
北大博物館の夏季企画展「人文的昆虫展覧会」を観覧!
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北12条駅から徒歩10分ほどの所にある、北海道大学総合博物館。ここでは、北大の歴史や研究活動、収蔵標本などを紹介する「常設展示」と、特定のテーマを深掘りして魅力を伝える「企画展示」の両方を楽しむことができます。
夏休みシーズンにあたる今回は、夏季企画展「人文的昆虫展覧会 – たどり着いたらメーリアン」に行ってきました!
博物館の正面玄関から、いざ企画展示室へ!
正面玄関の扉を開けると、すぐ前方に企画展示室があります。常設展・企画展ともに入場無料なので、このまま順路に沿って進んでいきます。
展示室手前にある企画展の看板が目印です。通路の壁には本展に関連する昆虫の図版が飾られているため、そちらも注目してみてください。
「人文的昆虫展覧会 – たどり着いたらメーリアン」はどんな展示?
「人文的昆虫展覧会 – たどり着いたらメーリアン」は、これまで主流であった昆虫学・生物学的な昆虫展とは異なり、文学・絵画・神話・ことわざといった「人文的」な視点から昆虫を紹介するユニークな展示です。多数の昆虫標本のほか、ヘルマン・ヘッセの直筆画やメーリアン図譜の原書など貴重な資料が展示されています。
こちらは北海道大学創基150周年記念事業の一環として開催されたものです。全国で「人文的昆虫展」を開催している新部公亮氏(マロニエ昆虫館)が展示を制作しています。
「人文的昆虫展覧会 – たどり着いたらメーリアン」の展示構成と見どころ
本企画展は、「ヘルマン・ヘッセ ~少年の日の思い出~」「メーリアンの立体昆虫図譜」「神話と星座と虫の名と」「北大昆虫学者と著書」の4部で構成されています。
以下で各テーマの展示内容を簡単にご紹介します。
ヘルマン・ヘッセ ~少年の日の思い出~
実際の蝶・蛾類の標本を用い、作家ヘルマン・ヘッセの短編小説『少年の日の思い出』の世界を表現しています。国語の教科書にも掲載されていた作品で、来場者の中には登場人物「エーミール」の名を懐かしむ人の姿も見られました。
物語の中心である「クジャクヤママユ」も展示されており、物語を知る人にとっては”本物”に触れる感動もひとしおでしょう。粉々につぶされた蝶の模型などは偽物ですが、その他の標本は全て本物を使用しています。
メーリアンの立体昆虫図譜
マリーア・ズィビラ・メーリアンが1705年に著した『スリナム産昆虫変態図譜』と、その図譜に描かれた昆虫の標本を組み合わせて展示しています。実物と重ねても違和感のないほど精緻な図版に、思わず目を奪われてしまいます。
神話と星座と虫の名と
昆虫の学名や和名に隠された神話や星座の名称に注目し、互いを関連させた展示を行っています。
ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』の図版上に数多のシジミチョウの標本が飾られたこちらの作品を見てみましょう。シジミチョウ科に属する一群は「ゼフィルス」の俗称で親しまれており、これはギリシャ神話の西風の神「ゼピュロス」に由来しています。この絵画の左端に描かれている男神こそが、その「ゼピュロス」です。
このように標本と神話を照らし合わせることで、新たな視点から昆虫を観察することができます。
北大昆虫学者と著書
北海道大学(札幌農学校)において昆虫学に精通した研究者とその著書を紹介しています。
「知の交流ホール」では展示にまつわる講演会も
博物館内1階、入って左奥の突き当たりにある「知の交流ホール」では、本企画展に関する講演会が行われています。6月28日には「昆虫少年ヘッセの真実」、7月12日には「神話と星座と虫の名と」というテーマで開催されました。
会期終了前日である8月30日の講演会テーマは、「たどり着いたらメーリアン!~蝶と博物書を追い求めた半世紀~」です。とちぎ昆虫愛好会の白石雄治さん、新部公亮さんからお話をいただきます。
開催概要
- 会期:2025年6月28日(土)~2025年8月31日(日)
- 開館時間:10:00~17:00
- 休館日:月曜日(祝日の場合は翌日休館)
- 会場:北海道大学総合博物館 1階 企画展示室
- 所在地:〒060-0810 札幌市北区北10条西8丁目(北海道大学キャンパス内)
- お問い合わせ:TEL 011-706-2658
- 入場料:無料
- 主催:北海道大学総合博物館
- 後援:日本アンリ・ファーブル会
- 公式サイト:https://www.museum.hokudai.ac.jp/
まとめ
昆虫と人間の文化とのつながりを表現した本展覧会は、昆虫が好きな方はもちろん、苦手な方にも楽しめる内容に仕上がっています。ぜひ昆虫の新たな魅力を見つけに行きましょう!