- 〒084-0910 北海道 釧路市 昭和中央1-1-1
- 電話番号
- 0154-55-1032
- 営業時間
- 07:00~23:00
- 定休日
- 不定休
- 備考
- 席は譲り合って使いましょう!
愛されるソウルフードは、香りとともに:ジョイパックチキン釧路昭和店
30年以上、愛され続けるソウルフード
魚介類と泉屋、竹老園、釧路ラーメンが釧路のポテンシャルの限界だと思っていたが、全然そんなことはなかった。その名は「ジョイパックチキン」フライドチキンの名店がそこにあった。「釧路のソウルフードじゃん?」と言われて初めて知った私・・・。まずは行ってみることに。
店構えがかわいい。なにより、辺り一帯に漂う「腹が減る」香り付きの空気が私の心を加速させていく。期待が高まる。
チキンから香る、愛される理由
フラッグシップメニューは「カレーチキン」だというのはリサーチ済みだったが、訪問したタイミングで「塩チキン」が揚げたてだということだったので迷わずオーダー。「ジョイチキ」も一緒に宿へ持って帰ることにした。
※カレー×2ピース、塩チキン×5ピース、ジョイチキ×5個でオーダー。
こんなにおいしいものを見落としていた私の目は、根釧地方名物の濃霧で曇っていたのかもしれない。思い出すだけで、ジューシーなチキンの味わいが舌に響く・・・。函館はラッキーピエロよろしく、釧路にはジョイパックチキンというアイコニックな存在がいることをここに記しておきたい。
釧路には多くの老舗と呼ばれる店が軒を連ねるが、観光目的の方の支持はもちろん、地元客に愛されるお店が多いということ。昭和店のレジできさくに話しかけてくださったスタッフさんが「週末や年末年始を中心に、多くのご家族連れの皆さんが持ち帰ってくださるんです」と、淀みなく口にされたことはとても印象に残っている。
多くの方に愛されることへの感謝のアンサーを常に胸に抱いているからこそのコメントだなぁ~としみじみしてしまった。歴史だけでなく、たくさんの「ありがとう」も折り重なっているって素敵。
潮風とともにスパイスノートが香る、ほっとする場所に郷愁を感じるのは私だけではないはず。おいしいものはなかなか罪深い。何度かに分けたものの、写真のすべてを平らげてしまったのだから・・・。
- 住所
- 〒084-0909 北海道釧路市昭和南3丁目16
- 電話番号
- 0154-53-1010
- 営業時間
- 11:00〜19:00
- 定休日
- 無休
TikTok・Instagram撮影スポット?:Cool KUSHIROモニュメント
幣舞橋の「たもと」に光るなにかが・・・
全国の橋の名前でも、読めないランキング上位じゃないかと思う「幣舞橋(ぬさまいばし)」のたもとにいつの間にか誕生したこのモニュメント。どうやら2020年ころからあるそうだ。これも、これまでの私は気付いていなかった。昨年、幣舞橋を歩いて渡ったのに・・・。
釧路随一の繫華街である末広に宿を取り、先ほど平らげたジョイパックチキンの腹ごなしを兼ねて近所を徘徊していたところ偶然発見。
辺りはSNS用の撮影でたくさんの人で賑わいを見せている。通りがかる大人は皆、驚いた様子で一瞬足を止めて「なんだろう?」といった具合に彼らを見つめていたが、その気持ちはわからなくもない。ここに映えスポットがあるなんて思いもよらないのだ。
新・原風景に推薦したいCool KUSHIRO
釧路は原風景として素敵な場所がたくさんある。米町展望台から望む市街地の風景、ロータリーを見守る花時計、凪の太平洋に沈む夕日は世界三大夕日に数えられるなど、釧路という街のポテンシャルがよくわかるのではないだろうか。古いカメラにいた釧路の原風景にそう言われた気がした(花時計の写真は無かった・・・)。
釧路に住まう人も、そうでない人も集う新たな場として、Cool KUSHIROモニュメントが選ばれているのだとしたらまだまだ釧路の原風景に伸びしろが残っているという証拠ではないだろうか。
ここが誰かの思い出になり、釧路にとっての新たな原風景の一つとして歴史に名を刻むのだと思うと、釧路はしっかり未来を歩んでいく意思を持った街だと再認識させられる。
「Cool KUSHIRO」文字モニュメント
- 住所
- 〒085-0015 北海道釧路市北大通1丁目
- 備考
- 夜はお静かに。ゴミは持ち帰りましょう。
「締め」は銭湯!?大喜湯 昭和店
「締めサウナ」「締め銭湯」が良い!
釧路の締めは「かどや」と相場が決まっているのかもしれないが、アルコールを入れずに過ごす一日の締めの新たな提案もしたい。日々の疲れも旅の疲れも、ここで癒しておきたい。
サウナ好きなら一度は耳にしたことがあるかもしれないこの大喜湯。地元客だけでなく、今や道内外のサウナーが集まる場としてその名が知られる。昭和と春採の2店舗展開だが、私は昭和店をチョイス。このために私は夕食でお酒を飲まず、レンタカーで釧路の夜を駆け抜ける。
源泉とサウナで490円、すごくない?
昨年、何気なく入ったこの大喜湯はすっかり私のフェイバリット銭湯の一つになった。サウナへのこだわりや、脱衣所・浴室が清潔なのも嬉しいところだが、私は泉質がとても好み。源泉100%(加温・循環ろ過)の塩化物泉のため、源泉自体がしょっぱい。お湯が肌に染み入るような感覚あることに加え、塩化物泉特有の湯上りの温かみをとても気に入っている。港町の潮っぽさが肌を通じ、少し違う角度で体感出来るのはまた風情があるのではないだろうか。
サウナは赤外線サウナと、海上コンテナを改造したフィンランド式サウナの2種。後者はセルフロウリュ可能で、貴重な存在といえる。そうした行き届いたポリシーが多くの人の胸を打ったのか、現在は女性人気も獲得する場所となっているそう。事実、私の前にうら若き女子2人組が連れ立ってお店に入っていった。
これだけ行き届いた設備で、入浴料490円は破格。港町の粋を感じる、数少ないスポットの一つに数えて良いと思う。土日祝は24:00まで営業しているので、夕食を済ませてからでも十分間に合う。海沿いの街ならではの潮風を全身で体感しながら郷愁に浸るのもまた良し。誰かと語らう時間にも、自分を見つめなおす時間にも最適。
お店は活気に満ち溢れていた。かつてのような隆盛ではないかもしれないが、ここに一つのカルチャーが生まれている。私の先にいた女子2名は脱衣所に入る前から、恋の話に花を咲かせていた。心を開くのにも、最適な場所となりつつあるのかもしれない。
湯上りには伊良コーラがオススメ。私はDNAが働き、道民らしく追加でガラナを飲んだ。どっちもおいしい。1日を終え、宿で就寝。
- 住所
- 〒084-0910 北海道釧路市昭和中央5丁目11-8
- 電話番号
- 0154-55-5558
- 営業時間
- 平日→12:00~23:00
土・日・祝日→6:00~24:00 - 定休日
- 無休
- 備考
- ドライヤーあり。シャンプー類の備え付けなし。各種アメニティは有料での取り扱いあり。
今もストーリーが刻まれる、釧路
「何があるの?」「ゆったり出来る場所、たくさんあるよ!」
釧路って何があるの?と聞かれると「なんだろうねぇ・・・」と濁していた私だが、これからは「ゆったり出来る場所、いっぱいあるよ!」と胸を張りたい。たしかに人口は減っているけれど、この街の灯りを絶やさずにいてくれる人たちがいる。それだけでも十分エモい。私が生まれた街は、今も元気にたくさんの人を迎え入れる懐の深さがある場所である。いつもと違う角度で見る釧路は、どこもストーリーが進行形で刺激的だった。
くすんだ雰囲気も、現代の息遣いも街並みに反映させている、様々な釧路の原風景パレットをぜひその目で確かめて欲しい。昨夏、避暑のために釧路を訪れた方も多いと耳にする。夏以外の季節も趣があり、四季折々の過ごし方を探ってみるのも良いかもしれない。ゆったり流れる時間に身を任せられる場所、それが今の釧路だった。
王道も、大切に
ジョイパックチキンをたらふく平らげてから、ええ行きましたよ、炉端・浜番屋へ。こういう王道・クラシックな釧路を楽しむのも大事!