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週末3日間で誰でもスタートアップできる!?Startup Weekend Sapporo Vol.9に行ってみた!

週末3日間で誰でもスタートアップできる!?Startup Weekend Sapporo Vol.9に行ってみた!

毎週末、地球のどこかで行われているという世界共通の起業ワークショップ「スタートアップ・ウイークエンド」。この秋も北海道・札幌の地で行われました。今回が9回目の開催になります。スタートアップ・ウイークエンドは、週末の3日間で起業のプロセスを丸ごと体験できるプログラム。計54時間にわたるワークショップを通じて、今年はどんなビジネスアイデアの種が生まれたのでしょう?!

Day 1 :「1分ピッチ」で仲間づくり (2023/9/8)

9月8日(金)夜19:00過ぎ。今年もスタートアップ・ウイークエンド・サッポロが幕を明けました。会場は、札幌・ススキノの繁華街にほど近い「es village すすきの村」。ネオンサイン輝く「すすきの交差点」を見下ろすビルに入居する、人気のコワーキングスペースです。


集まったのは高校生から60歳代までの17人。北海道大学の留学生もいます。年代も国際色も多彩な顔ぶれです。


スタートアップ・ウイークエンドの始まりといえば美味しい食事!焼いたチキンにシカゴピザ、揚げ物とボリューム満点です。


司会進行はファシリテーターのマツモトサトシさんが務めます。請求管理サービス「Misoca」を開発し、事業売却も経験した起業家。写真では見えにくいですが、Tシャツの胸部分に書かれた「怪獣」の文字がファンキー!なんだかDJみたいです。


オープニングセッション。マツモトさんのメッセージはシンプルかつストレートです。「皆さんが取り組むのは金曜=起業、土曜=起業、日曜=起業(笑)」。とにかく起業のことを考えまくる週末3日間になる…という予感(?)だけ伝わってきます。


続いてはスタートアップ・ウイークエンドの世界共通オープニングセッション「Half Baked」。ランダムな単語を2つ選び、それらを掛け合わせてビジネスアイデアを「でっち上げ」る起業のトレーニングです。


「テレビ×キツネ」「怪獣×Tシャツ」…でっちあげるにしてもハードル高めな組み合わせです(笑)。


無茶ぶりに近いお題もありましたが、参加者の皆さんは大善戦!本当にあってもおかしくはないようなユニークなビジネスアイデアも発表されました。「大喜利」的なお題でも、ビジネスの発想は十分に広がります。


さて、ここからが本番です。Half Bakedでの練習を踏まえ、今度は参加者自身のビジネスアイデアを持ち時間1分のプレゼンテーション「1分ピッチ」にぶつけます。


発表されたアイデアは参加者投票で半分ほどに絞られ、勝ち残った人のみ次のステップに進めます。参加者の皆さんの表情は、一気に本気度を増していきます。


緊張の発表、そして参加者同士によるビジネスアイデアの投票。


投票数が多かった人には再度ピッチの機会が与えられ、自分のチームメンバーになってくれるよう参加者全員にアピールができます。


投票上位の追加ピッチの舞台に立ったのは、運営スタッフでもあるオーガナイザーの柴田さん。いつの間にか一般参加者に混じってピッチ!この「何でもありスタイル」がスタートアップ・ウイークエンドの面白さです。

そして最終的に残ったアイデアは…。


この4チーム!各チームのビジネスアイデアはDay2 / Day3で順次ご紹介します!


Day 2 : メンタリングで「どん底」に… (2023/9/9)

2日目はじっくりとビジネスアイデアを練り上げる1日になります。


参加者の目を見てください。眼光が鋭さを増し、見つめられると火傷しそう(笑)なぐらい真剣です。


朝一番、マツモトさんからお題が出されました。「最初のお客さんを見つけてください」


ビジネスアイデアをどう結晶化させるか。チームの意見をどうまとめあげるか。多くの参加者にとって未知のチャレンジです。

ハイライトは、多彩なコーチ陣によるメンタリング。さまざまな角度から意見や助言をもらうことで、当初のアイデアに対する自信は簡単に打ち砕かれていきます。そして、何がやりたいのか参加者自身も分からなくなってくる…(笑)。


コーチを務めたのは(左上から時計回りに)大久保 快さん、鶴島 暁さん、品川広樹さん、松井健太郎さん。いずれも新規事業開発や企業経営を実践してきたビジネスの先輩たちです。品川さんと大久保さんは、かつてスタートアップ・ウイークエンド・サッポロの参加者でもありました。



こちらはチーム「Q・A・R」。Tシャツに印刷したQRコードを読み込むと、その人のプロフィールや趣味が表示される仕組みなのだそう。コミュニケーション下手な人が、自分のことを知って貰う受け身型の交流ツールとして考案しました。ユニークなアイデアですが、メンタリングに訪れたコーチ陣の反応は…。


「人見知りな人がこんなに目立つTシャツを本当に切ると思いますか?」「めっちゃ目立つから仕事なら着るだろうけれど、プライベートなら着ないと思う」―。コーチ陣に鋭く突っ込まれたメンバー一同。早速、ビジネスのプロによる洗礼を受けます。


こちらはチーム「勝手にDIY」。法改正で空き家に対する課税額が増加することを見据え、コストを抑えた独自のリフォーム策を家主などに提供し、空き家を賃貸物件として再生するアイデアを考えました。

ただし、ビジネスモデルを複雑に考えるがあまり、チームのディスカッションが「フリーズ状態」に。コーチ役の松井さんは「顧客は誰ですか」「コアな提供価値は?」と質問を投げかけ、混沌としたアイデアを整理整頓。収益化のためのビジネスモデル以前に、顧客や提供価値をシンプルに磨くべきだと助言しました。


ビジネスアイデアを打ち砕かれ、疲れきった参加者たち。お昼にサンドイッチを食べて、ちょっとだけ元気になったかな?


こちらはチーム「虎」。刺激が足りない若者たちのために、好奇心を掻き立てる「独創的な遊び」をデータベース化し、マッピングするサービスを考えました。ニーズに対する街頭ヒアリングで行うため、コーチングの時間はスキップし、オータムフェストで賑う大通公園で聞き取りを重ねました。


スタートアップ・ウイークエンドが掲げる世界共通の行動理念は「No Talk, All Action=議論するよりアクションしよう !!」。3日間のワークショップが実り多きものになるかは、すべて参加者の「行動力」にかかっています。

Day 3 : チームの絆でStartUP !!! (2023/9/10)

最終日の朝になりました。2日目のメンタリングで、当初のビジネスアイデアに厳しいフィードバックを受けた参加者たち。仮説検証が振り出しに戻り、終電後に深夜の街で議論を尽くしたチームがいた一方で、実現したいビジネスの相違から別れ別れになったチームもありました。


メンタリング終了後の2日目夜から3日目の午前中をどう乗り越えるかが、スタートアップ・ウイークエンド最大の正念場です。


チームピッチが始まる午後5時に向けて、参加者の表情はさらに真剣味を帯びていきます。


机の上は顧客ヒアリングやアンケートの集計結果をまとめた紙であふれ、メンバー各自が商品やサービス内容を図示したスライドづくりに集中します。


アイデアをまとめ上げる最後のひと頑張りを応援しようと、コーチ役の経営者も各チームの議論の輪に加わりました。

Team Picth !! みんな意外にいい感じ !?


ファシリテーターのマツモトさんから審査基準が説明されます。顧客と対話し、顧客の問題を解決し、そこに市場が存在することを確認したのか。また、商品やサービスの具体像を設計し、収益化に資するビジネスモデルを描けたのか。


発表順は写真の通り決まりました。各チームに与えられた時間は発表5分、質疑5分。3日間の集大成の舞台が始まりました。


一番手はチーム「勝手にDIY」です。管理人不在の空き家をオーナーから買取り、若手人材を活用して空き家再生とリフォーム技術の教育を目指す取り組みです。


空き家再生による家賃収入の一部を若手人材に還元しながら、若者たちのリフォーム技術習得による建設業の後継者育成を目指します。


2番手はチーム「虎」。エンターテイメントがあふれるスマホ時代に「もっと刺激にあふれた、脳汁が出るような」体験を若者たちに届けるサービスを考えました。


北海道大学の恵迪寮の学生を対象に「無人島に1日置いてけぼり」などの刺激多めのアクティビティに対するアンケートを実施しました。


3番手はチーム「Q.A.R」。人見知りで初対面の人が苦手だったり、会話の際にうまくリアクションできなかったりと感情表現が苦手な人々のために、感情を光で可視化するメガネを考案しました。


将来的には、感情情報を可視化するARグラスを開発したいそうです。テクノロジーの進化を見据えた「未来」を感じるピッチに大きな拍手が送られました。


ラストの登場はチーム「桜満開プロジェクト」。発表したのは、北海道大学に通う留学生の春さんら5人。



社会問題となっている自死の解決に向け、孤独感を抱えるひとり暮らしの社会人を集めた食事会「ぼっち飯撲滅イベント!」を企画しました。将来的には、孤食に悩む人々が気軽に集えるスペースをつくる構想も発表しました。


審査員は下記の皆さまが務めました。
(左)入澤 拓也 氏(一般財団法人 北海道IT推進協会 会長,エコモット株式会社 代表取締役)
(中央)長尾 昌義 氏(アクセンチュア株式会社)
(右)大久保 徳彦 氏(株式会社POLAR SHORTCUT 代表取締役)

質疑応答では、各チームへの3日間の頑張りをたたえてアイデアの良い所を評価する一方、収益化の具体策や技術面での実現可能性、さらには顧客が存在することの立証について鋭い質問が相次ぎました。

そして、いよいよ優勝チームの発表です。

結果発表!!優勝は誰の手に…



優勝チームは「桜満開プロジェクト」!会場となったes Villageを運営する株式会社esエンターテイメントより5万円の食事券が副賞として授与されました。おめでとうございます!

オーガナイザーの松井健太郎さん(株式会社インフィニットループ代表取締役)は「Startup Weekendはイベントでありながら、参加者同士が繋がるコミュニティでもあります。ぜひこの機会を大事にしてほしい」と今後の事業展開に期待のメッセージを送りました。

過去の開催レポートも読んでね! ➡ vol.2  vol.3 vol.4 vol.5 vol.8


この記事を書いたモウラー

メディア

北海道新聞社ビジネス開発本部

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