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一度は行きたい!写真映えも◎有名建築家による北海道の名建築4選

一度は行きたい!写真映えも◎有名建築家による北海道の名建築4選

一度は訪れたい、北海道の名建築の数々。建築好きの方も初心者の方も、長い年月を超えて愛される名建築を巡れば、非日常のワクワク感を得られます。世界でも有名な建築家が手掛けた名建築には、建築家の思想や作風が詰まり、あっと驚く感動が待っています。コンセプトや想いも感じながら、圧巻の名建築の世界へ、ぜひ足を運んでみてくださいね。

記事内の情報は2025年11月21日時点のものです。最新の情報は公式サイトでご確認ください。

【イサム・ノグチ 設計】モエレ沼公園

イサム・ノグチの提唱した「公園全体が一つの彫刻作品」という唯一無二のコンセプトのもとに設計された「モエレ沼公園」。かつてゴミの最終処分場であった約189ヘクタールの土地を舞台に、23年の時をかけ、雄大なアートパークへと再生。単なる公園の枠を超え、大地そのものをキャンバスにした傑作として、訪れる人々を魅了し続けています。


公園のシンボルであるガラスのピラミッド「HIDAMARI」は、訪れる時間や季節によって周囲の風景を映し出し、まるで生きているかのように表情を変える芸術作品です。建物内には、アートに触れるギャラリーや、休憩できるレストラン・ショップなど、充実した施設を完備。さらに、環境に優しい設計がなされており、冬の間に積もった雪を冷房に活用するという、地域性を活かしたユニークなシステムが導入されています。


「モエレ山」は不燃ゴミや建設残土を積み上げて造られた、標高62mの人口の山。公園最大の造形物です。頂上からは札幌市内を一望できるほか、冬はソリ遊びやスキーが楽しめますよ。


冬季は休止していますが、「海の噴水」は「水の彫刻」とも呼ばれ、ダイナミックなショータイムがある人気スポットです。直径48mの円形の噴水から最大25mまで水が噴き上がります。


約1,600本の桜が植えられた「サクラの森」。森の中にはイサム・ノグチがデザインしたカラフルで幾何学的なデザインの遊具126基が点在しています。他にはないデザインの遊具で大人から子どもまで楽しめますよ。
※遊具は順次改修工事を行なっており、使用できないものもあります。

雄大な敷地の中に、幾何学的で洗練された造形物が整然と息づくモエレ沼公園は、自然の風景とアート作品の境界線が取り払われた、独特の空間です。ノグチの生涯のヴィジョンが込められ、彼の最期のメッセージとして完成したこの公園は、訪れる人々に深い感動を与え続ける、北海道随一のアートスポットです。


モエレ沼公園

住所
北海道札幌市東区モエレ沼公園1-1
電話番号
011-790-1231
営業時間
ゲート開放時間
東入口ゲート:7:00~22:00(入場は21:00まで)
西入口ゲート:7:00~19:00(4月20日〜11月20日)
南入口ゲート:7:00~19:00(4月20日〜11月20日)、7:00〜17:00(11月21日〜4月19日)
定休日
無休(各施設に休業日あり)
備考
入場無料

【安藤忠雄 設計】真駒内滝野霊園「頭大仏殿」

「真駒内滝野霊園」にある「頭大仏殿」は、世界的な建築家安藤忠雄氏が設計を手がけた、独創的な祈りの空間です。かつて平地に佇んでいた既存の石像大仏(高さ13.5m)を、開園30周年という節目にふさわしい「より厳かで人々の心を惹きつける存在」へと昇華させるべく、大規模な改修プロジェクトが実行されました。この計画によって、大仏は新たな風景と役割を得て生まれ変わりました。


安藤氏の発想は、「大仏をあえて隠す」という驚くべきもの。高さ13.5mの巨像をラベンダーの丘で包み込み、その頂上部分から大仏の頭部だけがそっと覗いているような、唯一無二の景観を生み出しました。このユニークで記憶に残る姿こそが、人々から親しみを込めて「頭大仏」と呼ばれるようになった所以です。


春は新緑、夏は約15万株のラベンダーの紫、冬は雪に覆われ、四季折々の自然と一体化した景観が楽しめます。安藤氏は、インドや中国の石窟の奥底で仏像を仰ぎ見た時の感動が、発想の原点にあると述べています。頭大仏殿に感じる感動は、遠くから見た姿だけではありません。


目的地に到着しても、すぐに大仏像と対面できないのは、意図的な演出です。訪問者はまず、参道を緩やかに迂回するよう設けられた「水庭」を前にします。これは、聖なる場所に入る前に心を清め、日常と非日常を区切る「結界」の役割を果たしているそう。この水の演出(降雪期を除く)によって、参拝者の心は研ぎ澄まされ、大仏と向き合うための準備が整えられます。


水庭の先には、安藤氏らしい打ちっぱなしコンクリートの壁がひだ状に連なる、全長40メートルの空間が続きます。薄暗いこのトンネルは、外部の光を遮断することで、参拝者の意識を内面へと集中させます。この心理的な準備期間を経ることで、トンネルを抜けた先に待つ大仏との「出会い」が、より深く、感動的なものとなるよう計算されているそう。


40メートルのトンネルを抜けると広がるのは、光が満ちる円形の空間。ここに現れる大仏は、周囲を遮る壁がなく、円形の開口部から注ぐ空の下に鎮座しています。晴れた日の光、雨のしずく、雪のきらめきなど、自然の力がそのまま空間に入り込む設計は、大仏の存在感を際立たせ、訪れるたびに異なる神々しい非日常の体験を与えてくれます。

単なる墓地の枠を超え、自然、ランドスケープ、建築などが見事に融合した、頭大仏殿。安藤忠雄氏らしいコンクリートの造形美と光の演出が際立つ作品です。


真駒内滝野霊園「頭大仏殿」

住所
北海道札幌市南区滝野2-3
電話番号
011-592-1223(真駒内滝野霊園)
営業時間
頭大仏殿拝観時間
4月~10月:9:00~16:00、11月~3月:10:00~15:00
定休日
指定日ならびにメンテナンス日、天候などにより閉殿する場合あり
備考
拝観料:500円(小学生以下無料)

【安藤忠雄 設計】水の教会 CHAPEL ON THE WATER

安藤忠雄氏が設計、「星野リゾート トマム」内に位置する「水の教会 CHAPEL ON THE WATER」。幾何学的でミニマルなコンクリートの箱の中で、自然と静かに語り合うための教会です。水、光、緑、風という4つの自然要素を大胆に取り込むことで、安藤建築が追求する「聖なる場所」がここに実現しています。世界的に評価されるこの空間は、ただの建物ではなく、自然との共生を通して、訪れる人々に深い感動をもたらします。


「水の教会」は、「風・光・水」をテーマとする安藤忠雄氏の「教会三部作」の一つとして知られています。設計の核心は、教会の前に設けられた人工の。広大なトマムの自然を映す水面の中央に、十字架が凛として立ち、周囲の風景と一体化しています。水と森を背景に十字架の存在を際立たせ、静けさの中の強さを感じさせる、極めて幻想的で神聖な空間です。

礼拝堂の大きな開口部は春から秋にかけて開け放たれ、水音や風、緑の匂いといった自然がそのまま礼拝堂の中に入り込む特徴的な構造。


教会へと至る道は、緻密に設計されたアプローチを進みます。L字型に配置された無機質なコンクリート壁に沿って迂回しながら進むことで、訪問者は強制的に日常から隔離され、精神的な準備を促されます。この段階では、水音だけが聞こえ、水面は見えないという構造。静かに高まる期待感を生み出し、聖なる空間への意識を研ぎ澄まさせます。


L字の壁とアプローチを通り抜けた先に、安藤氏が仕掛けたクライマックスが待っています。それまで視界が遮られていた反動で、湖と十字架の全景が突如として目の前に現れる構造。この設計によって、自然との対面がより感動的で、記憶に残る強烈な体験へと昇華されます。

建物全体は大小2つの正方形が重なり合った、簡潔な幾何学平面で構成されており、安藤建築らしい力強さと静けさが同居しています。婚礼の場として高い人気を誇るのはもちろん、建築ファンにとっては必見の、自然と建築が一体となった祈りの空間です。


水の教会 CHAPEL ON THE WATER

住所
北海道勇払郡占冠村中トマム
電話番号
0167-58-1111(代表)
営業時間
一般見学/6:30〜7:30 (7:15最終入場)、20:30~21:30 (21:25最終入場)
定休日
「星野リゾート トマム」の営業期間に準ずる
備考
見学無料

【毛綱毅曠 設計】釧路市立博物館

釧路市立博物館は、1984年の竣工以来、建築界に衝撃を与え続けている傑作です。設計を手がけたのは、郷土の建築家である毛綱毅曠(もづなきこう)氏。彼の思想は、単なる建物ではなく、釧路の特有の風土や歴史観を映し出す壮大なインスタレーションとして結実しています。その革新的なデザインと深いコンセプトは高く評価され、1985年に日本建築学会賞に輝きました。


毛綱氏は、この建物の外観に丹頂鶴の優雅な翼の広がりを託しました。「春採湖(はるとりこ)」を見下ろす丘陵という特別な立地を活かし、周囲の起伏ある自然景観に溶け込むよう繊細に設計されています。中央の石積み部分は、大地から湧き上がるような力強さを持ち、自然と建築が一体となった独特の景観を創り出しています。


建物内部の中心となるのは、3層吹き抜けの空間にドラマチックに配置された二重螺旋階段。毛綱氏は、この螺旋を、生命の根源であるDNA構造と同じであると捉え、ミュージアムが担うべき「都市の記憶」そのものの象徴として建築に組み込みました。天に向かって伸びるような造形が、建物の中心に力強い存在感を放っています。

螺旋階段を中心として展示室が配置された構造は、従来の機能的な博物館とは一線を画す独特の空間を印象付けてくれます。


さらに毛綱氏はこのミュージアムを、「天・人・地の記憶」の三層に分けて構想しています。

第一層(地): 大地や自然の記憶(地質学、海洋学など)

第二層(人): 人間の歴史(考古学資料など)

第三層(天): 天空に近い場所の記憶(アイヌ文化、タンチョウなど)

訪問者は、館内を貫く二重螺旋階段を歩き進めることで、地球の誕生から人間の営み、そして神話的世界へと、この壮大なレイヤーを巡るよう設計されています。

合理的・機能的な建築とは一線を画し、哲学や神話、コスモロジーを大胆に建築空間に持ち込む作風で知られる毛綱毅曠氏。釧路市立博物館は、その思想と故郷への想いが強く反映されており、彼のキャリアにおけるランドマークとして地域の人に愛されています。


釧路市立博物館

住所
釧路市春湖台1-7
電話番号
0154-41-5809
営業時間
9:30〜17:00
定休日
月曜日(4月1日~11月3日の月曜祝日:開館し翌平日休館、11月4日~3月31日の月曜祝日:原則として休館)、 11月4日~3月31日の祝日、年末年始、館内整理日
備考
入館料
一般・大学生 480円、高校生 250円、小・中学生 110円

ユニークで美しい、名建築の世界へ

世界的にも有名な巨匠やベテラン建築家が手掛けた、北海道各地の名建築をピックアアップしてご紹介しました。造形美はもちろん、力強さの中に感じる繊細さ、外側と内側で感じる異なる魅力など、知れば知るほど楽しい名建築の世界。ぜひ足を運び、その奥深さを目で見て感じ取ってくださいね。


この記事を書いたモウラー

モウラー

maiko

札幌在住のライター。
毎日がもっと楽しく、週末がもっと楽しみになるようなお出かけ情報を中心にお届けします。
一児の母で絶賛子育て中。