
【連載VOL.80】KOREA DO? 竹中記者番外編【ソウル発 世界文化遺産「河回村(ハフェマウル)」へ】
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今週は、北海道新聞社ソウル支局の竹中記者のコリア通信です。
ソウルからちょっと離れて、韓国の伝統的な建築様式や文化が残る場所へ
韓国旅行といえばソウルや釜山を思い浮かべる人が多いと思いますが、高速鉄道KTXやバスで少し足を延ばすと、まったく違う景色に出会えます。
慶尚北道(キョンサンプクト)の安東(アンドン)市にある世界文化遺産「河回村(ハフェマウル)」もその一つです。
朝鮮王朝時代の暮らしや文化が今も息づく、韓国を代表する歴史的な集落です。
今年5月、韓国の李在明(イジェミョン)大統領の故郷である安東で、高市早苗首相との日韓首脳会談が行われた際、両首脳が河回村を訪れたことで一段と注目を集めました。
私もその取材の合間に足を運びました。
「河回」とは「川が巡る村」という意味です。
名前の通り、洛東江(ナクトンガン)が緩やかなS字を描くように流れる地形の中にあります。最大の特徴は、朝鮮王朝時代の住宅様式や街並みが今も美しく残されていることです。
かやぶき屋根の民家や、瓦屋根の両班(ヤンバン)と呼ばれる貴族の屋敷、書堂などが点在し、まるで数百年前にタイムスリップしたかのような風景が広がります。
立ち寄ったカフェでは、営業前にもかかわらず、店主の女性が甘いミルクコーヒーと「カンジョン」というナッツやポン菓子を水あめで固めたお菓子を振る舞ってくれました。
店主は「日本でいうと岐阜県の白川郷のような場所。日本人観光客もよく来ますよ」と笑顔で話していました。
ハフェマウルは2010年、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。
魅力は建物だけではありません。
村には今も人々が暮らし、儒教文化や伝統行事が大切に受け継がれています。
ユーモアと風刺を交えた仮面劇は韓国を代表する伝統芸能です。韓国旅行をしたことがある人なら、個性豊かな木製の仮面を見たことがあるかもしれません。
村の入口には、日本の能面をはじめ各国の仮面を展示する「河回世界仮面博物館」もあります。
ハフェマウルは海外の王室関係者にも愛されてきました。1999年、エリザベス2世が韓国を訪問した際にはこの村を訪れ、73歳の誕生日を村人たちと祝いました。女王が伝統料理でもてなされ、温かい歓迎を喜んだことは、今も村の誇りとして語り継がれています。
ソウルからKTXで約2時間の安東駅に着き、そこからバスで約50分、タクシーなら30分ほどです。
世界遺産としての景観や住民の生活環境を守るためマイカー利用は規制され、チケット売り場や総合案内所がある入口から集落までは約1キロあり、循環バスが走っています。
静かな時間が流れる伝統集落は、大都市ソウルとはまったく趣が異なります。
韓国の原風景ともいえるこの地を、ぜひ一度訪れてみてください。
