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リーヴル・ダルティスト ─ 芸術になった本 @北海道立近代美術館

リーヴル・ダルティスト ─ 芸術になった本 @北海道立近代美術館

久しぶりに「館」に来ました。はじめましてSTUDIO VOYAGEです。よろしくお願いします!

美術館・博物館・水族館 ─── 旅に出ると必ず何かしらの「館」を訪れるくらいには好きです。趣味が読書なため「本好きのあなたへ」なんて言われると、抗えません。
アートにも興味があり(造詣は浅い)とても魅力的な展覧会を見つけ、近代美術館へ足を運びました。


あいにくの天気、ということはない。
(災害級でない限り)天気に良いも悪いもない、と思いたい雨男です。
道路の雪はほとんど消えていますが、敷地内にはまだかなり残っていますね。

リーヴル・ダルティスト

リーヴル・ダルティスト(Livre d'artiste)とは、画商ヴォラールが発案した芸術家のオリジナル版画が付けられた限定本で、「芸術家の本」とも呼ばれます。
19世紀末から20世紀にかけて、フランスを中心に展開された芸術運動の一つで、画家や彫刻家が詩集や小説などの挿絵や装丁を手がけた芸術的な書物を指します。

単なる挿絵本とは異なり、芸術家が本という媒体全体を作品として捉え、テキストと視覚表現が密接に結びついた独自の芸術形式として発展しました。今回の展示では、ジョルジュ・ルオー、エルヴェ・ダヴィッド、アンリ・マティス、マルク・シャガールなど、近現代美術を代表する芸術家たちの作品を見ることができました。


展示作品の見どころ

デザインの仕事柄、マティスやセザンヌといった名前を見ると、どうにも親近感が湧きますね。今回一番のお目当ては、ジョルジュ・ルオーの「ミセレーレ」です。(予習しました)

アンリ・マティスの作品

マティスの作品は、大胆な構図と鮮やかな色彩が特徴的です。シンプルな形態でありながら、リズミカルな動きと豊かな表現力を感じさせる作品に、ずいぶん見入ってしまいました。

マルク・シャガールの挿絵本

シャガール特有の夢想的な世界観が、テキストと見事に調和していました。空を舞う人物や動物、鮮やかな色彩による詩的な表現は、物語の世界をより深く、豊かなものにしています。
特に聖書の物語を題材にした作品では、独特の精神性と芸術性が融合した神秘的な世界が展開されていました。

ジョルジュ・ルオーの宗教画

ルオーの作品は、深い信仰心と芸術的探求が結実した重厚な表現が特徴ですね。
特に宗教的モチーフを扱った作品では、太い輪郭線と濃密な色彩による力強い表現が印象的でした。キリスト教の物語を現代的な解釈で描き出す手法に、芸術家の真摯な姿勢を感じたような気がします(造詣は浅い)。


本好きのあなたへ

本好きのあなたへ

アーティストブックの現代的意義

10年前、紙の本の文化は衰退していくのではないかと考えていました。しかしそんな事はなく、心做しか安心しています。

デジタル技術が進化した今だからこそ、紙の本という物理的な媒体に芸術家が直接関わることの意義を、この展示を通じてまた考えるようになりました。手作業による表現のぬくもりや、ページをめくる時の触覚的な体験(実際の展示品は触れませんよ)など、デジタルでは得られない価値を改めて意識する機会となりました。


北海道立近代美術館

住所
札幌市中央区北1条西17丁目
電話番号
011-644-6881
営業時間
9:30〜17:00(入場は16:30まで)
定休日
月曜日(月曜日が祝日または振替休日のときは開館、翌火曜日は休館)

各芸術家の個性的な表現を通じて、解釈や方法によって作品がいろんな広がりを見せることを実感し、アートという表現の持つ可能性にまだちょっとワクワクしています。

展示の年表は非常に分かりやすく構成されていて、リーヴル・ダルティストの歴史的な発展を時系列で把握することができました。
19世紀末から20世紀にかけての芸術的変遷や、芸術家たちの活動時期、作品が生まれた時代背景についての理解がより深まったと思います、きっと。


この記事を書いたモウラー

モウラー

STUDIO VOYAGE

制作歴25年(若干寄道アリ)延べ1,000↑サイトに関わってきました
札幌のフリーランスWebクリエイター